2.可愛すぎるのも大変です(8)
部屋で二人になると、キタミは私に何度も謝った。
私の映像をシステムエリアにアップしたことを。
プロフィールに載せた私の画像は特殊加工済みで普通には見えないようにしたらしい。
「ごめんな。佐保の映像はプロフィールのもの以外全て削除するように仕掛けておいた。今夜中には一掃されるよ。ごめん、恐い思いさせて」
「もういいよ。無事だったし。で、私を連れて行こうとしたのは何だったの?」
「佐保を見に来た奴が、佐保が欲しくなって奪おうとしたんだろう。佐保を攫おうとした機器は消失しても、本人が消失したわけじゃない。訴えは出したけど、管理局の判断はわからないな」
「誘拐って、罪じゃないの?」
「佐保なら俺が訴えれば罪を問えると思うけど。でも訴えなければ、罪にはならない。佐保を傷つけたわけではないから」
そうか。
海辺で見つけた猫を山に運んで放置しても罪にはならない、ということか。
さっきはカラスが当てられたから管理局が処分したが、私は運ばれただけだったから対処外だったと。
そもそも助けないってこと?
管理局ぅぅぅ。
「でも、私が同調しなければあんなことにはならないんだよね?」
「同調してなくても、佐保は可愛い。抵抗できる武器を持っておくべきだな」
ううっ。
キタミの言葉の後半がものすごく物騒すぎる発言なのに。
前半の威力が半端ない。
イケメンの真剣な顔の効果は凄いと思った。
「で、でも、銃はよくないと思うよ」
「銃? ああ、あれは銃に似せてあるけど、調べればオモチャでしかないよ。現地生物や現地個体に対しては反応しないしな」
どうみても銃に見えたし、音もそんな風に聞こえた。
あれは、そういう風にわざと似せているのか。
「武器はあれがいい?」
私はブンブンと横に大きく首を振った。
オモチャといえどそんな物騒なものは持ちたくない。
もっと普通の……。
「もっと平和的なやつでお願いします」
武器はいらないと言いたいところだけど、宇宙人に連れ去られるのは嫌だ。
今日、抵抗できない悔しさは、十分に味わった。
身を守る術は備えておくべきだろう。
「ごめんな、佐保」
「もういいんだって。それより、今日撮ったのを見たいな。もう編集してある?」
私は暗くなる空気を払うように、明るい口調で言った。
「まだ一部しか編集してないよ」
「一部でいいよ。全部は多すぎるでしょ」
私がそういうと、キタミはスマホを操作しはじめた。
そこに映される映像は同調した私がキョロキョロしたり動いたりしているだけなのだが、やはりペンギンの姿は癒される。
自分でもそう思った。




