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CLEAN  作者: 東 守


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2/7

掃除②


「でも報告もありますし…ゴミの処分などお部屋の状態によっては見積もりし直さないといけませんし…」

「…わかりました!写真は少し片付いてから撮るのはどうですか?」

「でも見積もりで多分怪しまれるかと

…山緑様は毎月ご利用いただいてましたから」

「__あっ、見積もりの差額分僕が出します!」

 ちょうどバイト代が入ったばかりだ。少しくらい何とかなるだろ。

「それでしたら大丈夫かもしれませんね。では、見積もりをしたいので、他のお部屋も見させていただきますね?」

「はい。あっ、僕の部屋はなしでお願いします!」

「畏まりました」


「他のお部屋とトイレは特に大丈夫そうですね。ただキッチンとお風呂は…

ちなみにどのくらいお掃除されてないんでしょうか?」

「…1ヶ月半ほど」

「…そうですかぁ」

(やっぱそこだよなぁ…)

 最悪服は寝室に、ゴミは自分で下まで運べばいいやと考えていたが、プロの力がどうしても必要だと感じていた2か所。一人暮らしを初めた当初は自炊を少ししていたが、鍋を焦がしてからは洗い物が放置気味なり…鍋とコンロが仲良くくっつき、私達何が何でも離れません状態に…。お風呂場は大学デビューで髪を明るくしたがなんだかお上りさん丸出しだなと恥ずかしくなり、入学前にはセルフカラーで暗くしたのだが、その際に浴室を汚したまま放置。次の日に気づいたが遅く、それからは掃除自体めんどくなり別ブースのシャワー室だけで済ましていた。

「ちなみにこちらが見積もりなんですが…」

「__えっ!あ、叔父の分も入ってですか?」

「いえ、差額分です。ただ春のキャンペーンでwebからのご依頼ですと初めての方限り50%Offさせて頂いてましてこちらを適用させていただきますね」

「えっ、じゃあ?」

「なので差額の半額なので、こちらになります」

(___それでも足りない)

「…あの、分割ってできますか?」

「はい、対応できます」

「あっ!あと、リビングはできるだけ自分で掃除するんでなしにしてもらえませんか?」

「畏まりました。ではこちらのアプリをインストールして頂き、キッチンと浴室の清掃依頼をお願いいたします」

 渡されたパンフレットの案内通りQRコードを読みとり、清掃依頼をした。

「ポイントとかあるですね」

「はい。グレードが上がりますとこちらのCLEAN_BUSINESSの一部サービスが一般のお客様でも受けられるようになります」

「へぇー、ちなみにどんなサービスがあるんですか?」

「そうですねー、わかりやすいのはこちらのコンシェルジュもうちのBUSINESSのサービスの1つでして、個人的に第二、三の秘書をつけることができます」

「えっ、コンシェルジュさんってCLEANの人なんですか?」

「はい。こちらのマンションの管理会社様より依頼され派遣された者たちです。もし将来ご利用することがあればよろしくお願いいたします」

(将来ねぇ…絶対ないと思って言ってんなこの人)

「では、そろそろ清掃に入らせていただきますね」


 服をとりあえず寝室に運び、ゴミをひとまとめにしていた。以外とすぐに床が見えてきてからは早く、もう掃除機をかけられる状態に。

_ピンポーン

本日2度目のインターフォンがなった。

(何か頼んだっけ?…あれ、玄関だ?)

「はーい」

_「突然すみません。CLEANの田中と申します。そちらにうちの円城はいますでしょうか?」

「あっはい。今出ますね。_円城さーん!田中さんって方がいらしてます」

「あっ、ありがとうございます。こちらで出ますね」

「了解です」

 ゴミを運ぶために自分も廊下のドアに手を伸ばすと、田中さんらしきとんでもない美人が

「いや、ゴミをゴミを見るような目で見ないでよ田中さん」

ブリザードの眼差しでゴミを見ていた。

「あってるじゃない?ってか何でこんなとこ置くのよ、早く持ってちゃいなさいよ」

「今ダストBOXが点検中で使えなくて、あと山緑様が自分で運ぶと仰ってて…」

「はぁっ?!!そんなんしたら髙木さんに怒られるわよ!」

「あっ!田中さん除光液持ってきてくれた?」

「川崎!あんたお客様にゴミ捨てさせるってどういうこと?」

「え、いや~山緑様のお財布事情といいますかぁ…」

「はぁ??こんなマンションに住んでんのに?」

「いや、住んでるのは甥っ子さんでして」

「もういい!私が持って行くっ!」

(それは駄目だ!こんな美人な人に持たせる訳にはっ!)

「あの!それこっちでまとめ持っていくので!」

「っ…、失礼しましたお客様。ですがこちらのマンション自体の清掃管理も我が社が受け持っていますので、ご心配には及びません。この度はうちのスタッフが申し訳ございませんでした」

(美人に綺麗なお辞儀で謝れた、どうしよ…)

「いやいや!僕から言い出したことなので!本当に大丈夫です!」

「ですが…」

「大丈夫なので!」

「今から私が田中と交代するんですが、帰るついでにゴミを捨ててきます。これでいかがでしょうか?」

「円城さん!それなら…でも4袋もあるんで手伝います!」

「ふふっ、お優しいお心遣い感謝します。では1つだけお願いします。これでどうでしょう田中さん?」

「…分かりました。ただしくれぐれもコンシェルジュには見つからないようお願い致します。特に高木というものには合わないように」

「大丈夫ですよ、今日は髙木さんいませんでしたから」

「それじゃぁ行ってきます」


エレベーターの中

「さっきの髙木さんって?」

「コンシェルジュの中に40代くらいの背の高い男性がいるんですが」

「あぁ、あの人か(初日に色々案内してくれた)」

「私達CLEANのスタッフは髙木さんからビジネスマナーの指導を受けてまして…まぁ、この状況を見られたら正直怖いところですね」

「なるほど!だから皆さんとても丁寧な対応なんですね、納得しました」

 1階に着くと………居た。

 髙木と目が合うと、競歩でこちらに向かって来た。

「(速い!怖い!)…こんにちはー」

「山緑様、お預かりしますね」

「えっ、ありがとうございます」 

「では。円城くん他のお客様がいないうちに裏に回りますよ」

「_はっはい!すみません山緑様、こちらで失礼させていただきます」

「円城さん…ありがとうござました。(どうかご無事で…)」

 2人は競歩で去っていった。


 部屋に戻ると、いいにおいがした。

「あっ、炒飯!!忘れてました」

「まだほんのり温かかったので、温め直しました。お茶もお煎れてもよろしかったでしょうか?」

「わーありがとうございます!」

「もしご迷惑でなければ簡単なスープでも作りましょうか?」

「いえ、とんでもないです。お仕事のお邪魔になるのでどうぞ続けて下さい」

「それが円城がほとんど終わらせておりまして、あとは五徳とお鍋だけなんです」

「…外れそうですか?」

「今洗剤を染み込ませてまして、もう少ししたら外れる思います」

「よかったです。…あと、すいませんさっき髙木さんに会っちゃいました」

_ゴトッ

何か落とした様な音がした。

「…っ、失礼しました。」

川崎が携帯を落としたようだ。

「すみませんが写真のチェックお願い致します」

「はい。あれこれって…」

浴室のカラー剤の汚れが落ちていない写真。

「こちらなんですが、田中の提案で本当のことを1つ報告してみるのはいかがでしょうか?」

「本当のことを?」

「俊様のお年頃ですと、こういったアクシデントは無くはないと思うんです。自分自身も経験としてありまして。山緑様の性格からしてもこういったことは笑い飛ばしてくれそうだと思うのですが、いかがでしょうか?」

「叔父さんなら許してくれそうですけど…でもこれ以上迷惑をかけたくないし…」

「あと、1つ本当のことがあると真実味が増すという面もあります」

「なるほど」

「俊様のお気持ちも少し軽くなるのではないかと」

 それは嘘をつくことと金銭的なことの2つを指すのだろう。

「…それならもういっそ全部話します。皆さんにもアリバイ作りしてもらうみたいなことさせてたわけだし」

「いやそれは」

「自分だけならいいですけど、皆さんも嘘をつかせるわけですもんね。すいませんでした。よし、電話します!今あっち何時だろ?」

「…夜の11時半ですかね」

「叔父さん起きてるかな?まぁ寝てても起きてくれそう__あっ叔父さん?」

 電話で今日の事を正直に話すといつもの様に豪快に笑ってくれた。

「お金はいいよ。まぁお前が気にするなら将来社会人になったら何か御馳走してくれ」

 絶対に恩返しが出来るように頑張ろうと思った。


 食事も済ませ、清掃してもらっている間にゲームをするわけにもいかないので、自分の部屋に押し込めた服を片付けていた。

(服だって叔父さんがN.Yに行くまでの間にいっぱい買ってくれたのに…もっと大切に扱わないと)

 反省しながらもお掃除スイッチが入ってみるみるに片付いてゆき、掃除機をかけ始めた頃

_コンコンコン

「はーい」

 向こうも終わったんだろうとドアお開けると………居た。

「髙木さん?!!」

 髙木が居た。

「山緑様、先程は大変失礼しました」

「え?!いやこちらこそありがとうござました。運んでいただき」

「滅相もございません。ゴミ出しも私達コンシェルジュにお申し付け下さっても構いませんので、これからは是非活用して下さい」

「いや、今回は溜め込んだ僕が悪いので。お仕事として髙木さんなりのプライドもあるかと思いますが、どうか円城さん達を叱らないでほしいです」

「!それは」

「むしろ僕の我儘なお願いを聞いてくれたとても優秀なスタッフだと思います。叱るのではなく、褒めてほしいです」

「っ…分かりました。ただ今度この様なお困りごとがあれば是非私達を頼って下さい」

「はい」


 部屋もリビングも綺麗になり、明日にはシーツも洗濯しようという気持ちになった。何だか心が晴れやかになっている。

(掃除ってすごいなぁ)

 心機一転で休み明けの大学生活をどうにか変えていこうと前向きにも慣れてきた。

(もう少し他のサークルも見てみよ)

「山緑様、こちらも終わりましたのでご確認の程よろしいでしょうか?」

「はい」

 キッチンも浴室も新品のようにもとに戻っていた。本当にプロって凄い。

「本当にありがとうござました!」

「いえ、またお困りの際はよろしくお願い致します」

「はい是非。あと髙木さんは大丈夫でしたか?」

「あー、お恥ずかしい話ですが、少し注意を受けました。ただ山緑様のフォローのおかげか少しで済みましたので、ありがとうござました」

「なら、いいんですけど。円城さんにも悪いことしちゃいましたよね…」

「円城のことまでお気遣いありがとうございます。ただ彼の方は大丈夫でしたのでご心配には及びません」

「?そうですか?凄い真っ青顔でしたけど」

「直ぐに行かなければらない現場がありまして、私の方でフォローしましたので大丈夫ですよ」

「そうですか」

「では私はこれで失礼致します」

「あっ、田中さんは?お礼言えてないんですけど」

「申し訳ございません。もう次の現場に移ってしまいまして、ご挨拶もなく大変失礼致しました」

「いえいえ、とんでもないです!ありがとうござましたとお伝え下さい」

「畏まりました」





303号室

「『ありがとうござました』ですって」

「そらどーも。川崎くんこれ捨てといて」

「ほい。___はぁーーー!俊君いい子じゃん!誰だよすねかじり虫って言ってたの!」

「いや、アンタしか言ってないから」


数時間前

「山緑さんから清掃依頼来てるけど、川崎くん行く?」

「へっぇ??!行く!!行くけど、山緑さんってアメリカなんじゃ」

「山緑さんはね。今は大学生の甥っ子があのマンションに住んでるんだって」

「はぁー?!大学生の分際であんなマンション住んだらヤバいって、将来心配だわ」

「普段の様子も見てほしいから、他の清掃のついでに突撃訪問してほしいって」

「何だよ子守はウッチーの担当じゃん、やっぱ俺パス」

「ごめん、もう登録したー」

「ちょっキャンセルで」

「ちなみにお昼から隣のお部屋私行くからアンタも円城くんと来なさいよ」

「無視しないで」

「円城くん、お昼から出れそう?」

「僕は大丈夫です」

「じゃぁ決定。登録しとくねー」

「田中さん無視しないで」


 マンションに着く前の車内、3人とも思い思いに気合を入れる。

「…髙木さんってここでしたよね?」

「そう…俺毎月吐きそうだったの思い出してきた」

「でも山緑さんに会いたいから担当になったんでしょ?」

「そう!顔色悪い俺を心配してくれた唯一の神!」

「優しさに弱いわよねアンタ」

「でも僕もわかりますよ。差し入れが毎回ほっこりしますもん」

「ミカンとか肝油だっけ?事務所に置いてたの」

「『インフル流行ってるから気をつけてね』って、『皆の分足りそう?もう一箱いる?』って…母ちゃんかよ!」

「アンタ勝さんにも弱いもんね」

「皆お母さんには弱いでしょうがっ」

「開き直っちゃった」

「Bクラスの人では珍しいタイプのお客さんですよね」

「まぁ確かに長年うちら使ってる人ではないプュアさがあるかも」

「絶対上のお気になんだよ!だから海外出張行かせて出世させて日本に戻った時にはAになって、直ぐにSに導かれるんだ…やだ、山緑さん心配になってきた。このままアメリカにいた方があの人のためかも」

「Aになったらアンタを秘書にしてくれるかもじゃない?」

「はっ!……でもSに近づいちゃう!CLEANの魔の手から遠ざけたい!逃げて山緑さん!」

「ここの駐車場でいいんでしたっけ?」

「うん。私は裏から入るからあとよろしくー」

「、無視しないで」

「そういえば、専務もここ住んでるんでしたっけ?」

「そうなの?ずっとあの事務所に住んでるんだと思ってた」

「まぁここのオーナー自体うちのお上の方なんだから当然じゃない?髙木さん配属させてるんだし…」

「また顔色悪くなってきたわよ」

「もう腹くくりましょう、行きますよ」 

 駐車場で田中と別れ、円城とエントランスに向うと………居なかった。 

「やった、髙木さん居ないじゃん!ラッキー」

「油断しない方がいいですよ。カメラの数ヤバいです」

「…髙木さん居なくて寂しいな〜」

「無理があります」



「山緑さん家ゴミ屋敷にした上にアリバイバイバイした時は、コノヤローって思ってたけどさぁ」

「自分で片付けちゃうし、終いには私達に嘘をつかせたくない、だもんね。髙木さんにもフォローしてくれて」

「やっぱ山緑さんの甥っ子だなぁって感じ」

「髙木さん、山緑さんに『普通の大学生として接してほしいから、あんまり甘やかさない様にして下さいね』って言われてるみたいよ。普通の大学生?甘やかさい?って顔で困ってたみたいだけど」

「髙木さんには無理でしょうに」

「円城くんあたりがいい感じよね」

「あっ円城!田中さんありがとうござました。子供っち風邪だったみたい」

「そっ、良かった」


「ここって盗聴器つけるん?」

「いや、ただの清掃。今週越してくるそうよ。専務が勧めたらしい」

「ヤバいじゃん」

「Aだから大丈夫でしょっ」

「いや専務の仲間なら直ぐにSになるでしょっ!ここってSの養成危機なんじゃないの?!怖い…」


「いやいや依頼とはいえ、やらかしてる私達が1番怖いから」





iシステム社長室


「飯田社長、もうそろそろ切り上げては?明日引っ越しですよね?」

「えっ!もうこんな時間なの!ごめんね付き合わせて!帰ります!」

「いえ、こちらは休み明けで大丈夫ですか?」

「うん!大丈夫、ありがとう」





株式会社CLEAN

主な事業は清掃、家事代行。

少し高価格ではあるが、丁寧なサービスは好評で、富裕層からは1つのステータスの基準として扱われる程。

ポイントに応じて上がる会員ランク制度があり、ランクに応じて受けられるサービスが増える仕組。

Sランクになると、特殊なサービスを受けられる。

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