宣戦布告
「秋休みがないなんておかしい!!」
彼女は言った。
二学期はじまった9月1日。
彼女の俺にあってからの一言目はそれだった。
夏休みが終わったばかりだというのに、お前はまだ休みたいのか?
「だって、春休み、夏休み、冬休みは、あるんだから、秋休みがあって当然でしょ?」
俺は彼女と学校までの道を歩きながらそんな話を聞いていた。
まぁ、おれも、休みたいっちゃ休みたいがな。
「でしょ!?生徒会長なんだからそんくらいやってよー」
それは無理がある。
「使えないなー。彼女のために動くこともできないの?」
かわいい眼差しをこちらに向けてくる。
うるせー。はやくいくぞ。
おれの名前は山川 修。そして、彼女の名前は秋澤 アキ。俺たちは付き合ってもう少しで一年になる。高校一年生の文化祭も終わった二週間後の10月半ばに告白された。文化祭のときに告白しようとしたらしいが恥ずかしくて出来なかったという。
そして、今日は始業式だ。
おれは、生徒会長としてみんなの前で話さなければならない。
「みなさん!こんにちは。生徒会長の山川です!」
おれはこんとき、頭がおかしかったんだろうな。なにも言うことが思いつかなかった結果これだ。
「夏休みが開けた二学期ですが、文化祭などイベントも多い二学期ですが、ところでみなさん、秋休みがないなんておかしいとおもいませんか?」
生徒がざわつく。先生もだ。
「だから、私は今年、秋休みを作るために精一杯の努力をいたしますので皆様、ご協力お願いします!」
後になって後悔した。
放課後。
おれは、生徒会室へと向かい、パソコンを開く。
『Autumn vacation 計画』
と、文字を打つソフトに書いて『AV計画』というファイル名で保存した。
おれは、生徒会室をあとにした。
そして、副校長の亀田に捕まる。
「おいてめー。」
亀田は年齢が70にみえるわりに穏やかな性格ではない。
「秋休みとか、なめてんのか?」
俺はいつでも、本気ですよ。
「やれるもんならやってみろ?」
やってやりますよ。
そう、この学校の校則で生徒会の出した企画書は副校長の審査を受けてから実行にうつすかどうかが決まるのだった。
おれは、副校長を振り払ってアキのところへいく。
「よっ!生徒会長!朝の演説すばらしかったよー」
アキがいう。
うるせーな。
「彼女ためにそこまでしてくれるなんて、アキ、しゅうのこと大好き!」
今日はいい気分だ。