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CLEAN  作者: 東 守


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7/7

CLEAN


「この間の配信ライブ凄かったですね!めっちゃゴージャスでこれ無料で見ていいの?ってなりましたもん」

「ありがとうございます。直前までバタバタしてたんですけどうまくいって良かったです」

「15周年記念だったんで頑張ったよね」

「バタバタというのは今回のアルバム制作でお忙しかったんですかね?」

「それもあるんですけど、直前になっていつも共演してるバックのオケがインフルに集団感染しちゃって」

「色んなところにお願いしまくって大変だったんすよ」

「でも間に合ったってことは、今まで培われた15年の人脈が成せる技だったんではないでしょうか」

「本当にそうですね、感謝でいっぱいです」

「でもあれが1番ヤバかったよね、CLEANの人が連れてきた"野生のバイオリニスト"!」

「ははっ!!いやめっちゃ失礼だから!凄い天才だから!」

「野生?ですか?」

「すんません、意味不明ですよね。CLEANの方から紹介してもらったんですけど_ 」






 

「はっ?!集団感染?!!ヤバいじゃん、明日どうするよ…」


 人気バンドのボーカル兼ギタリストの塩野は明日のライブ配信の危機に頭を抱えていた。


「取り敢えず、片っ端からお願いしてみよ。最悪俺等だけで出る方向で、…うん、セット組んでくれてるから無駄にしたくないよなぁ」


「塩野様…失礼しました」


 今日の業務が終わり内田は帰りの挨拶に来た。


「あっ、終わりました?お疲れ様です」

_「ん?内田くん?」

「そうそう、今掃除終わったとこ」

「お電話中に失礼しました」

「全然大丈夫ー」

_「そだ、内田くんさー知り合いにバイオリンかチェロ弾ける人いない?俺等今困ってて明日ライブ配信するんだけど人手不足で」

「バイオリン…あっ!心当たりあります!」


 内田は時計を確認する。


「わっ、今なら公園にいるかもです!捕まえてきます!」

「えっ、」

「バタバタですみません!後で連絡します!」


 内田は光の速さで去って行った。


「行っちゃった」

_「公園?内田くん野生のポ◯モンでも捕まえに行った?w」

「えー」


 それから15分程して内田から連絡が入る。


_「っ、すいません…ふー、お待たせしましたっ」

「めっちゃ息切れてるじゃん!落ち着いてからで大丈夫だよー」

_「っ、申し訳ございません」

「で?捕まったの?」

_「っ、はい!いつも公園で練習してる大学生の女の子なんですけど」

「おっ!どこの音大?」

_「あー、えっと薬学部の子なんですが…」

「薬学部…」

_「ただ素人目にも凄く上手な子なんです。一度演奏を聴いては頂けないでしょうか?ちなみに明日の出演は大丈夫だそうです」 

「分かった。じゃぁこのままビデオ通話にして!演奏の様子も見たい」

_「!畏まりました!」


 内田はキラキラの声に塩野は期待が高まった。


「じゃぁ準備ができたらクラシック1曲、あと好きな1曲軽く弾いてみてー」

_「だそうです。大丈夫?」

_「はい!」


 カメラに映る彼女はものの見事に2曲弾ききった。


(ヤバっ!天才じゃん!)


 塩野はとんでもない才能に出会い感動していた。


「さいよ

_「それでは最後に僕のリクエスト曲をお聞きください。星野源さんで[ドラえもん]」


 採用と伝えようとすると、


「どどどどどどどどど ドラえもん」の部分だけを披露された。







「なんで内田くんリクエストするんだよ!w」

「本当にっ!毎回その部分を肩慣らしに彼女は弾いてたみたいなんだけど、内田くんはそれにいつも元気を貰ってたみたいで、僕にどうしても聴いて欲しかったんだって」

「ふふっ、彼女の魅力を伝えたかったんでしょうね」

「そうなんですよね。それで彼女にも知り合いにいないか尋ねたら『妹が天才チェリストです』っていうから連れてきてもらったら」

「超絶天才高校生だったんだよね」

「そうなんよ!他のチェリストの大人達相手に指導してたよね」

「俺は最後の言葉が忘れられん!『いい曲だね。なんてバンド?』って」

「俺等のこと知らんかったんかーい、ってなりましたよ」

「ははっ!絶対将来大物に成りますね」

「本当に!今度のアルバムにも彼女達に協力してもらってるんで良かったら聴いてください!」

「マジで内田くんに感謝だよね」

「俺の家族も内田くんには日頃からお世話になってるんですけど」

「いや俺等内田くんの話しすぎ!wアルバム話全然出来てないw」

「えー!3時間預けてたら5才の息子がピアノでアンパンマン弾けるようになった話なんだけど」

「何それ聞きたw」





CLEAN中央営業所

 休憩室のテレビで人気バンドのインタビューを見終わると、


「内田は何度バズらせれば気が済むんだ!天才かっ!!」


銅田は大興奮していた。


「えっと」

「大丈夫よ内田。これは褒めてるから。普段褒め慣れてないから勢いが凄いだけ」

「へへ、あざっす!」

「こんな素晴らしい広告塔はいない!もう役員にしてしまうか…取り敢えずボーナスは何にする?」

「えーなんだろ?」

「ん?お金じゃないんですか?」

「それはそれで、別に一つ願い事叶えてもらってんのよ」

「ウッチーだけね」

「え、何でですか?」

「専務のお気に入りだからと…」

「決めました!"iイーダ"さん紹介してしてください!今年こそeスポで優勝します!」

「願い事がだいたいゲーム関連なのよ」


 内田はしっかりとゲーマーだった。


「ほー。よし、今度のテストマッチに勝てばうちのチームに入れてやる!」

「どっ?!!"ノミの心臓"に入れてくれるんですかっ??!」

「まずはリサ相手にどれだけやれるか試そう」

「リサどん!!もうその対戦がボーナスでいいです。僕ごとぎが恐れ多くなってきた…」

「あんな魔女相手に何をビビってる。ズタズタにしろ」


 ゲーマー2人を余所に川崎・田中・円城は呆れていた。


「ねぇ"ノミの心臓"ってなに?専務のどの辺が?」

「専務がスポンサーしてるチームだっけ?師匠の"iイーダ"さんを奉ってる」

「リサさんってうちの役員の?」

「そうそう。専務の作ったイギリスのゲーム会社の社長よ。めっちゃいい人よ」

「どこがっ?!あんな恐ろしい魔女俺知らない!!」

「アンタがちょっかいかけるからよ」

「川崎さんダメじゃないですか」

「なんで俺が悪い前提?!円城くんも会えば分かる!だいたいの男に呪いをかけてくるから!」

「僕もリサどんに呪われたい」

「内田、その言葉はヤバい。マジでリサさんならやりかねない」

「盲信ですね」

「ってかウッチーさっきのバイオリンの子って歯医者の近くの公園の子?」

「そうそう!幸せの歯医者さんの近く」

「やっぱ。俺もドラえもん聞いたわー。あの子木に楽譜置いて木に向かって弾いてたよ」

「個人的な趣味の練習場所なんですよ。本人は恥ずかしがり屋なんで、あんまりガン見しないのが公園でのルールです。拍手とかするとすぐ帰っちゃうんで」

「へぇ~あくまで趣味なんだ」

「歯医者の前に聞いたら元気出るでしょ」

「いや、俺歯医者行かね。清掃で入ったんだよー。一回行ってみよっかな♪」

「川崎が行きたい歯医者ってなに?」

「碌なことないんでツッコまない方が」

「あれは医院長の趣味だね。頭が幸せに包まれてたもん。口ゆすいでた中学生の目がガン決まってたのヤバかった」

「ほら」


 田中のブリーザードの瞳が光った。


「そうだ。リサが来月からうちのマンションに越してくるからよろしく」

「えっ、イギリスの会社は?」

「棚田というヤツに引き継がせる」

「リサさんこっちで何するんですか?」

「うちの常務役員になってもらう。


あと、その歯医者を教えろ」


 銅田はしっかり男だった。





 株式会社CLEANは大手不動産グループ会社河井ホールディングスの子会社で、自社のマンションやホテルのコンシェルジュ業務と清掃業務から、個人や企業向けにサービスを拡大して発展した。CLEANの創始者である銅田は表に立つ立場は拒み、河井ホールディングスの会長を社長に置き、副社長に銅田の弁護士を置いている。

 丁寧な仕事とサービスは受け入れられ、少し価格の高いものの、ある層からはステータスの1つとして定着した。それが会員のランク制度である。C・B・Aとランクが上がると受けられるサービスが増え、


「飯田くんってAランクだっけ?」

「?あーCLEANのですか?そうです」

「そう。じゃーこれあげる」 


Aランクになると極稀にSランクへの推薦を受けることがある。


「S?なんです?これ」

「高木さんに聞いてみて」


 既にSランクの人間から3人の推薦を受けると、CLEAN役員達の会議にかけられ審議の結果により決定する仕組だ。

 Sランクは1つだけサービスの項目が増える。それは清掃対象の項目に場所や物の他に『人物』と。例えば、若き才能ある若者を薬漬けにした大物音楽プロデューサー。彼には娘が2人もいたのに、同じ年頃の少年を廃人にした。CLEANは清掃のついでに証拠を集め盗聴器やカメラを設置。それを銅田が海外のサーバーからよりよいタイミングで世間を味方にネットに流すというのがいつものお決まりの流れである。依頼者は同業者で少年をスカウトした人物。しかしそれは1つの家庭を壊した事となる。夢ある2人の娘は好きなバイオリンやチェロの習い事も辞めなくてはならなかった。自分だけ幸せな家庭を持つ事への罪悪感や清掃対象の末路を思うと眠れなくなり、心優しい依頼者は離婚した。


「内田くん本当にありがとう!」

「いえ、とんでもなです。でも岡田様のご友人のバンドで良かったです!」


 人にもよるが、アフターフォローも欠かさない。


 ちなみに飯田は既に10枚以上推薦カードをもらっているが全て廃棄している。彼は何も知らないことが銅田との約束であるから。




そして、 


「どうしよ勝さん!俺はダメな人間なんだ…1人じゃ何もできない!」

「だから素敵な秘書がたくさんいらっしゃるんでしょ?ほら胃薬置いときますからね、


"青山大臣"」


ここまできた。




人物紹介


_株式会社CLEAN

・川崎

CLEANのムードメーカー。いつもお金に困っている


・円城

真面目。1人娘がおり、家族が大好き。


・田中

姉御肌。非常に顔が整っている。


・内田

爽やかイケメン。指定率No.1。特に子どもに大人気。ゲーマー。


・銅田

CLEANの専務。非常に顔が整っている。性格が幼少期より捻くれている。シスコン。ゲーマー。


・髙木

銅田の執事。なんでもできる。現在は銅田の住むマンションでコンシェルジュをしている。


_その他

・飯田

iシステムの社長。AI秘書「i子」が人気。銅田の友達。



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