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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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7.あの日(4)

「キタミの疑似体、本当はカラスさんが同調する予定だったんじゃないの? あの子に紹介しちゃっていいの?」

 

 ついついツンケンした嫌な言い方になった。

 胸にあるモヤモヤのせいだ。

 

 キタミがわからない。

 カラスさんより、少年より。友達なのに。

 

 私が同調している疑似体は、本当はキタミが申請を出していたカラスさんに同調して欲しかったのではないのか。

 今もそう思っているのではないのか。

 同調の許可が下りないだけで。

 私が同調したいっていうからそうしてるだけで。

 友達って……。

 

「前は……彼女に同調を頼んでた」

 

 キタミの言葉に口がへの字に曲がったのが自分でもわかった。

 その辺りの風景を見ているふりをして視線を下げる。

 今、すごく嫌な顔をしているから。

 

 カラスさんのことは、動物だしと軽く考えていた。

 人間だから自分の方が上だと思ってた。

 だが、キタミからすれば私もカラスも現地生物で、同列の存在でしかない。

 

 カラスさんはキタミの信頼を得て、同調を頼まれた。

 私は事故で同調しただけ。キタミが望んだのでは、ない。

 

 すごくカラスさんが羨ましい。

 カラスさんが同調したら、キタミはとても喜ぶかもしれない。

 でも、その姿を見るのはすごく辛い気がする。

 絶対に喜んではあげられない。

 心が狭いなぁ。

 

「管理局の許可を待ってるんでしょ? なのに、あの子に勧めるなんて。カラスさん、怒るよ」

「彼女には同調を頼んでたけど、同意も否定もなかった。ただ、俺の疑似体に同調はできないだろうと言ってた」

「え?」

 

 カラスさんが?

 私がもし事前にキタミから説明を受けたとしても疑似体やら同調について意味不明だろう。

 

 なのにカラスさんは、同調できないだろう?

 同調とか疑似体とかわかっているから出てくる発言、だと思われ。

 私はごくりと唾を飲み込んだ。

 

「それでも、試しもせず決めつけない欲しいと彼女にしつこく同調してくれるように頼んでいた。疑似体は自分で同調して、不自由なく動けるのを確認してたから、彼女にできないはずはないと思ってた。同調申請は彼女に無断で出してたんだよ」

 

 チラリと目線を上げると、キタミは苦笑を浮かべていた。

 キタミがしつこくカラスさんに頼んでいた。

 少年の行動は、以前のキタミだったのか。

 

「彼女は、あの日、鞄を置いてついてこいと言った。彼女なら同調できるはずだから試して欲しいと疑似体を見せようとした俺に」

 

 あの日。

 私が同調した日……。


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