7.あの日(2)
自分の友人をこいつに勧めるなんて、どういうつもりだ、キタミ。
こいつはキタミを誘拐したり、私に無理やり同調をさせようとする奴なのだ。
そんな危険極まりない奴を勇敢で親切な友人カラスさんに近付かせるなんて、何を考えているのか。
「彼女がそれに同調することに同意してくれなかったとしても、それにふさわしい相手を連れて来てくれるかもしれない」
相手を連れて来る? カラスさんが?
私がペンギン疑似体に同調したのはカラスさんが何か関わっている?
それとも、以前、同調申請をしていると黒沢が言ってたのは、カラスさんではなく、カラスさんに紹介された別の誰かだった?
「……本当か?」
「お前次第だ」
美少年は悩んでいた。
私も悩んでしまう。
キタミは何を考えているのだろう。
本当にカラスさんにこいつを会わせるつもりなのか?
別のカラスの知り合いなのか?
「わかった。そのブサイクは、諦める」
少年はきっぱりと言い切った。
だが、少年よ。ブサイクを名前のように使うのは止めるべきだ。
将来女子から相当恨みを買うぞ。
その時、女子に認識されていればの話だがな。
まあ、これで私やキタミにちょっかい出してこなくなるだろう。
よかった、のか?
「彼女とうまく話が付けば、欲しいものがある。お前、管理局のガードに目眩しするのが得意だろ? 渡航者画像処理用プロテクターが欲しい。こちらに流してくれないか?」
キタミは少年によくわからない言葉をかけた。
少年はやや眉を寄せたが、頷いた。
「できるけど、そんなものをどうするんだ?」
「画像を撮るんだ」
「渡航者なんて撮っても意味ないだろ」
「あるんだよ。いろいろと、な」
キタミと美少年の話はよくわからない。
だが、たしか渡航者は宇宙人のことだったはず。
渡航者を撮る?
それは、私がキタミに頼んだ、キタミと私一緒の映像を撮るために?
この少年はキタミが認める高い技術を持っているのか。
市販のものを手に入れるくらいなら作るといいそうなキタミが、こんな奴に交渉しているのだから。
キタミを誘拐した奴なんて、それこそ何を仕掛けるかわからないだろうに。
それほど難しいことを、キタミが断らなかったからと無理に頼んだのか。
私ってやつは……。
こんな奴に頼んで、キタミに何かあったら。
「キタミ、キタミっ。私、キタミと一緒に撮らなくても大丈夫。私の映像があればいいから」
それで十分だよ、キタミ!




