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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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7.あの日(6)

 なぜ照れるような顔で私を見るのか。

 キタミはとても嬉しそうだが、私は複雑だった。

 

「俺が同調してもペンギンの姿をした偽物にしかならない。たとえカラスの彼女が同調できたとしても、同じだったんだろう」

「偽物って……」

「佐保が同調すると、佐保になる。ペンギンの姿をした何かじゃない、本物の佐保になるんだ」

 

 コミカルな動きのペンギン姿が私の性格には合っているというのか。

 そうだろうとも。

 電車でぐうぐう寝てたくらいだから。

 

 私がお間抜けな性格だからペンギンにマッチしてたってことだ。

 そんなのが本物だと言われてもちっとも嬉しくない。

 そんな声で、顔で言われても、嬉しくない!

 

「カラスさんの性格に似合う疑似体に作り変えれば、同調できて本物になるんじゃないの? 私は、事故で同調しちゃっただけで、本当は嫌だったんでしょ?」

 

「まあ最初は、俺の疑似体を勝手に動かすなと怒りはあったけど。でも……可愛かったんだ」

「……」

 

「あの日の佐保は、まるで、産まれたてのようだった。歩く姿も、寝ている姿も、可愛くて。俺の疑似体じゃなくなってた。……命が吹き込まれたんだと思ったよ。もう作り変えなんて、できない」

 

 こんなに饒舌なキタミは、はじめてかもしれない。

 どうしたんだろう。

 

 ペンギンがぴったりと思われて悔しい気がするのに。

 西日の中で微笑むキタミの顔に喜んでしまう。

 胸の中のモヤモヤは、暗い色から明るい色に変っていた。

 

 お間抜けだと思われて怒っていたいのに、可愛かったと言われて、喜んでいる自分がいる。

 カラスさんのために作り替えることはない。

 そう言われて嬉しいけど、ちょっと……。でも、嬉しい。

 ほんとに、残念だな、私。

 

「私が同調して、嫌じゃない?」

「佐保が同調してくれるのは嬉しい。同調している間の佐保は、俺だけの佐保になるから」

 

 キタミの言葉に、ああそうなのかと思った。

 私が、カラスさんや少年の方がキタミに近いと思ったように、キタミはキタミで私と同級生達との距離に歯痒く思うことがあるのだ。

 

 同調している間は、キタミだけの佐保。

 こそばゆくなってしまう。

 

 キタミと私が本当に知り合ったのは、同調していた姿で。

 キタミにとっては人間の私よりも疑似体での私が先だった。

 あの姿だったからこそ、こうして友達になった。

 

 本来の姿ではないだろうキタミ。

 その姿が本物だと私が思うように、キタミには同調している姿が本物の佐保なのだ。


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