表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

赤い不在票。

掲載日:2026/02/05

帰宅した私を待っていたのは、一枚の不気味な不在票でした。

日常のすぐ隣にある、逃げ場のない違和感についての掌編です。

夜、駅から自宅への帰り道。


あと数分でアパートという街灯の下で、背後から乾いた排気音が迫った。


奇妙なほど真っ赤な軽バンが、不自然な加速で私を追い抜いていく。


赤いテールランプが闇に溶けるのを見送りながら、私は「急いでるな」とだけ思った。


コーポ◯◯。


カッ、カッ、、、錆びついた鉄の階段を登る。


その先の1番奥の部屋、203号室。


自室のドアのポストを覗くと、赤い紙の端が「ペロリ」とはみ出していた。


それを指先でつまみ、引き抜いた。


不在票だった。パタン、と投函口が虚しく音を立てて揺れる。


その直後、バンッ。キュルル、、ブォォォォン――。


階下の道路から、ドアの閉まる音、キーが捻られ再びあの音が響いた。


驚いて手すりから身を乗り出すと、さっき自分を追い抜いていったはずの、あの真っ赤な軽バンが、今まさにアパートの前から走り去っていく。


「え? いまさっき投函された……?」


追い抜かれたのは数分前なのに。


私のすぐ先を走り、私が到着するその直前に、これを差し込んで去ったというのか。


不気味さを振り払うように部屋に入り、不在票をテーブルに放り投げ、汚れを落とすためにシャワーを浴びた。


湯気の中で「ただの効率的な配達員だ」と自分に言い聞かせたが、指先に残った不在票の「湿り気」が生々しく不気味だった。


バスタオルを巻き、改めてテーブルの上の紙を確認する。購入した覚えは一切ない。


私はスマホを手に取り、検索窓に指を滑らせた。


『不在票 身に覚えがない 赤い軽バン』


ヒットしたのは、数年前で更新が止まった個人の日記サイトだった。


『赤い軽バンが追い抜いていったら、もう逃げられない。もし、引き抜いた伝票番号の下二桁が「42」だったら……』


 そこから先の記述は、不自然に途切れていた。

 私はスマホを置き、ゆっくりと、テーブルの上の不在票に手を伸ばした。


これを裏返して、末尾の二桁を確認する。


ただ、それだけのことだ。それだけ。



そう言い聞かせて湿った赤い紙に指をかけ、私はそれを、ゆっくりと、めくった。







(了)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも「不気味だ」と思っていただければ幸いです。


まだまだホラーは勉強中ですが、ご感想頂けますと、作話モチベーションになります、お気軽にコメント頂けますと嬉しいです。


次作も構想中ですので、引き続き応援よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ