表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/318

10.ぺんぎん・らいふ終了(2)

「おはよう、北見」

「黒沢、用があるならさっさと済ませよう」

 

 キタミは友人に対して挨拶も返さない。

 不機嫌そのものといった態度を露わにしていた。

 

 キタミの友人はそれを咎めたりはしなかった。

 だが、どことなく険しい表情に見える。

 昨日は二人とも親しくて仲が良さそうに見えたのだが。

 

「米田佐保さん、だよね? 俺は八組の黒沢だ。よろしく」

 

 この姿で名を呼ばれたことに驚いたが、私はキタミの懐から顔を出し、ぺこりとお辞儀した。

 ポンチョ着てるのに黒沢さんには私が見えるのか。

 見えなくてもいると思っているのか。

 

「昨日の怪我は治ったのかな? 痛くはない?」

 

 私は頷いた。

 

「それは良かった。さすがに同調しているのが人だとは思わなかったから、影響の大きさを計算違いしていたんだ。でも、何ともなさそうでよかった」

 

 同調しているのが、人だと思わなかった?

 昨日の時点ではペンギンに同調しているのは、動物か何かだと思っていた?

 キタミはカラスと同調させるつもりだったわけだから、そう考えてもおかしくはないのか。

 では、どうして私が米田佐保だと?

 

「米田さんの同調をどうして解かないんだ、北見?」

 

 なぜ同調を解かないと言われても、機械が壊れているから戻れないだけだが。

 昨日そう言ってなかった?

 

「同調解除はできるはずだ。今すぐ解除しろ。翻訳機能を切ったまま彼女を同調させ続ければ、管理局もさすがにおかしいと気付く」

 

 翻訳機能を切ったまま?

 同調は解除できる?

 キタミの友人は明らかにキタミを責めていた。

 まるでキタミが私をわざと喋らせない、元に戻さないでいるかのようだ。

 

「彼女の自由を奪ってどうする? こんなことが知れたら、下手をすれば死亡処分にされるぞ、お前」

 

 坦々と訴えるキタミの友人。

 キタミは何も答えない。

 機械が壊れているからだとなぜ答えないのだろう。

 キタミは何を考えているのか。

 

「それだけか?」

 

「北見」

「俺は、死亡処分になっても構わない」

 

 キタミの声は静かだった。

 

 死亡処分になっても構わない。

 それでは、キタミの友人が責めている内容を認めることになる。

 同調解除をしない。

 翻訳機能を切ってる。

 私の自由を奪っている。

 意味はわからないのに、何を指すのかはわかってしまう。

 なぜ。

 

 死亡処分って何?

 その言葉は恐ろしい響きに聞こえるが、キタミは構わないという。

 

 わからない。

 わからない。

 私はキタミの顔を振り仰いだ。

 そこには微笑むキタミの顔が私を見下ろしていた。

 

「佐保と一緒にいられるのなら、それでいい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誤字などありましたらぜひ拍手ボタンでお知らせくださいませ。m(_ _)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ