雪×雪姉弟とまたしても絡み合う事実。
前回のブラッディーのくだりがカットされてしまいますが、
次回以降に伏線を回収しますので・・・。
今回はまたもや新キャラが増えました。
お気に入りのキャラが出せたのが嬉しいです。
さて。ではお進みくださいませ★
段々と夏も過ぎ、いつもながらの短い秋が始まっていた。
そんな中、夏菜さんのご実家の「神崎神社」・・・、
まあ周りからも自分たちからも「物の怪神社」と
呼ばれているいつもの神社になんとなく妙な空気が
流れていた・・・。
「今日寒くありませんか・・・?異様にサムイ・・・。」
もう長袖のシャツを着ている僕は余りの寒さで震えていた。
「・・・そうね・・・。」
夏菜さんは「慣れた様な顔」をして明後日の方向を向いている。
懐かしさに心を奪われている時の表情だ・・・。
毎日傍で見てたら段々、彼女のしぐさや表情などの
細かい感情の機微になんとなく気が付いてくる・・・。
そんな神社の様子を遠くから見ている美少女の姿が。
髪の毛はショートなのにもみあげ部分(?)が一部分だけ
長くて水色がかった銀髪サラサラヘアーに短い丈の
スカート風の白い着物に草履を履き冷たく凍った様な
雰囲気に包まれている・・・そんな風貌の・・・。
冷たく凍った様な瞳で神社の鳥居の上から座って
見下ろすその美少女はその美しい白い肌をした足を
斜めにした感じにそっと座りながら夏菜さんに一言。
「夏菜!!」
凛とした透き通るような声で夏菜さんに話しかける。
夏菜さんはハッとして上を見上げて微笑んだ。
「雪路!!」
「雪路」と呼ばれるその美少女は鳥居の上から
バッと降りてくる・・・。
しゃら~んという音でも聞こえそうな降り方で。
彼女の周りには雪の結晶がちらちら見えていた。
そう・・・この子も当然のことながら、
「人間ではない」らしい・・・。
彼女が歩けばたちまち足場が凍り付く。
「千尋。この子はまだ初対面よね?
この子は山から山へと渡りながら冬場になると
雪を降らせたりする「雪の神」的存在の・・・、
まあ世間的には「雪女」にあたるわね。」
今度は雪女ですか・・・。(冷や汗をかく僕・・・)
「で?今日はどうしたの?」
夏菜さんは妖怪相手だと物凄く親切になってしまう。
「実は・・・「氷雨」・・・。
弟が山から降りていなくなったの・・・。」
夏菜さんは驚きの表情を隠せない・・・。
「氷雨が・・・行方不明なの・・・?」
思わず動揺しながらも冷静に尋ねた。
「くつろいで?て言いたいところだけど、
貴方たち「雪の精霊」としては神社の中は
「灼熱地獄の様に暑い」でしょうね・・・。」
困った顔になる夏菜さんを見て「雪路さん」は、
「そこまで気を使わなくていいわ。」
クールな顔で夏菜に気を遣う。
「何が原因で彼は「山を降りた」の?」
またまた夏菜さんは「雪路さん」に質問する。
「実は・・・・・・・。」
その頃、雪路の弟の「氷雨」は水族館の中にいた。
「割と涼しいところだな・・・。「山」に似た
冷たい空気が流れてる・・・。」
そう言いながら水族館の中の魚たちを見て微笑む。
「お前たちは「こんな狭い箱の中に閉じ込められて」
大層「哀れ」だな・・・。中から出してやろうか?」
ククッと笑う端正な顔立ちに中性的な白い肌・・・、
姉の雪路にやはり面差しが似ている少し冷たそうな
クールな表情をしたつり目気味の美しい姿をしている。
マイナスイオンで満ち溢れていそうな空間で
「とっておきの美少年」が着物ではなく、
今風の普通の男の子の服装で佇んでいた・・・。
「気に入りまして・・・?」
コツコツとヒールの高いゴージャスだけども
可愛らしいデザインのエナメルの靴を履いて
相変わらずのド派手な衣装風の「琴音さん」が
「氷雨」の前に姿を現した。
「貴方のおかげで少し体が楽になったよ。
有難うね・・・。」少し顔を緩ませてクールビューティーな
美少年の「氷雨くん」が微笑を浮かべて琴音に礼を言う。
ところ変わって・・・。
物の怪神社の境内で話し込む2人。
(勿論のこと夏菜さんと雪路さんだ)
「じゃあ・・・氷雨くんは・・・。
山の神を継ぐのが嫌で下界に逃げ込んだの?」
夏菜さんが息を呑むように静かに問いかける。
ふうっとため息をつきながらこう続けた雪路さん。
「「雪男」っていう「言葉が嫌い」で下界に
降りたのよ・・・。とんだ「馬鹿者」でしょう?」
夏菜さんは「でも別にそれだけが理由じゃないんじゃ
ないかしらね・・・?呼称が嫌なだけってそんな
馬鹿な事・・・。」
夏菜さんは自宅(神社)にあったかき氷機で一生懸命に
喫茶店にありそうな「フラッペ」を作りながら雪路さんと
会話をしている・・・。
もう何杯食べたのか雪路さんは黙々と「フラッペ」を
食べつくしながら夏菜さんに愚痴を聞いてもらっていた。
「「雪男」になるには毛むくじゃらの姿にならなくちゃ
一人前の「雪の精霊」としては成長できないの。
あの馬鹿は「自分の美しさをそんな下らないしきたりで
醜く穢したくないっ!!」て涙目で飛び出していったのよ。」
スプーンをくわえたまま、ふっと横目で遠くを見る。
「あーまー。わかるわねぇ・・・。「氷雨くん」は
中性的な「ジャ○ーズばりの美少年」だからそんな姿に
なったら勿体ないと私ですら思うもの・・・。」
雪路の隣で夏菜さんお手製のフラッペを横取りして
いつの間にか会話に参加してる秋乃さん・・・。
「夏菜ー。これシロップ足りてない~!足して。」
あまつさえ文句を付けてくる姉の秋乃さんに対して
「なんで、姉さんまで食べてんのよっ!」と
怒りの顔でプッツンとキレた・・・。
「ケーチー!!いいじゃない。姉さんだって
暑い夏が過ぎても「美味しい甘味」が目の前に
あったら食べたくなるもんでしょー?」
屁理屈を言いながら「おかわりー。シロップ多めで。」
と、命令口調で図々しくも夏菜さんにフラッペの注文
をする・・・。
「まったくもう・・・!!」
それでも文句を言いつつもちゃんと言うこと聞いて
働く夏菜さんは素敵な女性だ・・・。
僕も夏菜さんのお手伝いをして、フラッペに
アイスを乗せたり、フルーツを盛り付けたりしている。
ちょっとした「出店」の様だ・・・。
そのまた隣には吸血鬼のブラッディーが
「夏菜っ!僕のフラッペには血液型ブレンド風味っぽく
産地にこだわったトマトジュースがけのものを頼みます。」
夏菜さんに馴れ馴れしいので若干苛ついた僕は
「じゃあ。ブラッディーさんには「僕が」味付けしますねっ?」と
多少嫌がらせ風に遮ってトマトジュースをかき氷にドバドバと
かけてやった・・・。僕は実は子供じみて意地悪なのかもしれない。
「おお!美味しそうだなぁ。有難う、千尋くん。」
嬉しそうに無邪気に僕に対して「お礼」を言う彼は実は
吸血鬼なのに妙に礼儀正しくて「人を疑う」ということを
まず知らない風なので自分が物凄い「悪人みたい」で
少しばかり「あ。まずった・・・。」と反省する・・・。
猫又姉妹の「すず、たま姉妹」は寒いのが大嫌いなので
今日はこたつでのほほんとしていた。
一方。またしてもところ変わって・・・。
「琴音さん、今日は道で倒れていたところを
助けてくれた上に「人間用の召し物」まで貸して
くださったり、涼しくて美しいところにも
連れてきてくれて助かりました。楽しかったです。」
クールな、まるで氷上のプリンスの様に美しい少年の
「雪路の弟の氷雨」は極上の微笑みで琴音に礼を言う。
「ズキューン!!」という擬音が聞こえてきそうである。
琴音は(いやですわっ!わたくしには「大好きな美少年の
千尋王子がいるというのに今度はクール系爽やか美少年に
までときめくだなんてっ!とんだ浮気者でごめんあそばせっ?)
と心の中で様々な勝手な思惑が渦巻いていて幸せの絶頂であった。
そんな琴音をよそに氷雨は考え事をしていた。
「このまま・・・。「人間」として、「山の精霊」としての
自分を偽り続けて・・・。何時しか「本物の人間」に
生まれ変わる様に自然と・・・ほんとに自然と紛れ込めたら
どれほど気が楽で幸せな事か・・・。」
水槽の中の魚たちを見ながら、「お前たちと僕は似ているな。」
ボソッと呟いてしまっていた・・・。
ちなみに琴音は「この美少年が実は妖怪系」である事実には
なんとまだ気が付いていなかったので実に呑気なものであった。
「婿養子にできなくとも・・・、わたくしの「逆ハーレム」の
夢が段々と「実現」していくのが素晴らしいですわねっ★
神崎夏菜め・・・!驚いてわたくしの前で悔しがる顔を
いつか拝んでやりましてよっ?!ほーっほほほほほっ!!」
そう・・・。
事の始まりは山から降りたはいいが、「暑さ」にやられて
道路にうずくまっていた「氷雨」を「全くの偶然に」
発見して「ただ美少年だから」という理由だけで
どこの誰とも分からない「氷雨」を保護して、
「涼しいところに行きたい・・・」とつぶやいた彼を
キチンと着替えさせて自身の財閥の実家が建てていた
割と立派な「この水族館」に連れてきたという・・・。
そんな偶然が幾つも重なる不思議現象なのである・・・。
彼ら姉弟の今後の行く末は果たしてどうなるのか・・・?
続。
思い付きで毎回書いている気がしてきたので
毎回四苦八苦しながらも「割とうまく誤魔化せた感」で
ある意味自分でも「びっくり」です。
次回以降も丁寧且つ迅速に伏線を回収して
面白くてわかりやすくて「これぞコメディー!」と
胸を張っていえるぐらいの出来栄えになれてくれれば
いいのになぁと思うので、色々と研究したりして
精進いたします・・・!!
長い連載にしたいので途中でスピンオフとかも
書ければいいのになと画策中。




