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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ+(プラス)
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4.ペンギンでも空を飛ぶ(6)

「佐保の可愛らしさがわからないとは、可哀想な奴だな」

 

 キタミ、そういう問題ではないと思う。

 そんなことより。

 

「そんなだから、お前の作った疑似体は同調を拒否されるんだよ」

 

 キタミは少年を見下ろし、さらっと告げた。だがその言葉、結構キツいのではなかろうか。

 

 案の定、キタミの言葉に美少年は顔を歪めた。

 指摘が当たっているということなのだろう。

 同調を拒否された過去がある、と。

 

 私は突然の事故で同調してしまったが、通常は同調するためには相手の同意が必要らしい。

 私の場合は、いつもキタミに同調してもらっていたのだが。

 

「空間障害を起こしたのは自分の疑似体に何かを無理やり同調させようとしたからだったんだろう? おかげで佐保が同調してくれたから、俺は感謝しておくけどな」

 

 あの突然の事故は、こいつのせいだったのか。

 私はキタミの疑似体ではなく、こいつの疑似体に同調していたかもしれない?

 なんて迷惑な奴なんだ。

 

 でも、まあ。

 こうしてキタミといるきっかけになったわけだし、キタミのように感謝とまではいかないけど、私も罵倒はしないでおく。

 

「そこの疑似体に同調している奴なら、俺の疑似体に同調もできるだろう。調整なしで同調したくらいだからな。俺の疑似体に同調しろ!」

 

 美少年が手のひらを上に向けて、こちらに差し出した。

 その手にあったのは、米粒よりも小さな点。

 

 それに同調しろって言われても……嫌だ。

 疑似体がどんな姿なのか全くわからないではないか。

 いや、わかっていても、そんな知らないものに同調したくはない。

 

「同調しないとキタミを殺すぞ」

 

 美少年は物騒な言葉を口にした。

 キタミは平然としているのだが、実はとても危ない状況?

 

「キタミ……」

「大丈夫だよ、佐保。同調しなくても。第一、同調できないだろう?」

 

 同調は、確かにできないと思うが。

 それだとキタミが殺されてしまうのでは?

 

「でも、キタミが……殺されてしまうかも……」

「佐保は、俺が殺されるのは、嫌か?」

「そりゃ、嫌だよ」

「そっか」

 

 そうかって、キタミ。

 喜んでいる場合?

 

 キタミはすっごく嬉しそうに笑っていた。

 今、危機的状況ではないのだろうか。

 この状況が、よくわからない。

 

「いちゃいちゃしてるな! さっさと同調しろ、このブサイク!」

 

 美少年がキレて喚いていた。

 その気持ちも、まあわからんではないが。

 ブサイクはダメだよ、ブサイクは。

 他人に向けて発していい言葉ではないぞ、少年。


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