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逃げて逃げて逃げまくれ!!

前回からの続きです。

突然現れた一見するとジャニーズばりの美少年、

雪男見習いの氷雨が逃げ込むように屋敷に入ってきた・・・。


「琴音さん・・・・。助けてください!!!」

涙を浮かべて助けを乞う美少年の氷雨・・・。


「どうしたんですのっ???」突然のことに驚く琴音。


長いぽわんとしたスカートを両手でたくし上げ、

てててっと走って彼に近づく。


「何があったんですの?!わたくしで良ければおっしゃってくださいな!!」

思わずこちらも・・・とばかりに涙を浮かべる琴音・・・。


「僕・・・。姉に追われてるんです!!

どうしよう!!!助けてくださいっ!!!」


「あね・・・???」


ぽかんとする琴音をよそに・・・。


ガシャーン!!と大きな音を立てて氷雨の姉、雪路が

屋敷に侵入した・・・・・。


「あんたー!!今日という今日は覚悟なさいっ!!!

いつまでも逃げられると思っているの?!!

雪男の儀式はもう迫っているのよー?!!」


雪路は綺麗な顔に似合わない大声をあげて

氷雨に詰め寄る。


辺りは割れたガラスだらけで白い雪だらけに・・・。


「ちょっと!!なんなんですの?!!

ここはわたくしの家ですわよ?!!それになんですの

この女!!!ちょっと綺麗だからって!!氷雨様に何の・・・!!」


次の瞬間、ギラリと睨みつけながら怒鳴りだす雪路。


「うるさああああいっ!!!私は氷雨の姉よっ?!

人間の女は黙ってて!!!関係ないでしょう!!!」


関係ないといえば関係ないのだが・・・。

大声に思わずひるんでしまう琴音・・・。


「うう・・・。ミソノさんっ!!この女はなんですか?!」


「私の占いによると・・・。・・・・・・・・・。

わかりません・・・・・。」


ずっこける琴音。


「わからないってそんな・・・!!」


「ただ!!一つ言えることは・・・。」


「言えることは・・・?」

息を飲む琴音・・・。


「これはチャンス到来です・・・。彼を助けてあげれば

琴音様の有利に働きます・・・。彼が運命の方だと・・・。

水晶玉は言ってるんです・・・。チャンスです!!」

いつになく快活に答えるミソノの目は輝いていた・・・。


「わかりましてよ・・・。ほほほっ!!

その女を捕まえてしまいなさいっ!!!」


ピーっと指笛を鳴らす琴音・・・。

すると、警備の者がぞろぞろと走ってやってきた。


「な・・・!!何を!!!」

雪路は縄で縛られ、あっという間に別の部屋に運ばれた。


「縛っただけでは駄目よ!!火あぶりの刑よっ!!」


火あぶりと聞くと恐ろしいものだが実態は・・・。


暖炉の前で雪女を寝かせて嫌がらせをするというチャチなものであった。


「熱いっ!!!熱いっ!!!!」

暑さに弱い雪女なので暖炉の前でも地獄そのもの・・・。


「ひえー。恐ろしい・・・。」

遠くで見ていた氷雨は血の気がひいた顔でもう姉に対して

何も言えなくなってしまう・・・・・。


「さて。氷雨様っ!!どうして逃げてきたんですの?」

くるりと振り返り、彼を問いただす。


「実は・・・。僕は雪男なんです・・・。」


「え・・・!!雪男?????」


「はい。でも。雪男の成人の儀式を済ませると・・・。

姿が毛むくじゃらの大男になってしまうのです・・・。」


「いやあああああああ!!!そんなお姿にー?!!」


「嫌ですよね・・・。普通そうですよね???よかった・・・。

わかってくれると思いました、貴方なら・・・。」


「ではどうしたらいいんですの???」


「山に帰らなければ、ずっとこの姿でいれます・・・。

ただ、追手が・・・。姉さえ返せばどうにかなるとは思うんですが・・・。」


「あの方、嫌いですわっ!!いくら姉君でも・・・。

ひどい横暴ですわよっ!!!追手なんか!!わたくしが追い返しますわっ!!」

ヒステリーを起こしてしまう琴音・・・。


「おのれえええ!!ひさめええええっ!!あついっ!!あついっ!!!」

暖炉の前にまだ転がっている雪路は怒りに任せて攻撃を開始した。


目を光らせ、縄を凍らせて壊し、彼女は復活した・・・。


怒りに任せて勢いよく雪で暖炉の火を消して琴音のいる部屋へ・・・。


「あら。氷雨様ならどこかへ行きましてよ・・・?」

にこりと笑い、嘘をつく琴音。


「あいつ!!どこへ行ったーーー!!!」


目が怖い彼女・・・・。


「お外に出ましたわ。ここにはいません。」


「外だとー!!あいつーーーーー!!」


ぷりぷりと怒りながら外に飛び出る雪路・・・。


「行きましたわ・・・。」

机の下に隠れていた氷雨は冷や汗をかいていた・・・。


「有難うございます!!助かりました・・・。」


「もう大丈夫ですわ!!この館の警備を甘く見てはいけません。

彼女は山に捨ててきます!!!貴方は永遠にわたくしと同じこの屋敷で

美しいまま暮らせばよいのです!!」


「なんと・・・。そんな・・・。素晴らしいお方ですね・・・。」

氷雨は目を輝かせる・・・。


「実は・・・雪男になれないという条件もあるのです。」


「それは・・・?」


「子供を作ると雪男にはなれないんです。だから、・・・。

ここに逃げてきました・・・。実は。すみません。」


「そう・・・、子供を・・・・・。

・・・・・・・て!!ええええええええ!!!!」


驚きすぎて叫んでしまう滑稽な琴音。


続。

まさかの「子作り」発言に驚く琴音。

でも彼女はまだ高校生の女の子・・・。

相手は雪男・・・。前途多難です。

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