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RPG

橘は、朝、毎日のようにデイルームに顔を出していた。そこで、顔なじみである、香川吉弘と話していた。香川は橘と同じ統合失調症であり、橘と同じように、小説を書いていた。香川がノートを渡してきた。

「これ、読んでみますか?」

「いいんですか?」

そういって、橘は香川のノートを手に取り、ページをめくり、本を読み始める。内容は、ファンタジーものである。堕天使となった、主人公が世界を旅する物語であった。

橘は「マモンとかの七つの大罪って宗教でいうと何教になるんですか?」と質問した。

すると、香川が「キリスト教ですね」といったのである。

小説や創作物に宗教をモチーフにした作品はこの世界に数多く存在している。その作者たちは何を伝えようとしていたのであろうか。彼らも、その世界観に興味を持ち、自分なりの解釈で、世界を表現している。橘はその小説にある、一つの単語が印象に残っていた。それは”RPGというワードである。つまり、ロールプレイングということだ。橘はまた、いつものように思考する。この病気になってから、目に見えない力の存在を感じており、宗教に関して、いろいろと調べていた経緯がある。仏教の般若心境に「色即是空 空即是色」という言葉がある。これは、物質的な存在(色)は、実際には、空(無)である。つまり、物質は一時的であり、真の実体を持たないという、教えである。簡単に言えば、この世界の本質は常に変化し続けるものであり、いわいる”無常”ということである。ロールプレイング…。つまり、選択と実行。日常生活においても、人間は、常に選択し行動を実行している。それは、ゲームの世界と変わらない現象ではないであろうか。ある低次元の存在が自分より高次元の存在を認識できるか否か?この問いは簡単だ。それは、認識できない。通常であれば。例えば、我々の存在している空間は3次元+時間の4次元時空間といわれる。一つ下の2次元空間には何があるであろうか。それは、アニメ、ゲーム、漫画、映画、ドラマなどの世界が広がっている。漫画のドラゴンボールで考えてみる。主人公の孫悟空がナメック星でフリーザと戦い、勝利する。この、孫悟空が、フリーザを撃破するか否かを決めているのは誰であろうか。それは、4次元時空間に存在している、作者の鳥山明という人類である。また、孫悟空たちが戦っている姿を誰が見ているであろうか。それは、4次元時空間に存在している、読者という人類である。では、ドラゴンボールという作品に登場する、孫悟空たちにとって神のような存在はだれか?それは、4次元時空間に存在している、鳥山明ではないのではあろうか。そして、孫悟空たちは、戦っているところを、人類に見られているというのも事実である。しかし、孫悟空たちはそのような事実を認識していない。これが、健常者ということである。つまり、統合失調症の人たちが、神のような存在を感じたり、見られている感じがするというのは、自分たちよりも、高次元の存在を認識してしまったからなのではないかという、仮説を橘は立てていたのであった。

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