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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ
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9.態度がよろしくなかったら(3)

 部屋にもどると私はキタミの膝に乗せられて、プロテイン二本を飲みほした。

 これで何とか嫌な空気は払拭できた。

 よかった。

 

 そこにチャイムが鳴った。

 宅配便の到着のお知らせだった。

 

 部屋に届けられたのは私が入るくらいの大きさの箱。

 それを持つキタミの顔はとても嬉しそうだった。

 待望のものが届いた、そんな感じだ。

 

 箱を運ぶキタミの後をテッテッテッと小走りする。

 ルームランナーのおかげかスピードアップしている気がする。

 とはいえもちろん付いて行けずに置いて行かれるのだが、箱の中身には興味があった。

 

 キタミがこれほど嬉しそうな顔をするのだから何かと思うだろう。

 外箱のどこかに送り主の情報とか、中に入っているものの情報の何かが書かれてないかと箱の回りを探した。

 机の脇に箱を置いた時、キタミは私が後ろにいることに気づいたようだ。

 

「どうした、佐保? ああ、これか? これはお前のものだよ。もっと早くに届くと思ったんだが……。明日、使えるようにするよ」

 

 そう言って私に笑いかけた。

 やっぱり嬉しそうだった。

 

 

 彼のお尻のポケットのスマホが鳴った。

 ごめんな、と私に断って電話に出る。

 相手は今日キタミと一緒に私を助けてくれたキタミの友人のようだ。

 

 私の手当てに活躍してくれたようだし、後々お礼を言わないといけないだろう。

 名前はわからなかったが、あれだけ目立つ生徒ならどの学年の学生でも見つけられるに違いない。

 また学校に行った時に会うかもしれないから、その時にでもお礼を言おう。

 

 さて、と彼の手を離れた箱を覗き込んだ。

 私のものだと言っていた。

 もっと早く届くはずだったもの、とは。

 またあの手の運動グッズか?

 ルームランナーの他にも何か買っていたのだろうか。

 可能性は高い。

 

 そんなにホイホイ買い物していいのか?

 キタミは将来、女に貢ぎそうな気がする。

 顔もいいし、頭もよさそうなのだから、下手な女に騙されるんじゃないぞと思うが。

 心配だ。

 

 そう考えて、キタミが普通に女子とデートしている姿を思い浮かべられず、ちょっと笑ってしまう。

 イケメンなのに、キタミ、変ってるからな。

 

 ペンギンの疑似体を作ったり、他者に見えなくなるポンチョや蝶ネクタイを直したりできるくらいなのだから、普通の高校生ではないのだろう。

 そう考えて、止まった。

 

 私がペンギンになった時にはその現象に驚いたものの、自分が現実としてあるのだからそうなのだろうと思ったのだが。

 よくよく考えてみると、疑似体を作って同調とか、タイムマシーン並みの発明ではないだろうか?

 それを当然のように語るキタミも、キタミの友人も、普通の高校生ではないのではないのか?

 普通ではない高校生って何だ?

 管理局って、何だろう?

 

 今頃になって私はそんなことを思っていた。


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