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暗闇の虚構  作者: 一宮 沙耶
第3章 洗脳

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5話 ドラッグ

楠が出張してから、莉音の飲み物に毎日、ドラッグを混ぜておいた。

最初のドラッグで、娘さんは母親の肉を食べた後、ふらつきながら自分の部屋に戻る。

静かにドアを開けて覗き込むと、莉音はソファーに倒れ込み、恍惚感に包まれていた。

夜23時頃、平常に戻ったのか、ゲームをせずに寝ていたと呟きながらトイレに行く。


母親が外出したと伝えた翌日の夜にも母親は帰ってきたかと莉音は私に聞く。

私からは、帰ってこないから、温泉旅行でもいったのかしらと答えておいた。

特段、不思議がる雰囲気もなく、外で買ってきたお惣菜を並べた夕食を食べていた。


もちろん、夕食の中にもドラッグは混ぜてある。

3日目の朝には禁断症状が出てきた。このドラッグは効き目が早い。

朝、ベッドから立ち上がれないと言い、私に学校に休むと連絡するように依頼する。


そして、苦しみ出した。

これで治ると思うと白い粉を渡すと、それを飲み、再び恍惚感に包まれた表情となる。

そして、その粉で苦しい禁断症状が治ると知り、苦しむ都度、欲しがるようになる。

もう学校には行けず、その粉がなくては過ごせない状況になっていた。


禁断症状の時は暴れるので、病気だと言い、禁断症状の時は手足をベッドに縛りつける。

そうでもしないと、化け物が迫ってくると言って窓から飛び降りてしまう。

禁断症状が苦しいのか、私が近寄ると、床に座り込み、薬をくれとすがる。

そして、ドラッグを飲むとベッドの上で天井をみて夢の世界に浸る。


これを繰り返すことで、3日目には母親のことを気にすることもなくなった。

お風呂に入ることはなく、何もかもやる気がおきない様子だった。

ただ定期的に、ドラッグを飲み、ベッドの上で恍惚感に浸る。


そして、禁断症状になると虫に襲われると怯え、私に薬を求める。

数日で、この繰り返し。もう自分では、自分をコントロールできない。


ドラッグを与えるだけで、食事や水はほとんど受け付けずに、日に日に痩せていく。

あれだけ人をバカにしていた莉音が、こんな姿になるなんて気分がいい。

髪の毛は乱れ、肌も荒れて、自分自身も外に出れないと覚悟しているようだった。


今夜は、ゴキブリが身体中を走り回ると大声で叫んでいる。

いつも汗臭いパジャマで、格好に気を回すこともできない。

生理が来ても、ナプキンをつける気力もない。パジャマとシーツに血がベタつく。


急に吐いて、床はすっぱい匂いが溢れる。

そんな中でも性欲があるのか、時々、周りを気にせずに一人エッチにふけっている。

ふと目をやると、汚らしい割れ目は黒光をし、液が飛び散り、吐き気がする。

もう、人間ではなく、山に生息する野獣にしか見えない。

汚れても洗ったりしないから、莉音のあそこは赤く爛れ始める。


部屋は、放置されて何も手入れをしていないから、とても不衛生で荒れている。

食べないから汚物も少ないけど、それでも排出した汚物はベッドの上に撒き散らしたまま。

だから、莉音の部屋には、ものすごい匂いが充満する。

それでも、莉音は動くことができずに、禁断症状と恍惚感を繰り返す。


もう私の手には負えないので、佐々木が紹介した病院に入院させた。

医師からは、毎晩、大きな叫び声が響き渡るから、ドラッグを渡し続けていると言う。

だから禁断症状はなく、ベッドの上で、何が楽しいのか、ただ静かに笑っている。


目線も定まらない莉音に、医師は自分の大切なものを入れて、毎晩、楽しんでいるらしい。

莉音も、もっとと体を医師に押し付ける。もう女性としての自尊心なんて残っていない。

もうパジャマも着ずに、裸体でベッドの上に寝転がり、更に野獣のように見える。


贅肉がたっぷりのガマガエルのような医師には、女子中学生とのエッチが楽しいらしい。

妊娠すれば、堕胎するか、莉音を殺してしまえばいいから心配はない。

この医師も、お金を貰って、佐々木の言いなりになっているに違いない。

毎日、ただでエッチができ、雪だるま式にお金が増えていくと笑っていた。


その後、楠は帰ってくる。

海外出張から帰ってきた楠は、妻の失踪と、娘の入院を知り、絶望的な表情となる。


「妻はどうしたのですか?」

「外出すると言ったまま出て行って、それからなんの返事もないんです。出ていく前に、旦那様となにやら言い争いをして、しばらく距離を置きたいから、探さないでと言ってました。でも、1週間も経ったし、心配ですから、警察に失踪届を出しますか?」

「いや、それは困る。私の部下に探させるので、まずは知らないことにしてもらいたい。ところで、娘はどうなっているんだ。大丈夫なのか?」


立て続けに大事が起こり、頭の中が混乱しているのが手にとるように分かる。

私の肩を強い力で握りしめて、すごい剣幕で私に状況を確認する。


「痛い。混乱するのは分かりますが、離してください。」

「申し訳ない。で、莉音はどうなんだ。」

「どうも、莉音さんは、これまでもずっとドラッグを飲んでいたみたいなんです。奥様は旦那様に隠していたようですが、私が一緒に暮らし、奥様が失踪することで分かりました。最初はなんてことをと思いましたが、莉音さんも何かに悩んで苦しかったのですね。私は莉音さんを助けたくて。」

「本当にありがとうございます。莉音がそんな状況になっているなんて、全く気づかなかった。妻も、何をやっていたのか悔やまれます。で、今はどんな状況なんですか?」


まずは、奥様に加えて、莉音も楠から遠ざけて不安にさせるのがいい。

心が乱れ、疲れ果てたときに、人は洗脳される。


「依存症のレベルがだいぶ悪くて、入院して治療しています。医師からは、しばらく治療に専念するので、ご家族の方も面会は遠慮して欲しいということでした。私がしっかりとフォローしますので、旦那様は、夫との仕事に専念してください。」


私は、莉音が禁断症状で暴れる動画を楠に見せる。

楠は、体から力が抜けて床に座り込み、終わりだとつぶやいた。

佐々木が、楠の肩に手をかけ、まだ挽回できると励ましている。


「ありがとう。佐々木さんには、なんとお礼をいっていいのか。感謝しかないです。」

「何を言っているんですか。私と楠さんはパートナーでしょう。妻もそれは十分に分かっていますから、そんなに気にされないでください。」


佐々木は、心配そうな表情をしつつ、おちついて穏やかな口調で楠に話す。

チェックメイトにむけて、佐々木がナイトの駒を動かすのが目に浮かんだ。

私が仕組んだ罠に楠がはまる。

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