お嬢様がこんなに「怖いもの」だと初めて知った。
前回の続きになります。
今回はほぼ一定の人物との会話しかありませんが、
次回以降、お話を先に続けますので・・・。
突然の夜道での大事故・・・じゃない・・・。
「僕にとっては大事件」が起きていた!!
轢かれそうになった僕を突然拉致する人々。
声も出ないですよ、恐ろしいから・・・。
車の中に乗せられた時にふと冷静になり、
目を横にやると・・・。
そのくどい外見のお嬢様風高飛車系美少女がいた。
ニコニコと笑いかけてくる・・・。
不思議だ・・・。
拉致されてビビっているはずなのに・・・。
そのくどい以下略の女子は笑うと意外に普通に見える。
ただ、格好が物凄いというか・・・。
制服の様な服だが、よく見るとデカデカと
リボンやらフリルやら小さな宝石まで施されている。
この人将来絶対にでっかいゴツイ宝石の指輪を
全ての指につけていそうなマダムになりそう・・・と
少し想像すると笑いそうになる・・・。
「わたくし、池之宮琴音と
申しますわ。あなた様のお名前は・・・?」
名前までゴツイな・・・。コテコテというかなんというか。
少しテンポがズレてしまったが、拉致されているのに
何故か律義に丁寧に名乗ってしまった・・・。
「あっ!僕は真鍋千尋ですっ!!」
微妙に気恥ずかしい・・・。
その女子、「池之宮さん」とやらはニコニコしているが、
若干・・・目つきが「肉食獣」の様だった・・・。
怖いなこの人・・・。よく見るとゴージャス系美女なんだが。
「ふふ。」
そうかと思えば今度は年相応の少女らしい反応も見せるから
内心「ドキッ」としてしまった・・・。
夏菜さんゴメンナサイ・・・。(泣)
だってこの人怖いけど笑うと意外と可愛らしいんだ。
「わたくし・・・。やっとあなたのような方に出会えた気がしますの。」
にこやかながらも華やかな上品オーラとけばけばしい雰囲気の
ミスマッチがとても個性的な人だ・・・。とか思ってたら!!
「!!」
様子が変だ!!慌てる僕・・・。
「わたくし・・・。白馬の王子様を探していました・・・。
今までにも数々の美少年に出会いましたがあなたの様な方は
特に「ドンピシャ」・・・いえいえ。「好み」・・・。
とにかく!!「素敵な方」だと察知いたしましてよ?」
うっとりした瞳でじりじりと近づいてくるっ!!
たじろぐ僕は思わず叫んでしまった・・・。
「ぼっ!僕には他に好きな女性がいますんでっ!」
ぴたりと動きが止まるゴージャス美女・・・。
長い睫毛をパチパチとさせながら(どうやらこの人は
所謂「つけまつげ」ではなく、本物の長い睫毛の様だ。)
こう僕に尋ねてくる・・・。
「好きな女性ですって・・・?・・・」
眉間にしわを寄せつつも笑顔は絶やさないから怖い。
「このっ!池之宮財閥きっての財力と容姿の優れた
このわたくしよりも「その方の方が好きで素敵」だと?」
じりじりと更に迫ってくるから怖すぎる・・・!!
「誰ですの・・・?!」
聞いてどうするというのだろうか。この人アブナイ・・・。
ひるんだが、つい口に出してしまう。
「神崎神社の娘さんです・・・。巫女修行中の・・・。」
ゴージャス系美女の目をまともに見れないので
目をそらしながら正直に答えた・・・。
一瞬・・・。
その彼女の顔が真顔で固まった・・・。
「・・・なんてことですの・・・!!」
次に見せる表情は「怒りに満ち満ちていた」・・・。
まずかったのかな・・・?となんかますますビビる僕。
「あの「わたくしを小馬鹿にしている」にっくき好敵手の
非科学的なことばかり言う「神崎夏菜」ですって?!!」
突然の大声でびっくりしつつも怒り顔になる彼女・・・。
次の瞬間に彼女は下を向き、その後に「クフフッ」と
怪しい笑みを浮かべてこう言い出した・・・。
「あの女の物になんか絶対させませんわっ!!!
千尋さまっ!!わたくしがとことんあなたに尽くして
ありとあらゆる贅沢を一生涯保証しても尚、
あの馬鹿巫女女の方を選ぶのですのっ・・・?!!」
切羽詰まった様な必死の形相で僕に脅しをかけるかの
如く、「NO」とは言わせないというオーラ全開で言う・・・。
迫力負けしそうだが「ここは」譲れない。
僕だっていつもは頼りない奴だけど自分では
もっと「男らしく潔くありたい」と思っているから。
「僕は・・・!夏菜さんしかあり得ませんっ!!
だから、僕のことを諦めてくださいっ!すみませんっ!」
目をギュっと瞑りながらおそるおそる彼女の方を見た。
「爺や、この方をこのままお連れして。」
全く僕の話を聞いてくれてないよ。この人・・・。
しかも、いまだに「眼鏡」を返してもくれないし・・・。
車が止まる。
どうやらお屋敷に着いたようだ。
「ちょっ!なんなんですかっ!困りますっ!!」
泣きそうな声と顔でお付きの男たちを撥ね退けようとするが
体力に差がありすぎて「無力」だった・・・。
抵抗も出来ずに担ぎ上げられ、僕はまるで「御輿」の様だ。
傍から見ると「コント」にしか見えないような光景だろう。
後ろに立っていた「池之宮琴音さん」は・・・。
幽霊よりも怖い目つきで「うらめしや」と言わんばかりに
不敵な笑顔を浮かべるから正直怖すぎる・・・。
「神崎夏菜・・・。あなたの物は全て私が奪うわ・・・!!」
続。
「お嬢様キャラ」は書くのが楽しいですね。
大体ぶっ飛んだキャラが多いイメージなので、
一人称が「わたくし」とか金髪巻き髪とか敢えて
コテコテの「お約束」でいっぱいにしてみました。
千尋くんは果たしてどうなるのでしょう?(笑)