抱擁よりもあたたかな視線。
前回からの続きです。
彼女を抱きしめる彼・・・。
千尋は困惑しながらも感涙の涙を流しそうなのを堪える。
ぎゅっと抱きしめる彼女はいつになく小さく華奢なものの様に
感じられ、彼は(この人も女の子なんだな。普通の・・・。)と
心の中でそう思った・・・。
(ああ。シャンプーの香りが・・・。このシャンプー、
どこのメーカーだっけ?夏菜さんのフローラルな香りにくらくらする・・・。)
「今、いやらしいこと考えてないわよね?」
「ふあっ?!ままままさかー!!!やだなーもー!!」
「もういいわ・・・。」
そっと体を離し、髪の毛を結わえ始める夏菜。
じゃらんっと数珠の束の様な赤いビーズの髪飾りで。
いつものポニーテールに戻り、顔つきも心なしか勝ち誇った様な顔。
「夏菜さんは綺麗ですよね・・・。」
「それ、他の子にも言うわけ・・・?」
少し意地悪く微笑みつつも顔は哀しそうだ。
「夏菜さんだけです。こんなの。僕の初恋・・・みたいなもんですから。」
「みたいなってことは、・・・以前に初恋の相手がいたのね?」
「まあ。小さい頃に。でも初恋は実らないと言いますし。
今は夏菜さんしか見えてないです、僕。」
男らしい顔つきや仕草でそう彼女に告げた。
「そう・・・・・。」
珍しく、夏菜は赤面した・・・・・。
続。
少しずつ距離が近づく2人・・・。
邪魔する人もいなく、珍しくラブラブな感じに・・・。




