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スキルアップ  作者: 冠樹
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プロローグ

処女作なので期待せずに読んでやってください。

「ねぇ、お兄ちゃん」


 静かに読書を楽しんでいた俺は、いきなり声をかけてきた妹に視線を向ける。


 現在は夏休み一日目の昼、夏野菜のてんぷら&素麺をたらふく食べた後の食休み中である。

 こいつは先ほどまでそこらへんで「ゲファ」とか年頃の娘が出してはいけない鳴き声をあげていたはずだが…


「細かいことを気にしてると、禿げるよ?」

「いや、心の声読むなよ」


 なんだ、うちの妹はエスパーか。


「もう、そんなことよりお兄ちゃん、今日のアレ、準備できてる?」

「ん?いや、まだだけど…」

「ちょっと、ウソでしょ!早く準備してよ、三時に間に合わないじゃん!」


 耳元でギャーギャー喚かれるのに顔をしかめながら、俺はダイブコードを取り出し首の後ろに接続する。


 一昔前のSFの世界でみられた、電脳世界へのダイブ。

 

 五十年前にヘッドマウントディスプレイ型のダイブ筺体が開発されて以来小型化が進み、二十年前からはナノマシンにより直接脳内に埋め込む「ブレインギア」が主流となっている。

 今では、全人類の九割がナノマシン処理をうけており、電脳世界も多様な発展を遂げていた。

そのジャンルのなかでも人気なのが、実際にゲーム世界を体験できるダイブ型VRMMOである。


「せっかく今日のために頑張ったんだから、最初から躓くようなことしないでよね!」

「俺も同じくらい頑張ったような気が…ナンデモナイデスゴメンナサイ」

「わかればよろしい」


 ちなみに今日のアレとは、本日解禁される新作VRMMOのことであり、兄妹そろってプレイすることを前々から強要…ゲフン、お願いされていたのであった。

 俺がつい一緒に遊ぶと妹に約束してしまったせいで、夏休み開始前に課題を終わらせるという苦行を完遂せねばならなくなったことを思い出していると、また奴が話しかけてきた。


「向こうで楓さんと合流するんだよね?久しぶりに会うから楽しみ!」

「別のゲームで一緒に遊んでるんじゃなかったのか?」

「あっちじゃ二人とも男キャラだからノーカン」

「うげぇ…」


 楓というのは俺たち兄妹と何かと縁のある女で、俺の一つ年下で妹の一つ年上。重度のゲーマーで、今回のゲームに俺たちを誘ったのも彼女である、の、だが…


「こ、今度も男キャラにするとかは…」

「ないない、今回のゲームはリアルの容姿を使ってキャラを作る、所謂リアルスキル派だから」

「そ、そっか、ならいいけど…」

「ああでも、髪や目の色とかはいじれるから、キャラエディットが済んだらメールで連絡しようね!」

「おう」


 そんな会話を続けていると、時計の針が三時を示す。


「いよいよだね。じゃ、また向こうでね」


 そう言って妹はL字のソファーに横たわり目を閉じる。

 俺もソファーに寝転んで目をつぶり、妹と同時に呟く。


「「ネクストゲート、起動!」」


 閉じた瞼の裏で光が遠くなる感覚の後、開けた空間にでた気がして、俺は目を開けた。


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