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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(5)

「米田、さん?」

 

 八坂さんが呆然と呟いた。

 まあ、いきなりペンギンになって、それが知人の声でしゃべったら驚くよね。普通は。

 

「ああ、空間障害を起こした奴か。もう空間障害をおこせなくなったから来たんだな」

「管理局、やっと対応したのか」

 

 驚いている八坂さんフォローもないままキタミと黒沢が言葉を交わす。

 八坂さんがメインゲストじゃないのか、黒沢よ。

 

「そうらしい。おい、少年。そんなことばかりしてると、こいつみたいに現地生物がお前を感知しなくなるぞ? その疑似体に同調する以前に、お前と会話できないと同調許可が下りないんだからな」

 

 ん?

 こいつみたいに?

 それってキタミの忘れろ電波が強力なのは偶然ではないってこと?

 キタミも、過去に何かして……。

 

「同調する現地生物くらいいくらでも手に入る!」

「無理だな」

「だから、佐保を狙ってここまで来たのか」

 

 おいおい、宇宙人達!

 いつまでベラベラと宇宙人情報を往来で喋ってるのだ。

 宇宙人なら宇宙人らしくこっそり秘密にしておくべきだろう!

 

「佐保はお前の疑似体には興味はない。帰れ」

「待てよ、ブサイクっ!」

「さて、行くか」

「そうだな」

 

 男子二人は喚く美少年は放っておく事にしたらしい。

 少年に背を向け、歩き出した。

 

「八坂、行こう」

 

 黒沢は棒立ち状態の八坂さんを促している。

 キタミは私を抱えたまま、さっさと歩きはじめていた。

 

 美少年はキタミを誘拐した犯人だよ?

 何か、こう……。

 こう……思うところはないのかね、君達。

 

「待てっ、ブサイクっ。俺のに同調しろ!」

 

 男子二人の背中に向かって叫ぶ少年が、憐れに思えた。

 

「あいつ、米田さんのことが、相当、気に入ってるんだな」

「そうなんだ。佐保は可愛いからな」

 

 宇宙人って、情報駄々漏れ?

 隠す様子もなく喋っていれば、否応なく情報が私の耳に入って来る。

 そして、八坂さんの耳にも。

 いいのか?

 いいのか、本当に?

 

 私達が歩いている歩道には、普通に人が歩き自転車も通り過ぎていく。

 ごく普通の夕方。

 

 誰も宇宙人達の意味不明な会話に耳を傾けたり、黄色いポンチョに蝶ネクタイをつけたペンギンに目を止めることはない。

 これで……いいのか。

 

 八坂さんは、私を見たり、キタミを見たり、道行く人を見たりしている。

 とてつもなく挙動不審だ。

 気の毒に。

 

 黒沢、何とかしてやれよ。

 ちょいモテのくせに、気が利かない奴。

 だから、フレンド登録を断られるんだよ。

 

 黒沢に気の利かない奴め!と視線を投げつけた。

 そして視線をずらすと、八坂さんとばっちり目が合った。

 彼女の目は、死んでいた。

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