5.時には悩むこともある(2)
あのエンジンは、私が動きを止めて数秒待てば、力を弱めるので降下できるらしい。
さっきバタバタ羽を動かしていたのは、ヤバかったのだ。
着地していれば停止し、しばらくすれば背中に収納される。
今は私の背中には何もない。
便利なものだ。
キタミの背中にも地面に倒れ込んだ時にはもうなかった。
格納は素早い。
それにしても、誘拐された時キタミもこのエンジンを持っていたのだから、脱出しようと思えばできたのではないだろうか。
「キタミだけでも戻れたんじゃない? キタミも持ってたんだから」
キタミは私が同調して現れたのを喜んでくれたが。
あれがあれば、スマホや武器が取り上げられていても逃げられたのでは?
キタミは現地生物ではないとしてもあれを使えばUFOが吐き出してくれたのではないのか。
「佐保が指輪を使ったから取り出せたけど、自分では出せないんだ。出せてたら取り上げられてただろうな」
この指輪にはそんな効果が!
と言っても、そんな効果がとんな効果なのかはさっぱりわからないので、凄い指輪なのだと思うにとどめる。
「それにしても、佐保はいつの間に自分で同調できるようになったんだ? 全然知らなかった」
同調できるようになったわけではない。
キタミの居場所が知りたくて同調すればと思っただけ。全ては指輪の仕業なのだ。
私は、授業が終わって黒沢のところに行ったこと、同調すればキタミの居場所がわかると思って、黒沢に同調する方法を聞いたことなどをキタミに話した。
「黒沢の説明は全然わからなかった。で、同調したいって口に出したら、指輪が反応して同調させてくれたんだよ」
「同調したのは指輪じゃない。指輪は俺の持ってる佐保を探しただけだ。同調したのは佐保だ」
「ええ?」
「同調したんだよ。今、やってみるか?」
「今?」
「同調できたなら、解除もできる。さ、やってみ」
同調できたら、解除もできる。
それはわかるが。
現在、私はキタミの腕に抱えられた状態だった。
「降ろしてくれないと解除できないんじゃないの?」
「俺は佐保を潰したりしないよ」
キタミはにこにこと笑っている。
私を腕に抱えたまま。
同調を解除すると疑似体は一センチ四方の小さな箱の中に戻り、私の身体が疑似体のいた所に出現する。
なので、この状態だとキタミの腕の中に出現することになってしまう。
「地面に降ろしてよ」
「このまま解除すればいいだろ?」
「やだ!」
バシバシと両羽でキタミを叩いて拒否した。
だが、キタミは嬉しそうだった。
「佐保、可愛いっ」
キタミ、色々間違ってるよ。




