始動
だいたい、始業式から一週間後。
いつものみちを歩く。もう、何日この道を歩いてきたことだろうか。
そして、このいつもの曲がり角でいつものあいつがいつもの時間にやって来る。
「しゅう!おはよ!」
あぁ、おはよ。
アキだ。
「秋休みできそう?」
あぁ、必ず作ってやるから待ってろよ
「ありがと」
彼女の表情はどこか悲しげだった。
おれは一日の授業を終え、放課後を迎える。
これも毎日の流れだ。
そして、今日は生徒会室へと向かう。いつもの定例会だ。
議長の野田が仕切る。
「では、これより、定例会議を始めます。まず、今日の内容ですが、ひとつ目は文化祭について、もうひとつは秋休みについてです」
野田はちょっと筋肉質な男子だ。ざっくりいうと筋肉脳。
黒板に『文化祭』と書記の香川が書く。
香川は書道部にも入っている。字のうまさで右に出るものはいない。黒髪ロングのめがねっことして学校で有明なくらいうつくしい。一言で言うなら才色兼備
「はい。文化祭は去年の通り運営委員会を中心に動いていくのがいいと思います」
こう言ったのは副会長の本条だ。彼女はあんまり頭がよくないもののこういった場ではかなりの力を発揮する。簡単に言えば学校の縁の下の力持ち。
「わかりました。では、その方針でよろしいでしょうか?」
ああ、いいとも。
「では、つぎ、秋休みについてです」
「其れについては俺から話そう」
おれは立ち上がる。
「秋休み。それは、誰もが望む理想。そうとは、思わないか?」
みんなが頷く。
「だから、俺は秋休みを作りたい。それをこの学校の伝統にしたい。いいか?」
みんなが頷く。
「なら、けっていだ」
そう言って俺は座った。
「では、各自、秋休みについて案を考えてきてください」
そして、今日の定例会は終わった。
俺はアキと一緒に帰る。
「ゲホッゲホッ」
アキは咳をした。
大丈夫か?
「うん!大丈夫!元気だよ!」
夕日を背景に俺たちは帰った。