何でもいいから抱きしめてよ。
前回からの続きです。
「好きなら、触ってごらんなさいよ。ほら!」
ずいずいと近づいてきて顔を彼の方に寄せる。
またそのお顔の綺麗な事と言ったら・・・。
じっと真顔で彼の顔を見やる。
千尋は我慢できずに顔を逸らす。
また、そうしたら今度は彼女の手が伸びて、
彼の顔を両手でがっと掴んだ・・・!!
そして、次の瞬間だった。
そのまま唇を寄せ、彼の唇に合わせる様に
軽く、ほんの少し触れた・・・。
さらさらの髪の毛・・・。
それは2人とも同じものだった・・・。
綺麗な2人・・・。
とても綺麗な2人・・・。
夏菜は彼の唇からそっと離れると今度は
髪をほどいて、微笑む。
それは、彼が初めて見た彼女の髪をおろした姿だった。
いつもより妖艶に見え、それでいて幼げなフェイス。
千尋の心臓は高鳴った・・・。
トンっと軽く飛び、彼に抱き着くかの様な素振りを見せる。
抱き着くというより、彼の胸にそっと寄り添う様な・・・。
互いの心音がどくどくと聞こえる・・・。
屋上の風が吹きながらもその風音を断ち切るかの様に
2人の心臓は激しく鳴った・・・。
「・・・。抱きしめてもくれないわけ?」
ぼそっと告げる・・・。
「はっ!!はいいいいっ!!!」
千尋は軽くハグをした・・・。
続。
今回のシリーズは激甘シリーズですね。(笑)
2人の想いが通じたとも言える回になります。




