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序章
一瞬、自分の耳を疑った。
一瞬どころじゃない。俺の中では数分の間時間が止まっていたかもしれない。
周りを見渡してみた。
みんな俺と同じようにポカンと口をあけてる。まぬけ~な顔で。いや、それはまあいい。
みんなポカンと、先生までもがポカンとしている。
そう。今は高校に入った新1年生による自己紹介がHRでされていたのだ。
順々に、出席番号1番から名前とドコ中出身なのかと、あと一言だけを言う。シンプルザベストだ。
俺はけっこう前の方だったから、緊張で心臓がバクバクして飛び出そうなのを人に聞かれるか聞かれまいかを心配して、いや、よく考えてみればそんなのが聞こえること自体可笑しいのだが、噛まずにせりふを言い終えた。
問題はそのあとだ。
女子と男子の席は半々で別れていて、先に男子が、終わったら女子が言うような感じだ。
そして、女子の1番が言った一言。
「東丘中出身の、今中ありす。クラスの皆への一言は・・・・・・、
私の父は、海賊です」