表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/76

女難の相が出ていたらしい。

前回の続きです。だいぶ時間が開いてしまいましたが、

楽しんでいただけたらこれ幸いかと・・・。

姉さんと名乗る女性が突然引き戸を開けてご登場。


「相変わらず元気そうね~?夏菜。」

フフンと陽気な口ぶりだけども少しばかり

小馬鹿にしたかの様な笑い方で夏菜さんに話しかけている。


「姉さんもね・・・。」

不貞腐れる様に真横を向いてシカトする夏菜さん。


こんなに余裕のなさそうな夏菜さんは初めて見た気がする。

(いやまあ、そもそも出会って数日しか経ってないけども)


「あんたにいい物あげようかなと思ってのご帰還よ?」

そう言いながら財布から何枚か「お札」をひらひらと

取り出して夏菜さんの顔を「それ」で叩く。


一瞬・・・、空気がこわばるかの様に静寂が・・・。


一瞬だけの沈黙の中で夏菜さんは「それ」、つまり

「お札」を持った「お姉さま」の腕を突っぱねた。


「あらまー。かあーわいくないのは相変わらずね~?」

いつもこの様なやりとりをしているのならば、

それはそれで凄いことだと思ってしまう・・・。


あっけにとられていた僕に向かって、「お姉さま」とやらは、

「勿体ないからもうこの子にあげるわよ~?いい~?」


「勝手にどうぞ。私は知らない。」

更に突っぱねる夏菜さん・・・。


「ふ~む・・・?」お札を片手に数枚持ったその人は、

僕の顔をまじまじと見てくる・・・。

大人の女性の色気にクラッとしそうになるから

あんまり近づかないでほしい・・・。

香水の香りが僕の鼻をくすぐる様な感覚で赤面する。


それを見ていた夏菜さんは・・・。

なんとなく冷たい目で僕を見た・・・。

というかあれは「軽蔑の目」だな・・・うん・・・。


「君、あの子に「ここ」に毎日来るように言われたの?」

唐突に僕に話しかけてくる・・・。

と同時に、驚きが後からじわじわと起こった。

「え?!なんでわかったんですか?!!」

思わず聞き返してしまった。


更に深く僕の顔を覗き込む・・・。

サングラスを外した目はやはりどことなく夏菜さんの

面差しに似ていて、やはり姉妹なんだなと納得する。


「君。女難の相出てる・・・。」

更にまだまだ追及するかのように見てくる・・・。

心の中やら何やらを見透かされてそうなそんな感じに。


「今日あたりに帰り際、「女難の女の子」に出くわすね。」


「・・・はあ・・・?」

僕はバカみたいな声が出てしまった。

だって何が何だかわからないんだもん。


ニコッと笑いかけてきて思わずこちらも苦笑いしていたら、

「はい。ではこの「お金」は「料金」として私が頂きます。」

そう言いながら手に持っていたお札を財布にしまい込む。


何が何やらわからない・・・。苦笑いすら固まって顔が引きつる。


「姉さんっ!余計なことしないでいいのよっ!」

夏菜さんが子供を叱る母親の様な怒り方をしていた。


「い~じゃな~い?使える「力」を使ってお金にして

何が悪いっていうの?あんただってやってみたら結構

快感よ~?儲かる儲かるって思えば楽しくなってきたり・・・」


その瞬間に夏菜さんは大声で怒った。

「この力で「占い稼業」なんてやってるのが恥ずかしくないのっ?!

私は絶対に貴方みたいな人と同じにされたくないっ!!」

厳しい口調と顔つきは女子高生の「顔」ではないようだった。


夏菜さんは立ち上がって引き戸を開けて奥の部屋に籠った。


「ま。気にしないで?あの子はいつもああだから。」と

眉毛をひきつらせつつも笑顔は絶やさない。そんな人の様だ。


「じゃ。遅いからばいび~?」と言って、

僕をつまみ出して門を閉めてきた・・・。


「なんなんだ・・・もう・・・」と

仕方がないのでとぼとぼと帰ろうとした。


「あー、疲れた・・・。もう、夏菜さんに嫌われたのかな?

僕は別に何もしてないけどさぁ・・・。うう・・・。切ない。」

泣きたくなるのを堪えながら家路につこうとする。


途中で横断歩道があったので信号が青になるのを待とうと

じっと立っていたら・・・。

突然「ドン!」と誰かに・・・いや、「何かに」

押された感覚がして体が道路に飛び出た・・・!!

「うわっ!!」

次の瞬間に高級な外車に轢かれそうになった・・・!!


死を覚悟したのも束の間。

外車からなにやら騒々しい女性・・・というか、

若いので「女子」と思われるが・・・。

なんか物凄く「派手な女子」だった・・・。

大きな羽つきの扇子を広げて、金髪クルクル頭に

でっかいリボンを付けた高飛車そうなお嬢様風の・・・。


僕は眼鏡を探していたがなかなか見つからない・・・。

あった・・・!と思って拾おうとしたら・・・、

その派手な女子が眼鏡を拾い上げて、僕の顔を驚いた様な

顔で見てきた・・・。


琴音ことねの白馬の王子様をとうとう見つけましたわっ!」

と、その派手な女子・・・、くどい外見と口調だが、

瞳をキラキラと輝かせながら僕の眼鏡を片手に持ち、

もう片方の手で僕の顎をクイッと持ち上げてきた・・・。


「爺やっ!このお方をわたくしのお屋敷にお連れしてっ!」

突然そう大声で叫びだす・・・。


僕はふと・・・。

さっきの夏菜さんと喧嘩していた「お姉さん」の言葉を

思い出して青ざめていた・・・。


「女難の相が・・・」


これの事だったのか~~~っ!!と・・・。


訳も分からないままお連れの男たちに担ぎ込まれ、

高級外車に乗せられてしまった・・・!!


続。

幽霊騒動やら、突然の美女による誘拐やら「女難」の連続の主人公。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ