表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/318

4.ペンギンでも空を飛ぶ(9)

「くすぐったいよ、佐保」

 

 キタミが笑った。

 こわばっていた身体が徐々に元に戻ろうとしているようだ。

 だが、まだ冷たい。

 

 私はガシガシと強めに身体を擦りつけた。

 これならくすぐったくないだろ。

 

「可愛いなぁ、佐保は」

 

 そりゃ、どうも。

 答えずに私はせっせとキタミの身体をこすり続けた。

 早く、早くあったかくならないと……。

 

 そうした私の心配は杞憂で、しばらくするとキタミは体温を取り戻した。

 ゆっくりと上体を起こす。

 その動きに変なところはなかった。

 

「ありがとう」

 

 にっこり笑いながら私の頭を撫でてくれた。

 もう、大丈夫だ。

 大丈夫なんだ。

 よかった。

 

「ありがとう、佐保。助けに来てくれて」

 

 キタミはそう言ったが、助けようと思っての行動ではない。ただ居場所が知りたくて同調しただけだ。

 後先を碌に考えもせず。

 

「助けに行ったわけじゃ……」

「でも、探そうとしてくれたろ?」

 

 そりゃ、探すだろうさ。

 突然いなくなったのだから。

 そう思ったが、黒沢の反応をみるに必ずしもそうとは限らないことに気付いた。

 黒沢はキタミは時間を忘れて何かに没頭して学校に来ないことがあると言っていた。

 私がキタミの友人歴が浅いための行動なのか。

 だが、心配だったのだ。

 とても。

 

「友達が急にいなくなったら、探すよ」

「そっか」

 

 キタミは私をぼんやりと見ていた。

 笑ってはいるが、嬉しいとか喜んでいるという風ではない。

 何を考えているのだろう。

 

「佐保は、俺の友達、なんだな」

 

 キタミは小さく呟いた。

 ゆっくりと言葉をかみしめるように。

 

 そうか。

 私は、キタミの友達なのだ。

 今、ようやく、そう、認識されたらしい。

 

 ずっと忘れられてきた、キタミ。

 学校を休んだところで、彼を探したクラスメイトはいなかったのだろう。

 そういう私も、そんなクラスメイトの一人だったわけだが。

 今は、違う。

 以前とは違うのだ。

 

 ポッキーを手にキタミに会いに行った日から、今。

 ようやく友達認定。

 

 フレンド登録して、一緒に行き帰りの約束をした。とうに友達だったと思う。

 だが、キタミがそうと認識するのはまた別だ。

 私にしても、そうなのだが。

 

「可愛いなぁ、俺の友達は」

 

 うむっ。

 ペンギンの私が友達なのか。

 人間の私が友達だと認識されているのか。怪しい。

 

 私は拗ねたふりでダダダッと駆けだした。

 キタミに拗ねは伝わってないだろう。

 だがいいのだ。

 

「佐保-、転ぶぞ-」

 

 いいのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誤字などありましたらぜひ拍手ボタンでお知らせくださいませ。m(_ _)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ