5.時には悩むこともある(3)
キタミに訴えて、何とか私は地面に降ろしてもらった。
残念そうなキタミは放っておくとして。
さあ、同調解除をやってみようじゃないか。
解除!
同調解除!
解除したいな。
元に戻りたいです。
やはりというか当然というか同調解除はできなかった。
「佐保、解除してみ」
……やっているのだよ。
できないだけさ。
空が青いよ。
私はキタミに背を向けた。
「同調を解除っ」
声に出してみたが、指輪はさっぱり反応せず。
さわさわさわっ
風で枝が揺れる音がする何とも静かな空間が、冷たい。
「解除できないっ!」
くるっとキタミに向き直って訴えた。
しゃがんで私を見ていたキタミも驚いた顔をしていた。
ニコニコ笑っているわけでなく、穏やかに見守っているわけでもなく、驚いている。
その驚きの意味は、同調解除ができると思っていたができなかったという意味だろう。
「キタミ、解除できないっ」
「あ……そう」
そう、じゃないよ!
何を寝ぼけたことを言ってるのか。
キタミは疑似体の箱を胸元から取り出した。
どうやらネックレスにして身に付けていたらしい。
「解除するよ」
キタミの声とともに解除がはじまり視界が歪む。
そして、私は元の身体に戻った。
キタミは驚いた表情のままだった。
「どうしたの、キタミ?」
「強制解除は、してない」
「え?」
「解除すると言っただけだ」
解除すると言っただけ?
つまり?
「佐保は自分で解除したんだよ」
おお!
私、やればできる子。
でも全然解除する感覚はわからなかった。
何がきっかけで解除できたのやら。
これでは次に解除できるかどうかが怪しい。
「もう一回同調してみる」
「佐保!」
同調!
と念じてどうにかできないのは同じ。
「同調したいっ」
と口に出すと指輪が暖かくなり、視界がぐにゃっと歪んで縮んだ。
おお同調は成功。
口に出すのがポイントらしい。
というか、指輪のおかげ?
「解除っ」
変化なし。
言葉が間違っているのか。
「解除したいっ」
同調解除したい、同調解除する、とか言い方を変えてみた。
様々に試してみたがいずれも解除はできなかった。
「キタミ、解除できないよ?」
私はずっと黙っていたキタミに訴えた。
キタミは困っているようにも呆然としているようにも見える顔をしていた。
どうしたのだろう。
「キタミ?」
「え、ああ、解除するか?」
「うん」
私は元の制服姿に戻った。
簡単に。




