5.時には悩むこともある(1)
そういえばと、私はキタミに駆け寄る。
「キタミ、私が『助けて』って言ったら」
ぼぼぼぼぼぼぼっ
私は宙に浮いた。
いや、助けてくれるつもりなのはいいのだが。
今はそう言ってみただけなのだ。
そのくらいは察して欲しい。
私の背中の噴射機は、静かな神社に盛大な騒音をまき散らしていた。
なんという迷惑行為。
キタミと会話もできないではないか。
私は宙に浮いた状態でバタバタ羽を動かした。
降りようとしているのだが。
徐々に上がってる?
ヤバくない?
どうやったら止まるのか。
これについてキタミに訊こうとしてたのに。
ぼぼぼぼぼぼぼっ
全然、会話できる状態ではない。
「キタミ――!」
私がジタバタしている私の両脇をキタミが掴んだ。
途端に騒音が止む。
「羽を動かしていると、上昇してしまうぞ」
笑いながらキタミはそう言ったが。
そんなこと知らないのだから、仕方ないだろう。
「アレ、ええと、背中のボーボーいってたのは何?」
「化石燃料で動くエンジンだよ。あれは空気を燃やしてしまうからUFO内で動くと最悪だ。だから、あの時UFOは排出するよう作動したんだ」
そうだったのか。
UFOの壁が開いたのは、あの美少年が意図しないUFOの自動判断だったわけだ。
下手をすれば美少年が空中に飛ばされてただろうに。
UFOとは、とても危険な乗り物らしい。
「だから、アレは私を助……っと、守る?」
「化石燃料のエンジンで動いてる物は特別な扱いになるんだ。接触するだけで管理局から現地生物を傷つけるのと同じとみなされるんだよ」
おお、管理局の出番なのか。
現地生物を傷つけるのと同じとみなされる。
つまり、触れただけで管理局に問答無用で消去されるということか。
飛行機や船に接触したり移動させられたら、直接人を害したわけでなくとも大惨事になりかねない。
変な所に放置されて領空侵犯で撃墜される可能性があったり……恐ろしい。
だがその状況になっても、管理局は助けてはくれない、と。
消去するなら状況を読んで少しは助けろよと思う。
配慮が足りないのは何故だ。
そんな管理局をあてにするのは、微妙だ。
だが、アレで宙に浮いていれば宇宙人達は私に手が出せない。
そして私は逃げられ、守られる。
微妙だが、管理局をあてにはしよう。
「でも、キタミは私に触ってたのは大丈夫だったの?」
「佐保は俺のフレンド登録してあるからな」
わかったような、わからないような。
とりあえずエンジンの止め方を教えてもらおう。
私はキタミに教えを請うた。




