第12話 ドーモ・オヒサシブリデス
ダンジョンに異変があった際はギルド所属の高ランク冒険者が派遣される。今回はそれが偶々SSランク冒険者のプラズマ・ニンジャだったらしい。
「なるほど、それでプラズマ・ニンジャさんが」
「偶々秋葉デ猛虎タンメン食ッテテナ。近イカラ来タ」
「美味しいですからね……」
「アア。美味カッタ。ソレヨリモ」
事情を離し終えた俺の肩をニンジャさんがポンと叩く。そして反対側の手でサムズアップ。
「強クナッタナ。カイ」
「はい。その筋はプラズマ・ニンジャさんにも大変お世話に――」
「違ウ!」
「え?」
「モウ俺ハプラズマ・ニンジャハ卒業シタ! ナウイ俺ハ――」
ニンジャが目に見えぬほどの超高速で印を結び、地にバン、と手を叩きつけた。
「マスター・ニンジャ・紫電ダ!」
バリバリバリ!
ニンジャの周囲に青い雷が落ちる。忍術だ。忍術とは要するに魔法だ。ニンジャが忍術と自称しているだけだ。突然の奇行にポカンと口を開けている天使ちゃんの隣で、俺はニンジャが名を変える意味に思い至り慄いた。
「まさか……SSSランクに上がったのですか?」
「アア。サッキ手続キシテキタ。」
「ッ! やっぱり……ニンジャさんはランクが変わると名前を変えますもんね!」
「アア。長カッタ。コノ名前最初ニ決メテタンダ。今マデ」
Gランク ビギナーニンジャ
Fランク ニンジャ
Eランク スーパー・ニジャ(手続きミス)
Dランク デステニー・ニンジャ
Cランク ウルトラ・インジャ(手続きミス)
Bランク バスタード・ニンジャ
Aランク サンダー・ニンジャ
Sランク ライジン・ニンジャ
SSランク プラズマ・ニンジャ
SSSランク マスター忍者・紫電
「トイウ遍歴ヲ辿ッテキタガヨウヤクダ。最後デ漢字ニナルノガイキダロウ?」
「はい」
「ウム。俺ハカネテヨリノ宣言ドーリ」
力強く頷き、ニンジャはさらに続けた。
「SSランクダンジョソロ完全攻略シテキタ。更ニ強クナッタ」
「!!? SSランクを、ソロで!? そんなの、人の技じゃない……!」
「アア、ニンジャノ技ダ」
天使ちゃんが驚くのも無理はなかった。SSランクはSSランクがパーティーを組んでようやく適正とされるダンジョンだ。それをソロ攻略。しかもダンジョンコアの破壊まで含めた完全攻略だ。それは最早SSランクの実力ではない。
日本に2人しかいないSSSランクの実力だ。マスター忍者・紫電が加わり、3人になった。
ランクが上がると探索者名を変える権利を得る。逆に言えばランクが上がらないと探索社名は変えられない。不正・犯罪抑止の一環だ。だからランクが上がったと判断したのだ。
「とうとう、SSSランクに上がったんですね……!」
「アア。俺ハ最強ダ。遅カレ早カレッテ奴サ」
「おめでとうございます」
「アリガトウゴザイマス」
「ところでなぜまた天井に逆さに立っているのですか」
「……」
「ニンジャさん?」
ニンジャは全てを無視してカイに話しかけた。
「強クナッタナ、カイ。見テタゾ」
「はい。でも、なぜ天井に立って」
「カイ」
「はい」
「見テタゾ」
「あ、はい」
どうやら深く聞いてほしくないらしかった。
「俺ガ来タカラニハ安心ダ。バッチリ護衛シタルワ!」
「はい!」
「ソレデハ行コウカ。カイ。天使コス」
「て、天使コス……!?」
「アア。オ前ソレ、天使ノコスプレダロ? 俺ハ詳シインダ。コノ好キ者メ。俺ハジャパニーズカルチャーニ詳シインダ! サァ行クゾ天使コス」
「……」
天使ちゃんは釈然としない様子でニンジャについていった。俺も全幅の信頼を置いてニンジャについていった。




