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みなさんお元気ですか?
私は今、森の中を歩いています。
そう。ピクニックやハイキングならすごーい楽しくみんなでワイワイやってんだろうけど、皮肉にも私一人で黙々と歩いている。
みんなとはぐれた?
いえいえ、私は元々一人で只ひたすらこの訳の分からぬ森の中をもう10時間以上も歩いている。
歩いているというより、彷徨っているという表現のほうが今となってはしっくりくるかもしれない。
もう足は限界だ。
日ごろの運動不足がこんなところで祟るなんて…過去の自分を殴り飛ばしたい。
運動を三日坊主で終わらせるんじゃない!足を鍛えるんだ!…と。
額から汗が噴き出ている。
メイクがヨレるとかもうそんなの関係ない。
思いっきり手で拭ってやる。
都会の喧騒を離れ、マイナスイオン絶賛放出中なこの森の中をひたすら彷徨っている私は
足の限界がきたからなのか、静かに立ち止まり荒れた呼吸を繰り返す。
周りの森を見渡せば、絵本の赤ずきんちゃんを感じさせるなんだかメルヘンな雰囲気の森。
私の心情とは裏腹に
小鳥はさえずり、可愛らしい愛の音楽を奏でている。
小さな生き物達は木から木へと移りチロチロと頭を傾けこちらの様子を伺っている。
可愛いなぁーなんて呑気なこと考えれたのも最初この森にいた1分間だけ。
今はそんな愛らしい動物すらもどうでもよくなる。
足元には膝したくらいの丈の草が生い茂っているので、私は拾った枝で足元の草をなぎ倒しながら歩いた。右手にそっと視線を向ければ、手の皮は所々剥けて赤くなっている。腕も振り過ぎて痛い。握っていた枝を手放そうと考えたが、なけなしの理性がそれを止めた。
今手放すともう拾うことすら億劫になる。
何がいけなかったんだろう?
何がどうなって私はこんな森を一人彷徨ってるんだろう?
私は振り返る。
過去ってやつを。
最後までお付き合いありがとうございました。