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ぺんぎん・らいふ  作者: 朝野りょう
ぺんぎん・らいふ

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9.態度がよろしくなかったら(2)

 しばらく拗ねていると、非常に困った事態となっていることに気づいた。

 二人きりの部屋である。

 

 家の主はキタミで、私は面倒を見てもらっている厄介者だ。

 プレゼントをもらったお礼も言わずに拗ねているのだから、彼が怒っても当たり前。

 

 だがしかし、彼は怒らなかった。

 彼は黙って部屋を出ていった。

 後ろを見ないようにしていたのでわからないが、キッチンへと片付けにいったのだと思う。

 食べている様子もなかった。

 

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 今更そう思っても後の祭りだった。

 

 キタミに当たってしまった。

 彼のせいではないのに。

 

 私は彼のいなくなった部屋で振り向いた。

 ローテーブルの上には私のためのプロテイン二本が残されていた。

 

 私は意を決してローテーブルから飛び降りた。

 このくらいの高さなら平気だ。

 足はしっかりと床を掴んでいた。

 

 ぽてぽてとキッチンへと向かう。

 

 廊下を出てすぐ横の扉がキッチン。

 だが、ドアが閉じられているので、入るのは躊躇われた。

 だからキッチンの外で謝ることにした。

 

「ゥアアァ、ゥアアァ」

 

 ごめんなさい。

 ごめんなさい。

 

 言葉はわからなくても誠意は通じると信じて。

 私はドアに向かって何度も謝罪の声を出し、頭を下げた。

 彼には見えなくても、私の自己満足でも。

 

「佐保?」

「ゥアアァ、ゥアアァ」

 

 静かにドアを開けて出て来た彼に、繰り返し頭を下げて私は謝った。

 何度もそうする私の前に、彼は跪いた。

 

「ごめんな、佐保。お前が謝る必要はないんだ。お前に怪我をさせたのも、お前がプロテインを飲まなければならないのも俺のせいなんだから」

 

 私は首を横に振った。

 キタミのせいではない。

 あれは、事故だったのだ。

 例えキタミのせいであったとしても、私の為を思って様々な事をしてくれている。

 

 それなのに些細な不満をぶつけてしまったのは、私だ。

 反省していることをわかってほしい。

 

「ゥアアァ」

 

 もう一度、深々と頭を下げた。

 床に届きそうなくらいに。

 

「ごめんな、佐保。仲直りしに来てくれて、ありがとう」

「ゥアアァ」

 

 顔を上げた私を、キタミは抱き上げた。

 

「プロテインは飲んだのか? まだ、か。ちゃんと飲もうな。飲んで、早く良くなってくれよ」

 

 彼の腕に抱えられたままで、私は素直に頷いた。

 

「ゥアッ」

 

 プロテイン飲んで、運動して、元気になろう。

 

 しかし、プロテインと運動って筋肉が付き過ぎるのではないのか?

 このペンギン、結構、重いよね?

 

 時々こうして持ち運んでもらうことを考えると、自分の体重が気になるのが乙女心なのだった。


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