4.ペンギンでも空を飛ぶ(3)
「同調すればキタミのところに行けると思う。キタミは疑似体を肌身離さず持ってるって言ってたから。で、同調ってどうすればできる?」
私は黒沢に尋ねた。
私が同調しようとすればできると聞いていたが、よくわからないので、いつもキタミに頼んでいた。同調させてとか、解除して、といえばキタミがどうにかしてくれたから。
しかし、私だけであの疑似体に同調できるはずなのだ。
だが、どうすれば同調できるのかがわからない。
黒沢なら、わかるに違いない。わからなくてもちょっと調べればいいだけだ。
そう期待したのだが。
黒沢からは、渋い顔が返された。
「疑似体との同調は、通常は俺達、地球外のものが行う。俺達なら自分を疑似体に合わせると同調できるし、同調を解くのも自分を疑似体から離せばいい。だが、キタミの作った疑似体は現地生物用だ。俺達が同調するのと同じかはわからない」
疑似体にも種類があるとは知らなかった。
「現地生物用は少ないの?」
「ああ、少ない。あっても現地生物との同調は審査がかなり厳しい上に、許可がでた現地生物が疑似体と必ず同調できるわけじゃない。管理局に許可された同調可能な現地生物用疑似体は、地球全体でも数十個しかないだろう。需要もないしな」
「需要が、ない?」
「現地生物は現地生物のままが一番いいんじゃないか。どうして疑似体なんかに同調させる必要がある?」
黒沢はそう言ったが、彼の言葉が地球にいる全宇宙人の総意というわけではないだろう。
私を見に来るUFOがいるくらいだ。
現地生物用疑似体が欲しいと思う宇宙人がいてもおかしくない。
「で、黒沢……くん、なら同調はどうするわけ?」
「自分を疑似体に合わせるだけだ」
全然わからない説明だ。
宇宙人は説明が下手なのか、私の理解が普通以下なのか。
最悪なことに両方かもしれない。
疑似体に自分を合わせる?
わかるかーーーー!
「もうちょっとヒントっ!」
「ヒントって、」
黒沢に迫っていると。
背後に人の気配がした。
「黒沢くん……米田さん?」
誰か女子の声だ。
ちっ、黒沢の忘れろ電波は弱すぎる。
キタミなら誰もが素通りするはずなのに。
黒沢が彼女の方へと歩み寄る。
あっちは彼に任せるとして。
疑似体へ合わせる?
それをこれ以上黒沢に詳しく説明を求めても無駄なのだろう。
疑似体へ自分を合わせるって何。
ペンギンの疑似体に私を。
どうやって!
「同調したいのにっ」
口から漏れた言葉に、指輪がポッと熱をもったような気がした。
キタミから渡された銀の指輪が光る。
「米田さん!」
「なっ」
え?
視界がぐにゃりと歪む。
同調するのだ。
ペンギンの疑似体に引き寄せられる。
私の視界はぐるぐると回った。
様々な色が混ざり合ってぐにゃぐにゃだ。形なんてない。
その視界が動かなくなった時、私は薄闇の中に立っていた。
「佐保?」
キタミの声がした。




