2.可愛すぎるのも大変です(2)
砂浜は遠のき、私の足下には海が広がっている。
今どれほどの高さなのか。
目眩がしそうだった。
岸が遠い。
キタミが遠い。
でも、私は身体を揺らしてもがいた。
「離せっ、降ろせっ、私を元のところに戻せぇぇ――――っ」
喚いたところで解放されないとしても、このまま黙って運ばれる訳にはいかない。
私は身体を振り子のように大きく振って、私をつりさげているミニUFO本体へ近付こうとした。
身体を吊り下げているはずなのにミニUFOから私に伸びているものは何もなく、本体をどうにかするしかなかったのだ。
少しでも足が届かないか。
嘴が届かないのか。
もがいても、どうにもならなかった。
悔しいが私ではどうにもならない。
それでも、足掻き続けた。
届かなくても、こんな奴になんかに。
こんな奴なんか!
ドンッ
鈍い音とともに、私の身体が大きく揺れた。
何?と見上げると。
陽射しを背に大きく翼を広げた鳥が頭上に舞い上がり、ミニUFOに向かって急降下してくる。
ドンッ
再び衝撃に身体が揺れた。
鳥が私の眼下へと落ちるが、再び羽ばたいて上っていく。
鳥が、体当たりしている?
黒い翼の大きな鳥。
カラスだった。
カアッ、カアッ、と鳴き声をあげ、ミニUFOへと体当たりを繰り返す。
声に呼ばれたのか、岸の方角から黒い翼の群れがこちらを目指して飛んでくるのが見えた。
キタミの知り合いのカラス?
ふと頭をよぎった。
だが、今はそんなことを考えている場合じゃない。
私は私で再び大きく身体を揺らした。
援軍があるのだ。
今動かないでどうする!
カラス達がミニUFOを取り囲み、行く手を阻む。
それだけでなく、連携プレイで高度を下げさせ、浜辺へと戻させようとしているらしい。
すごい。
カラスって、賢いんだ。
しかし、ミニUFOがとうとう反撃に出た。
攻撃したわけではない。
上昇しただけだ。
だが、それに一羽のカラスの翼が当たり、海に向かって落ちてしまう。
あっ、と思ったが、海に着水するまでには態勢を立て直していた。
ほっとしたのも束の間で、連携が崩れてしまったカラス達の包囲網をミニUFOが抜け、再び上昇をはじめた。
悔しい。
だが、カラス達、ありがとう!
助けを無駄にはしない。
私は身体を揺すった。
負けるものか!




