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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(6)

 私達は四人で喫茶店アルトに入った。

 喫茶店といってもスイーツを売る店でもある。

 

 ドアを入ったすぐのところにあるガラスケースに、お目当の悪魔チョコ・ケーキがあるのをすかさずチェック。

 新作だし、人気があるので、夕方には売り切れている時があるのだ。

 だが今日は大丈夫。

 誰かが突然ドカ買いする前に注文すれば、悪魔チョコ・ケーキが私の口に。

 口に……。

 はっ。

 今、私はペンギンではないか。

 これでは食べられない。

 

「キタミ、解除して」

 

 キタミに声をかけたのだが。

 ちょうど黒沢の言葉が被ってしまった。

 

「左奥の席が空いてる。あそこでいいか?」

「ああ」

 

 キタミの返事を受けて黒沢は八坂さんを促し店の奥の六人用の席へ進む。

 その後をキタミが続いた。

 私の声を聞いたはずなのに、私を抱えたまま。

 

 アルトはさほど大きな店ではない。

 二人用の席が数個、四~六人用の席が数個。

 そのテーブルの間も広くはなく、私が同調解除するのに余裕があるとは言い難い。

 だから同調解除は入口付近の空間的に余裕がある場所の方がいいと思う。

 そこは確かに店員さんがいて、外の通行人にも見える場所だから、同調解除に適した場所ではないのではあるが。

 どうするつもりだ、キタミ?

 

 もしやトイレの空間利用か?

 それはちょっと、嫌かな。

 

 トイレに靴も履いてないペンギン素足で立つことに抵抗があるのだ。

 もちろん、普通の床もトイレの床も同じことだ。

 それはわかっている。

 わかっている。

 

 だが、トイレなのだ。

 うーん。

 

 ドンッと私はテーブルの上に降ろされた。

 トイレの床は嫌だが、テーブルの上はもっと駄目だ。

 人様が食事をするテーブルになんて、絶対に。

 いや、そうではなく。

 

「キタミ、解除っ」

 

 バシバシとキタミの腕を叩いて訴えた。

 

「佐保は自分でできるよ」

 

 にっこり笑ってキタミは言った。

 できないと思ってるな!

 

 くううっ。

 やってやろうではないか。

 

 解除っ。

 同調解除っ。

 解除できる、解除できる、解除できる。

 解除だぁぁぁぁ……。

 

「……キタミぃ……」

「ほら、佐保が食べたいのはこの悪魔チョコ・ケーキなんだろ? 飲み物は何がいいんだ?」

「グレープフルーツジュース」

「黒沢、俺はブレンド。佐保はグレープフルーツジュースと悪魔チョコ・ケーキな」

「わかった。八坂はどうする?」

 

 黒沢はテーブルの私に何とも思ってないようだが、背中に八坂さんの視線が痛い。

 

「キタミ、椅子に降ろして……」

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