紙飛行機
お久しぶりです!
キャラメル・ラテです♪
楽しんでいただけると嬉しいです‼
はぁー、授業つまんないなー。なんでこの眠くなる6限に日本史なんだよ。
6限の日本史の授業中、私はぼんやりと遠くを眺めていた。
さっきの5限の数学でたっぷり寝たから眠くもない。ただただつまらない時間がすぎる。いつもなら騒がしいクラスメイトも寝ているから面白いことも何もない。
おじいちゃん先生のか弱い声が教室に鳴り響いているだけ。
ふぁー、なんだかまた眠気が……。
痛っ?!
なに?
窓の外から何かが飛んできて、私の顔に当たった。
紙飛行機?なにか書いてある。
その紙飛行機は折り紙で作られたものではなく授業中に配られた手紙のようなもので作られていた。
私の高校の校舎は少し特殊で窓の外からお互いが少し手を伸ばせば届く距離にもう一つの校舎がある。
その校舎も連絡通路で繋がっていて少し歩けばたどり着く。
多分この紙飛行機は窓の外の隣のクラスから飛ばされたものに違いない。
えーっとなんて書いてあるんだ?
『体育祭のお知らせ』
あー、もうすぐ体育祭か。
『ハチマキ250円』
うわっハチマキ高っ!100均のでいいよー。どうせ1日しかつけないんだし。
『持ち物 ハチマキ、水筒、お弁当、水着』
えっ!水着?!何に使うの……。
ってそうじゃない。きっと私宛の手紙は裏面。
えーっと?
『圭太。貸したCD返せ!!!3C竹本』
圭太?あ、前の席の草野くんのことだ。
竹本って誰だ?
私は窓の外を見た。竹本くんらしき人が私に向かって手を合わせて、申し訳なさそうにお辞儀をしながら、ごめんの合図をしている。
私は前の席の草野くんに手紙を渡した。
「ありがと」
草野くんは不思議そうに手紙を受け取っていた。
しばらくして草野くんが隣の教室に紙飛行機を飛ばしたことを私は寝ていたから知らない。
「はい、それでは帰りのHR始めるぞー」
あー、やっと帰れる。この開放感。
「あ、そうそう、選挙管理委員会は放課後集まりがあるからよろしくな」
担任の一言で開放感が一気になくなる。
確か私、選管じゃなかった?
「えー、今回の選挙ですが〜………」
ふぁー。やっぱり選管だった。もう。早く帰りたいなー。
隣の席の子、全然知らない人だし。何組だろ。髪長いなー。それに目がぱっちりしてる。かわいい女の子。
「それではとりあえず隣の人と話し合ってみてください」
え?何を話し合うの?考え事してて何も聞いてなかった。
「えっと、3Cの松山明里です!」
「3Iの梅川綾音です!」
自己紹介でその場をしのぐ。
「今、何の時間?」
良かった。隣の子もわかってない。
「うーん、わかんない」
「あ、そういえば、I組なんだよね?」
「え?うん」
「窓越しで隣のクラスじゃん!今日紙飛行機、飛んでいかなかった?」
「きたきた!!」
「私飛ばした人の後ろの席でさ」
「え?!偶然、私も」
「本当?!あのあと返信の紙飛行機飛んできたんだけどさー。あれ私に直撃してさー」
「うわー、私達、直撃した仲間じゃん」
隣の松山さんって子と意気投合した。
なんだ、学校残っててもいいことあるじゃん。
あー、眠い。5限目の眠い時間。だけど今日、私は起きてる。
あれから明里と友達になって、私達の中で紙飛行機がブームになった。
『こちら数学の授業中。抜き打ちテスト要注意』
明里からの紙飛行機連絡。6限数学じゃーん。
赤点になったらまた補修とかあるのかな。勉強しとこ。
『サンキュー。赤点回避準備開始!』
私はまた、明里に紙飛行機を飛ばした。
このやりとりを通して私達はどんどん仲良くなった。
はー。今日も授業かぁ。なんか眠くなってきた。明里からの紙飛行機も来なそうだし。寝ーよっと。
「梅川。おい。梅川〜。梅川」
ん……。?体が揺さぶられる。
「ん?」
「やっと起きた。これ飛んできた」
前の席の草野くんが紙飛行機を渡してきた。
もしかして明里?もう。私達同じことしてるじゃん。
明里のほうを見ると、あのときの竹本くんと同じように手を合わせて、申し訳なさそうにお辞儀をしながら、ごめんの合図をしている。
『綾音。今日一緒に帰ろう!明里』
今日は。何もないはず。
私はいいよと書き。眠い目をこすりながらひょいっと紙飛行機を飛ばし、すぐに眠りについた。
「綾音ー!帰るよー!綾音っ!」
「ん……?ん?!」
あれから随分寝てしまっていたようだ。
授業も、帰りのHRも終わっている。
そして目の前には明里の姿と……。草野くんと竹本くんらしき人の姿が。
「やっと起きた。綾音」
「ごーめん寝てた」
「そうとう眠かったんだな」
「草野くん?どうして?」
「いやー、綾音。綾音からの返信の紙飛行機がさ、竹本くんに来てたみたいで、その話を草野くんにしたら運命なんじゃないかとか言い出して……。ほら、前にも同じようなことあったじゃない?覚えてる?」
「そりゃあもちろん」
明里と仲良くなった日のこと。忘れるわけがない。
「それで話しこんじゃってさ。今に至ってるってわけ」
「いやー、これは運命だって」
草野くんが口を開く。
「だってよ、こんなこと窓際の席じゃねーとできねーし、俺らが揃ったからできたことだし」
「お前、そればっか」
竹本くんが言う。
私は、私達はこの日のことを絶対に忘れない。
ピーピーピー
「誰?!お湯沸かしたの〜。やかんが泣いてる」
「あ、俺!みんなにお茶淹れようかと思ってさ」
「なーに、珍しい」
「なんかよ、懐かしい話でもしたくなってさ」
「懐かしい話?」
「俺らの紙飛行機事件」
「あー、5年前のちょうど今頃か」
大学生になった私達は4人でシェアハウス。
誰かと誰かが恋人になったとかならなかったとかはまた別のお話。
ここまで読んでくれてありがとうございます!!
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