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魔帝國戦記~ムーアシア大陸編~  作者: 鈴木颯手
第一章・異世界転生、建国へ
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06・人間

ハイキメラの連絡が来たのは夜になってからであった。ちょうど夕飯を食べている処であった。反対側についたという報告であった。


『それで?反対側はどうなっていた?』


『はい、反対側にはすぐ近くに壁に囲まれた都市が存在していました。規模はかなり大きいのですが見張りはかなり少ないようでした』


『なるほど、分かった。いったん戻ってきてくれ。改めて偵察させる』


『了解しました』


ふう、ようやく人類との初接触か。この世界については詳しくしく知らないからな、何かいい情報を持っている奴がいればいいんだが。


「女王、一部を反対側の場所まで向かわせろ。何かあればすぐに報告させろ」


女王はそのスキルによってすでに大量の眷属(蟻蜘蛛・兵隊)を召還していた。数はまだまだ少ないが蟻蜘蛛・隊長を作ればいいだけになったため楽ではあった。問題は消化器官だが最悪の場合消化機能を持つスライムとくっつければいいか。そう考えながら指示をすると女王は頷くと一部の兵と連絡を取り向かわせていった。


後はハイキメラが戻ってくるまでに今後の予定を立てておくか。本格的に動くのはまだまだ先になりそうだな。


先ずはこの世界についてよく調べることだな。一応地図を閻魔大王に貰ってはいるが自分がいる地域などは全く分かってはいない。これではどう進めばいいか分からないからな。


次に魔物を増やそう。この世界に魔物がいるかどうか分からないが良い感情は持っていないだろうが俺一人では何かあった時に対処しきれないだろうしな。それに何より作るのは楽しいからな!…そう言えば遺伝子操作は人間にも有効なのか?俺には通用するみたいだが何かあっては怖いから試していないがいずれ適当に捕まえて使ってみるか。


取りあえずこんなところだな。さっそく考えるか。


しかしその後、直ぐに報告が上がってきた。森へと入る男女のことを。























大陸西方にあるマーシャル連邦は大陸一の貧弱国として知れ渡っている。隣国のプローア王国と敵対しておりの巨大山脈によって国を保っている状態であった。そんな国の首都マジュロでは一月続いた民衆の反乱の事後処理をしていた。


マーシャル連邦では定期的に略奪目的で攻めてくるプローア王国に対抗するという名目で重税をかけており毎年多くの餓死者を出しておりこれを何とかしないといけないと民衆は反乱を起こしたのであるが所詮は寄せ集めのため簡単に討伐したのであるが次から次へと出てくるため完全な討伐まで一月もか掛かっていたのである。


「平民を見つけ次第殺せ!容赦はするなよ!街にいるのは全て敵だ!」


討伐の指揮を取っている隊長が大声で叫んでいる。現在首都には討伐の軍勢と反乱している民衆を除き誰も存在していなかった。その為兵士たちは軍以外のものを見つけ次第殺していったのである。そんな軍勢の脇を見えないように逃げる三つの影があった。一人は二十代の男で二人は十代の男女であった。


「急げ、もうすぐ穴のある場所だ」


男がそう言って二人に話すが二人とも返事はしない。既に疲労困憊であり口を動かすことさえ苦であったのだ。そんな様子を男も理解しているため特に何も言わなかった。


三人は反乱する民衆の一部であったが最初から最後まで特に何もしていない為ここまで切り抜けられたのだがそのせいで逃げる機会を失いこの現状になっていると言えた。


「…よし、まだ見つかってはいないようだ」


男は物陰から、壁に空いた穴周辺を見て安堵する。ここは三つ目の場所でありそれ以外の場所はすでに見つかって埋められていた。男は見つからない様に少女から通した。そして、少年を通そうとした時であった。


「いたぞ!逃げる気だ!」


男と少年は見つかり一気に取り囲まれてしまう。


「くそ!ギル!お前だけでも逃げるんだ!」


男はギルと呼んだ少年に叫ぶが少年は固まったまま動かなかった。男は剣を振りながら近づいてこないようにして再び叫ぶ。


「ギル!」


その気迫に少年は穴を潜っていく。それと同時に男は複数の槍に貫かれるのであった。


少年は壁を出た後一目散に目の前に広がる森へと駆け込む。


「ギル」


そこへ草に隠れるようにギルと一緒に逃げていた少女、アルビーナが声をかけていた。


「良かった、無事だったんだね」


「うん、何とか。でも兄ちゃんは…」


ギルは最後まで言わなかったが来る気配のない男とギルの様子からアルビーナは察する。


「…ギル、今は逃げましょう。ここにいては危険だわ」


「…うん」


ギルはアルビーナの言葉に従い一緒に森の奥へと歩いていく。森には肉食動物がいるがここにいては殺されるだけであった。それを理解しているため肉食動物に出会わないことを祈りながら入って行った。


その姿を見つめる小さな存在に気付く事無く。


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