7.あの日(3)
キタミの腕を羽で叩いて訴えた。
だが、キタミは私の背中を撫でるだけで顔は少年に向けたまま。
「カラスとの交渉しだいで、連絡を入れる。それでいいか?」
「ああ、それでいい」
キタミっ!
訴えているのに、キタミは全然きいてくれない。
私の心配をよそに二人の間で話はまとまってしまった。
「カラスの彼女は、一人でいる子供には優しい。だが、そうだな、彼女はダイヤが好きだ。プレゼントすると喜ぶはずだ」
「ダイヤか。アドバイスは助かる。行ってみる」
ち、ちょっと待て!
待て待て待て待て待て!
少年、ダイヤだぞ。
わかっているのか、ダイヤなんだぞ。
ダイヤは……高い…。
少年は私達に背を向け、歩き去った。
公園へ向かうのか。貢ぎ物を購入するためなのか。
はたまた家に帰るためなのか。
彼は振り返ることなく、人混みの中にその姿を消した。
少年も宇宙人だからな。
子供でも、高くても、いいのか。
キタミが誘拐犯の少年に付け込まれるようなことになってはいけないと心配していたのに、キタミが少年にダイヤを貢がせるという事実に全てが吹き飛んでしまっていた。
誘拐犯ではあるが、まだ少年の彼に、貢がせるとは。
ショックが冷めやらぬ中。
「さて、佐保ももう大丈夫だ。解除するか?」
キタミがそう言った途端、私は女子高生に戻っていた。
早いな。自分ではできないのに。
私は、はあっと大きな溜め息を吐いた。
「キタミ、あの子に何を欲しいって言ってたの? 私がキタミと一緒の映像がいいって言ったからなんでしょ?」
「そうだよ。あいつが持っている物なら、作る手間が省けるから。手に入ればすぐに撮れる」
「あの子が機械に細工とかするかもしれないじゃない? だから市販のものは使わないんでしょ? すぐじゃなくてもいいよ。そんなに面倒なら、私だけの映像でいいよ。そうしよう」
「でも、一緒がいいだろ? 大丈夫だよ。あいつは腕がいい」
なぜ大丈夫なのか全然わからない。
だが、キタミは何の問題もないという様子だ。
キタミがそういうなら、そうなのだろう。
私には宇宙人達のことはわからないのだから。
モヤモヤする。
「どうしてあの子にカラスさんのこと教えたの? カラスさんに酷いこと、するかもしれないのに」
「彼女はあいつに何かされたりしないよ」
何なのだ、その信頼は!
カラスさんに対する信頼の高さ。
少年に対する不明な大丈夫。
私はすごくモヤモヤしていた。




