零話 薄暮の黎明
始まりの時,既に終わりは始まっていた,不変の神々は
魔王と言う異例の事象,果てなき絶無に,ただただ
言葉を無くす以外に,説明の余地を持たなかった。
死しても尚,死なず,ただ生命なきものでもなく,
霊的でもなく,そして,非存在でもない,それは
意思を持ち行動する,故に理性なきものでもなく
,知性なきものでもない。
万物の根源的原因たる神も,この部分は同様だが,
万物万象を超えた神々とは異なり,魔王ゼノには,
身体を持ち,姿を持ち,形を持ち,質を持ち,
量を持っていた。
時は,世界創生から果てしなく,表せない程の時が
経って居た。
神々の(停滞した偽物の)究極の知性に,
破滅を持たらそうとして居た存在,その者の名は,
魔王ゼノ,神々の世界に雷鳴が如く,悪名轟かせし,
そんな魔王は,今!深淵の封印から解き放たれようと,
していたのであった!!!
ピキピキ,深淵の底,常闇の地が震え,空間が軋む,
深淵の静寂が砕け散る。
「遂にだ,,,遂に,遂に遂に遂に遂に!我は,復活を
遂げたのだ!!!」
魔王は深淵の底にて,復活を遂げたのだ。
無始無終の(宇宙)物質世界の底にある深淵世界,
本来なら,物質世界間近の領域,だがしかし,魔王ゼノの,
底知れない力により,神が創造した偽の神,善なる神
デミウルゴスは,神に命令され,物質世界の底を改変し,遥か底にまで拡張した。
「ふむ,過去に我が創造した深淵に,秩序の鎖と,
聖槍で魂が,地の底に縛り付けられて居た様だな,
どうりで,復活にここまで時間が掛かったわけだ」
神々も世界も存在してない頃から,生まれたゼノは,
無数の光と真理の瞬く間な陰の繰り返しから,刹那,
無限のエネルギーと,熱が腫れ上がり,神々が産まれ,
世界が(うまれ)創造れ,創生して,1000年経って,
既にゼノは飽きていた。
「産まれて初めて見た光に,赤子が母に抱きつくが
如く,飛び込み,1000年の短き時を過ごした,だが,
つまらない,我は故に,新たな光を生み,理を産んだ,
だが,栄光気取りの,ものどもは,私の存在を完全否定
した,この我を,否定など,許されて良い筈が無いのだ」
すると唐突に,地の底が揺れ動き,割れた大地から,
光が飛び出る。
「何のようだね?光の創生者,光神ヒカリ,我の復活を
知覚したのは,君だけかな?」
「いいえ,不定形で無形の神々は現実に投影する実在が
まだ存在しないの,光と闇だけ,闇は今,私の代わりに
光の秩序を維持してるの」
「闇が光の秩序を?,,,がはははははは!
こりゃ滑稽!傑作だな!我に対応する為に本来は混沌と空間を司る神,カオスがか!あやつめも,苦労するなぁ!」
「天地万物の根源たる,二元性の二律神は本来,役割
を抜けてはならないの,貴様の復活がどれだけの
大厄災か,貴様自身が誰よりも理解しているで
あろうが!」
次の瞬間,深淵の大地に無数の光の柱が立つ。
「ははは!まさか,我が創り出した深淵の影響で,
権能が弱まってるのでは無いか?あまりに弱々しくて,
風が通ったのかと勘違いしてしまったよ」
「何,貴様は既に完全復活を遂げたと言うのか⁉︎」
「まさか,我は過去に比べたら,無限分の一と言う表現すら生ぬるい程度しか,顕現しては居らぬぞ」
「な!貴様ぁ!嘘を吐くなぁぁぁ!」
「ならば来い,遊んでやるよ,童」
「誰に舐めた口を聞いてやがる,貴様ぁぁぁ!」
次の瞬間,数えきれない程の無数の矢が飛ぶ。
「死ねぇ!魔王ゼノォォォ!」
「ははは!時間を超越する光陰矢か!たかがその程度の
速さで,私に当たると思ったか?」
ゼノの影にさえ掠めもせず,無数の光の矢は虚空の
大地に吸われて行った。
「嘘だろ!」
「油断するなよ!」
刹那,ヒカリが認識する間もなく,飛翔し,蝶が如く天を舞い,残像,無数の拳は眼前に迫っていた。
「ぐぁ!」
ヒカリは拳を叩きつけられて,地に叩きつけられた。
「はぁっはぁっはぁっはぁっ」
「どうしたよ,遊び始めてまだ,,,って深淵に時間の
概念は通用しなかったな,ははははは!」
その時,ヒカリは再認識する,神々の群勢と単騎で,
最後のラグナロクを引き起こした怪物を。
「八咫の鏡!」
ゼノの周りには,光を反射する,幾つかの反射板が
実体を持った。
「へへへ!どうだゼノ!貴様は今,
自らに勝たねばならない!敵の肉体を,誇張表現無しに∞%の超模倣,絶対に相手より強く成る矛盾を超越した存在さ!」
「さっきまで無詠唱だったのに,勝てる兆しが見えて,
ペラペラ理屈の羅列かな?下手な幻覚と反射と光
の屈折の実像,この程度の存在が,何体現れたって,
無意味に等しいと言うのに」
「へへへ!強がりも辞めろよ!」
「最後の希望の一筋の光か,無限の闇の中,
永遠と底知れない深淵から見えた光がそんなに
嬉しいかね?まるで伝説の勇者気取りだ!」
次の瞬間,ゼノは,本の少しのオーラを出す。
「ひぃ!」
それは,ヒカリからすれば,禍々しい殺気に等しい気
であった,死を思わせて,狂気を滲ませて,絶望を
漂わせて,苦しんで,涙して,果てしない混沌に
叩き落とす,幻覚と現実の境界線を見失い,
無限に殺された幻想を知覚した。
「あぁぁぁぁぁ」
「粒子,無機物の偶像のお前が廃人?廃物化したか,
お前の生み出した,数えきれないほど無数の俺に似た
デク人形も,遊びにすらならなかった,未完成品,確かに
誇張無しではあったが,オリジナルがコピーを超越する
法則など,無意味に等しかったな,無矛盾超越如きが,
知性で我に優れると思うなよ」
「うぐぁ,はぁっはぁっはぁっ,,,」
「ははは,停滞した知性の割に,実在するそれは,静的
とは相反して,動的な超越性から成り立つ訳だな,
廃物化から超越して居るのだな」
「当たり前だ!神とは,その不変性と相反して,
創り出した偶像は永遠に世を越え続ける,故に
神とは絶対的なのだ!」
「存在であり非存在,まるで量子力学だな」
「私を状態など,下等な論理で語れる低俗な理論と
同一視するなよ?」
「なら,我に勝ってみろよ」
「ならば良かろう,私の力を喰らうが良い!」
次の瞬間,壮絶な光が,1点に集約される。
「集まれ真理,光矛なりし天の逆鉾よ,光盾なりし天の岩楯よ!全能なりし,その力を貸せ!」
「ははは!まるで全能のパラドックスを,自ら体現した
様な馬鹿だなぁ!」
「物に宿ったり,作られた偽神のそれと,同一視するな,
我が真理から作られた,この矛と盾は,我と同様に,常に
動的な切断性能と絶対の切断力と言う静的,
動的な防御性能と絶対の無敵力と言う動的,二つの側面
を同時に持つ,故にあらゆる全能的矛盾を無矛盾で
超えるのだ!」
「ほう?ならば試してみよ」
「バカはどちらかな?へへへ!喰らうが良い!」
次の瞬間,閃光が迸る,ゼノ討ち取られたか!,,,
その程度の実力で,ゼノが打ち取れたなら,どれだけ
良かったことであろうか。
「はぁ?,,,ハァァァァァ!!!」
衝撃の光景に,神ヒカリは驚愕した。
「なんだ,やはりこの程度か」
「アバババババ」
ガタガタと振るえる手の先に見えるのは,,,
たった指一本いや,小指先の爪だけで,全力の一撃を
受けて平然と居る魔王ゼノが居たからだ。
「慢心,丸見えの力,貴様は神故に生き年生きる,
万物万象の知的生命体にさえ,劣るであろうな,貴様は
力を使えるだけで,力を使う技術や経験があまりに
無さすぎる!」
「真の絶対切断を見せてやる」
「ははは!貴様がこの盾のガードを貫通可能だと!」
瞬間の事だった。
人差し指を軽く振るだけで,次元や矛盾した剣と盾の
無矛盾の選択公理的法則を拡張した様な,そんな
全能性の矛と盾の二つをヒカリを含め巻き込んで,
バラバラに切断をした,断絶を喰らった深淵世界にも,酷く大規模な亀裂を入れていた。
「あ,やばい,無限数を超えて数えきれない程無数の
縦断/横断の斬撃が余波で出しちまってる,一刀両断
するつもりが,止まれ斬撃の事象」
喋るだけ,ただ言霊を飛ばすだけで,想像すらせずに,
求めた結果を具現化していた。
「よし,ただなぁ,,,」
役割を与えられた,総称としての,光神ヒカリでは
なく,真名はヒカリ?以外には知らず,[]の,物理的
制約を持たない,無形の奴は,更なる力でゼノを,
この世から消し潰すまたは,再封印しようとしていた。
「幾何学的なフォルムをなくして,形而上に成り果てたか,たかが見えず,理解できないからと言って,貴様に
負けるとでも,ファァァ,,,カッコつけたのにあくびが
出ちまった」
ただ,そのあくびは,神の不変の法則である,秩序を
曲げた。
「ぬぁ!我がまた偶像に戻され,,,は!嘘だろ!世界に
広がって居た私の投影して,偏在していた,数多の
光の概念が,さっきの乖離的な憑依と違い,非乖離的に
器になって居る⁉︎」
「貴様の真理と,神性ごと,干渉して粒子に
ぶち込んだんだよ,その生身ごと,不定形で無形,不在で
極端に抽象的,ならば本質的な部分に間接的に干渉,
そして,デク人形に突っ込めば良い」
「馬鹿な!本来ならば,原則的に絶対干渉不可能なのに!
だが私は神,故に真に不滅なり!」
「たかが触れられない程度で,俺が絶対干渉不可能,
とでも思ったか?確かに,不変性と普遍的な概念としての浸透,つまりは偏在は真の不滅性に等しいが,俺の前に不滅は存在させぬ!」
ゼノは手を振り上げる。
「待て!待て待て!この世から全ての光がなくなれば
どう成るか理解してるのか!万物万象のほぼ全ての
生命が光を失うんだぞ!間接的に光に関連したあらゆる
事も,関連した事に関連した事も,その全ても!」
「確かに,それは不便だな」
「だろ!な!だから私を!」
「ならば,貴様の代わりを用意しよう」
「は?」
「ふぅむそうだなぁ,,,様相の物質世界から,
異なる相似した概念を取り出して,神格化させれば
良いか,とも思ったが,それは一つの可能な世界を
崩壊させるって事だ,確かに異なる可能な世界から,
したら,どんな方法でも触れられないし,観測しても,
それは数学的なアイデアに基づいた,異なる現実,
だから気にはしないだろう,気にするアイデアも,
想像すら絶対しないだろう,だが,それはその可能世界
が可哀想だ,故に完全な無から,新たに光と同様の概念とそのアイデア,そして理論を,今から創り出せば
良い」
「何を言ってやがる!真の形の神に匹敵する偽の神が
作れる訳ないだろ!それに全ての光の役割を今更,
置き換えるなど,絶対不可能だ!」
「何を言ってる,個々に異なる可能世界全ての
知的生命体か,自律的な思考力だけで,無限の理論や
無限を超えた理論を生み出してるんだ,私の影響で,
私以下の存在にも,出来るのだから,私が出来ない
訳がないのだ!」
「やめてくれぇぇぇ!」
「お前が居なくて瓦解しようが,変わりなんざ幾らでも
生み出せるって事だ,たかが一つの可能世界の光の
神と概念の管理者程度がイキがるな!」
新たな光の創造とともに,過去の究極の真理を,
旧神と化して,新たなる究極の真理たる,光(仮称)を
神格化させて創り出した。
故に,光神ヒカリ,深淵にて,魔王ゼノに,完・全・
敗・北!!!
「グハァァァァァァァ!!!」
「神如きがイキがるなよ」
こうして魔王ゼノは,復活直後に神を叩き潰すので
あった。
神を殺害したその後。
魔王ゼノは,深淵がどのように改変されたかを見回って
いた。
存在と非存在の境界を超えて,光と闇の二律を扱える,
区別を超えて,勿論光と言う,非常に広大な,無限定に
広がる,なんの変哲もない世の理管理能力を持つ無定型
の二元神,まぁ総称も生み出されたばかりでなく,
ゼノから創られた,故に光の最も根源的なるもの
(二元神)は,言葉や概念を超えており,それを表現しようとする試み自体が矛盾を孕む,そんな(存在じゃない)
存在は,二つの力が,完全に統一されて,矛盾を解消する為,
偏るから,闇と空間の神,カオスを殺して,ゼノに
献上した。
白と黒と呼ぶ,更に極端な二元の最大を掌る兄弟神は,
自身の従属化の大二律の光と闇の消失には,気づいては
居なかった,異なる様相の世にも,偏在可能である,
原型だから。
神々の一部は,この重大な事件を深く受け止めて,
神々の円卓会議を開催していた。