5.時には悩むこともある(5)
私が同調した時、八坂さんは私が消えるのを目撃していた。
でもその後てっきり忘れると思っていたのだが、黒沢の忘れろ電波くらいでは効果がなかったらしい。
「八坂は、俺が米田さんを消したってずっと疑ってるんだ。まるで犯罪者扱いだよ」
「犯罪者扱いなんてしてないわ。黒沢くんがわかるように説明してくれないからでしょ!」
「説明したじゃないか。米田さんは北見を探して、北見の元に行ったって」
「黒沢くんの背後で米田さんの姿は消えたのよ? そんな説明ではわかるはずないでしょっ」
黒沢と八坂さんは仲がいいらしい。
そして黒沢は説明下手なの確定。
一応、迷惑をかけたのだから二人の間に割って入るべきなのか。
それとも二人はこのまま放置しておくのがいいのか。
悩む。
「ねっ、米田さん!」
「そうだろ、米田さん」
ぼーっと眺めていると、二人揃って私に同意を求めてきた。
しかし話を聞いてなかったので何の同意を求めているのか、さっぱり不明だ。
「え--と、仲いいよね、黒田くんと八坂さん」
「え?」
「まあね。友達だから」
「ちっ……」
たぶん違うといいかけて止めた八坂さん。
それに満足そうな黒沢。
「ああ、黒沢がフレンド登録を頼んでた子か」
キタミがぼそっと呟いた。
しーん。
黒沢が、八坂さんに、フレンド登録を頼んでた。
だが黒沢にフレンドはいない。
つまり八坂さんは黒沢が宇宙人だと知っていて、フレンドになって欲しいと頼まれて却下した、と。
昼間、フレンドがいないと言った時の黒沢の姿が哀愁を漂わせながら脳裏に蘇る。
気の毒に、彼女に振られたのか。
イケメンなのに、な。
誘拐なんてしない、まあまあ親切な宇宙人なのに、な。
気の毒に。
「黒沢くん、八坂さん。とりあえず私達は無事だったから。お騒がせしました。じゃ、仲直りしてね」
「え? 米田さんっ」
「だから言っただろう?」
「でもっ」
二人の声が聞こえたが、別に私達がいなくてもよさそうだ。
私はキタミとその場を後にした。
「黒沢くん、八坂さんに自分のこと話してたんだ。八坂さんは普通の人だよね?」
「佐保が最初に同調した時、二人にも何か起こったみたいだ。それに元々彼女は忘れにくい人らしい」
「へぇ-」
忘れにくい人、か。
私は間違いなく、忘れやすい人だ。
そう考えるとかなり複雑だった。
「ああいう人がフレンドに向いてるのかな」
ちょっと卑屈な口調になった。
八坂さんなら、キタミのことを忘れなかっただろうか。




