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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

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6.みんなでお茶を(4)

 最後の授業が終わると私はすぐにキタミの教室へ走った。

 そこにはすでに黒沢がいた。

 

「やあ、米田さん」

 

 イケメン男が軽やかに挨拶してきた。その側には、やや不機嫌な顔の八坂さん。

 迎えにというのは、キタミの教室へだったのか。

 ある意味非常に正しいのだが。

 この敗北感。

 

「キタミぃ」

 

 置いて行かないでくれ。

 八坂さんと黒沢の間にいるのは嫌だ。

 しかし、八坂さんまで来ているのに、ここで帰るのはどうなのか。小心者の心が疼く。

 

「どこへ行くって?」

「学校の近くの店だ。そんなに遠くない」

 

 キタミの問いに黒沢が答えた。

 やった!

 

 キタミも一緒に行ってくれるらしい。

 キタミとスイーツ!

 うわー。

 

 テンションが上がる。

 これはっ。

 学校帰りに男子とデートなコースではないか。

 いや、ダブルデートなコースか。

 

 キタミとホテルという大人な経験値も重要だが、こうしたカップルコースというのもなかなかである。

 

「ありがと、キタミっ!」

 

 私は浮かれた気分で学校を出た。

 

 

 

 そこまでは、よかったのだ。

 そこまでは。

 

 校門を出たところで美少年の声を聞くまでは。

 

「おい、ブサイク! 俺のに同調しろっ!」

 

 グオンッ

 突然、視界が歪んだ。

 

 視界が元に戻ると、美少年が私を見下ろしていた。はるか上から。

 どうなったのだろう。

 まさか、こいつの疑似体に同調してしまったのだろうか。

 私は恐ろしくて視線を動かせなかった。

 

 そんな硬直した私の上からふわっと布が降ってきた。

 黄色いポンチョ。

 私の、疑似体のポンチョだ。

 

「佐保は本当に、こうしてるのが好きだな」

 

 笑いながら私の前に跪き、キタミはポンチョを着せてくれる。

 私が視線を降ろすと、腹、腕、いつものペンギン姿だった。

 よかった。

 ポンチョを着せると、キタミは私を腕に抱え上げた。

 

 私に向けられる視線を感じて顔を動かすと、がっつり見ている八坂さんと目があった。

 これだけ宇宙人に囲まれた状況でも普通に驚いているらしい八坂さんに、驚く。

 キタミがここにいるのに。さすがだ。

 八坂さんは本当に忘れろ電波が効かない人らしい。

 黒沢が拘るだけはある。

 

「お前っ」

 

 美少年が喚こうとしているところで、黒沢が尋ねた。

 

「こいつ、誰?」

「さあ?」

 

 キタミがしらっと答えた。

 この美少年はキタミを誘拐しようとした人物である。

 名前は知らないが。

 

 少年が着ているのは品のよいブレザーな制服で、私立の有名小学校か中学校のもの。だがこの辺りの学校ではない。

 キタミはこの少年の情報を入手しているはずだが、何故かとぼけている。

 なので私がびしっと羽差し言い放った。

 

「この前キタミを誘拐した奴よ!」

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