僕は君の血を吸いたい。
今回はブラッディーとさゆりのエピソードです。どうぞ。
もうじき秋に差し掛かろうとしている8月末。
ブラッディーは暗い表情だった。
「さゆりちゃんに嫌われたのかな・・・。」
「最低ですわ!!」
この言葉が強烈で頭から、耳の奥から離れない。
「他の女の子の裸体で鼻血を出したなんてやっぱり
僕は最低な男かもしれない・・・。」
溜め息をつきながら神社の居間に当たる部屋で
テレビを鑑賞していた。
メロドラマだった。
テレビに映るのは年若い2人の美男美女。
それもその筈、だってドラマに出てるんだから
プロのイケメン俳優と美人女優だ。
じっと爪を噛みながら凝視していた。
そう・・・。
キスシーンからの流れでベッドシーンまで辿り着く流れだったからだ。
凝視すること20秒でノックアウト・・・。
ブラッディーには刺激が強すぎて鼻血を出してその場にうずくまる。
慌ててティッシュを箱から出して鼻に突っ込む彼。
「はー・・・。はー・・・。はー・・・。」
息切れと動悸がする。
目は金色に光り、鋭い眼光になっていく。
自分でも何かがおかしいと気が付いていた。
自覚・・・。
(これは・・・。吸血鬼の血が騒いでる・・・。
嫌いなのに・・・嫌いな筈なのに・・・。
美女の生き血が吸いたい・・・。舐めたい・・・。)
欲望が抑えられない彼。
頭をよぎるのはさゆりの事ばかり・・・。
(あの子を傷つけたくない・・・!!なのに・・・。)
自身の意識が遠のいて、本来の獰猛な野性の本性が剥き出しになる。
気が付くと彼は息も絶え絶えになりながら、
池之宮邸までふらっと飛び去って行った。
池之宮邸の3人娘はそれぞれ、別の個室で休んでいた。
さゆりは風呂上がりで長い髪をタオルでくるむ様に巻いて
ドライヤーで乾かそうとしていた。
すると、突然窓が開いた・・・。
「?!何ですの?」
さゆりが驚いて見てみると・・・。
ブラッディーが居た・・・。
「血・・・血を・・・・・・・。」
「?!!何を・・・!!」
次の瞬間、ブラッディーは彼女を押し倒していた。
余りに突然の事で驚きと微かな恐怖心で彼女は涙目になる。
「何のつもりですの・・・?誰か呼びますわよ・・・?」
小さな声で抵抗する・・・。
「はー。はー。・・・少しでいい・・・。君の血を・・・。分けてくれ。」
金色に光る瞳は暗がりでも美しかった・・・。
ほんの少し戸惑いながらも見惚れてしまう・・・。
「血って・・・。」
「人差し指を差し出してくれればいい・・・。お願いだ・・・。」
何時になくワイルドに攻めるブラッディーに気圧され、
左手の人差し指を差し出した・・・。無言で・・・。
かぷっ。
ちゅるちゅるちゅる・・・。
「いたっ・・・!!」
針で刺した様な痛みが走る・・・。
でもその痛みは甘く甘美なものだった・・・。
ひとしきり吸い込み、ゴクリと飲み込んだ。
すると、倒れ込んでさゆりにもたれかかる。
「酔っぱらいみたいですわ・・・。みっともない。」
「ごめんね・・・。僕は吸血鬼の末裔なんだ・・・。
定期的に少しの血を吸わないと体を維持できない・・・。
でもほんとは血なんか嫌いなんだ・・・。鉄臭いし。野蛮だし。」
「本当に野蛮ですわ・・・。」
「でも・・・。今日吸った生き血の中で・・・。
一番愛おしい程に甘く、美味しいと感じたんです・・・。」
「な・・・・・。なにを・・・。」
「さゆりちゃん・・・。好きです・・・・・。
好きなんだ・・・!!君以外の血なんて吸いたくもない。
僕だけのさゆりちゃんになってほしい・・・。」
弱気な声を振り絞って告げた・・・。
「・・・じゃあ。他の女性の血は吸わないんですのね?」
「え・・・。」
「そういうことでしょう?そう解釈いたしましたわ。」
「満月の日が近づいたら・・・、また・・・。いいかな?」
「お尋ね方が少々いかがわしいですわよ?」
「ごめん・・・。こんな僕で・・・。」
「今日の事は私と貴方の間の秘密にしてくださいね。」
「・・・まるで秘め事みたいだ・・・。」
「秘め事ですわ・・・。こんなもの・・・。」
赤面しながらシャツのボタンを上から1つはずし、
首筋を露わにする彼女・・・。
「ちょ!!もういいです!!それ以上は・・・!!」
「ぷっ!!あははは。冗談ですわ。」
そう言うとさゆりはボタンを閉じた。
「次回は首筋でもよろしいですわよ?」
「えろいのは勘弁です・・・。僕が野獣になる・・・。」
2人の密会は満月の日に・・・・・・。
これは他の誰も知らないお話。
続。
もう少し、エロ目に書いてもよかったかな?と思いましたが
今回はこれでお終いです。
またこの2人のエピソード2を練ります。
 




