7.あの日(7)
疑似体に同調していた間の私は、私とは違うものだと思ってた。
キタミには人間の私を友達だと思って欲しかった。
だが、それは間違いだったらしい。
同調してペンギン姿の私が本物の佐保だというキタミには、人間の私も私だとちゃんとわかっているのだ。
彼の言う本物の佐保の一部なのだと。
饒舌なキタミの言葉に顔が緩む。
私はこれでいいんだ。
このままの私が本物だから、これでいい。
お間抜けでもコミカルでも、キタミは友達だと思ってくれている。
そんな私の頼みのために誘拐犯に何とかプロターとか要求してくれ……。
駄目じゃん!
「キタミっ、やっぱり、あの子に何とかプロターとか貰うの、よくないと思うっ。キタミ、あの子に誘拐されたんだよ? またキタミに何かあったらどうするの?」
「なんだ心配してくれてたのか。可愛いなぁ、佐保は」
何を喜んでいるのだ!
ちゃんと危機感を持ってくれ。狙われたのはキタミじゃないか。
「キタミっ」
「ちゃんと調べるよ。佐保に何かあったらいけないからな。でも、あいつ本当に腕がいいんだ。管理局の目を盗むのは手間がかかる」
「キタミに悪い事はして欲しくない」
「悪い事じゃないよ」
「だって、管理局の目を盗むって……」
「管理局には都合が悪いってだけで悪い事じゃない」
そうなのか?
管理局の目を盗むのは、犯罪を犯すようなものではないのか?
「俺と佐保が一緒の映像を撮るだけだ。悪いことのはずがないだろう?」
「でも……でも……」
「管理局はそれを外に出されたくないだけだ。地球内のことを外に出されると困るんだろう。色々とね」
そう聞くと、管理局の方が悪者ののようにも聞こえる。
管理局が正しい、というわけではない、のか。
だが、管理局はキタミを死亡処分にしてしまえる立場にあるのだ。
「そんなことして、キタミは、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。心配性だな、佐保は。大丈夫、佐保のそばを離れたりはしないよ」
そういう問題?
宇宙人のことはよくわからないが、管理局が全面的に正しいわけではないというのは、私的には正解だ。
現地生物に宇宙人が何かした場合その宇宙人を排除はしても、現地生物を助けようとはしないのだから。
でも本当に大丈夫なのだろうか。
「たとえ管理局にバレても、映像が撮れなくなるだけだ。そうなる前にたくさん撮っておこう」
そうか。
こうして、キタミの忘れろ電波は強力にされてったんだな。
そう思った。




