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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(7)

 キタミがテーブルから降ろしてくれるため両脇を掴んで私の身体を持ち上げたのだが。

 

「ち、ちょっと待って。やっぱり椅子じゃなくて床、床に降ろして」

 

 私はジタバタと羽を振ってキタミに訴えた。

 ちょっと前に神社で外を走り回った。

 それから風呂には入ってない。

 

 もちろん、私がではない。

 疑似体がである。

 

 外を走り回ったというのに、あの後、足を拭いていなかった。

 その状態でキタミの家で過ごしていたのは、今更である。

 キタミの家の絨毯のおかげで、私の足の裏は綺麗になっているかもしれない。

 しかし、人様が腰かける椅子に立つのは、靴はいて電車の座席に立つ子供と同じ行為ではないのか。

 

「どうした?」

 

 キタミは私を膝の上に立たせ、尋ねた。

 キタミのズボンが――以下省略。

 

「私の足、神社で走ったし、汚れてるから…。床に降ろして。キタミの部屋も、汚してごめん」

「何だ、足か。気にするな。佐保は汚れてなんかないよ」

 

 キタミは私の身体を膝の上にのせると、ハンカチを取り出して私の足を片足ずつ丁寧に拭き始めた。

 

 うーん。

 確かに間違ってはいない。

 足の裏を綺麗にしたいと思った。

 その意をくんでくれたのは嬉しいことだ。

 拭いてくれるのも、有難いことである。

 だが、しかし。

 

 イケメンが目を細めて嬉しそうにペンギンの足を拭いている姿は、どうなのだろう。

 男子として、終わってやしないか。

 

 キタミは宇宙人だから、構わないのかもしれないが。

 私は現在キタミの膝に横になってテーブルの下に沈んでおり、視界に黒沢も八坂さんもいないことを喜んだ。

 今しばらくは頭を上げるのはやめよう。

 

 

 さて、と。

 足の裏を拭いてもらった私は、椅子の上に立たせてもらう。

 テーブルには注文の品がすでに並んでいた。

 私は正面の八坂さんにキリッと笑顔を向ける。

 

 いままでのことは、忘れてくれ!

 

 私が気合を込めて視線を送ったところで、黒沢が口を開いた。

 

「米田さんは本当に疑似体に馴染んでるんだな。あ、あのペンギンの疑似体は米田さんなんだ」

 

 黒沢がやっと八坂さんに話しかけたのだが、それはないだろう。

 色々省略しすぎて何の説明にもなっていない。

 案の定、八坂さんは瞬きしているだけ。

 彼女の沈黙は何を秘めているのか。

 

「米田さんはキタミのフレンドだ。この姿でフレンド・パークに掲載されてから、米田さんはすっかりフレンド・アイドルになってる。パークでは人気者なんだよ」

 

 黒沢……説明する気あるのか?

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