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……嘘だろ……と
……仕事帰り、いつもの帰り道。青信号。横断歩道を渡っていたら、……いきなり右後ろ、車から激突された
運転手は、老夫婦で……しかも人間性は最低ランクらしく、数分は、車の中から動かず、じっとしていた
ひき逃げになりかねなかった事故で逃げる算段でも走馬灯のように思い浮かんだのだろうか
数分経ってようやく、運転席の老人が大丈夫ですかと私に声をかけた
私が近づいてようやく重い腰をあげたらしい 彼はまるで半笑いで、ひどく最低ランクの人間性に見えた 老人になってもああなのか ……歳をとる意味って本当にないな
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一歩間違えばひかれていて、右足をまきこんでの脊髄損傷……だっただろう 私は運よく、足を車のバンパーとタイヤの辺りに挟む形で、右腰にがつっとあてられるだけで済んだ 特に損害賠償などは請求する気にもなれなくて、大丈夫ですよと返した後、……普通に歩いて帰宅したが
……あの、……半笑いの老人の顔が忘れられない 初めてぶつけられたごつい車の硬い感触も
ひどくおぞましかった
車にあてられるなりなんなりする月は、宝くじを買うとよいらしいがどうなのだろうか
……ひどくおぞましい 真面目に生きていても、理不尽がふりかかるのだと……初めて実感したように思う
……私にもし車が乗っかかっていたとしたら、……いきのこったとしても……一生、うごくこともかなわなかった
……世の中は
、理不尽で溢れている