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ショートショート

鬼っ子(ショートショート32)

作者: keikato
掲載日:2016/10/17

 ある山里の村に、おじいさんとおばあさん、それにじゅん吉という男の子が暮らしていました。

 ある日のこと。

 おじいさんが山で赤んぼうをひろってきました。

 玉のようにあいらしい女の子です。

「鬼っ子じゃ。捨てられて泣いておった」

「鬼っ子って?」

「ほれ、こいつを見るんじゃ」

 おじいさんが女の子の頭のてっぺんを見せます。

 そこにはまだ小さいが、鬼のあかしであるツノがついていました。

「この子、鬼の子なの?」

「山の奥深くには鬼が住んでおってな。こうしてときどき、自分の子を捨てるんじゃよ」

「わけあって捨てられたにちがいねえ。なんともかわいそうじゃ。うちで育ててやらにゃ」

 おばあさんはさっそく小さな頭巾をぬうと、赤んぼうの頭にかぶせてやりました。

「これで鬼っ子だとわかるまい」

「じゅん吉、だれにもしゃべるんじゃねえぞ。ひどい目に合わされちまうからな」

 おじいさんは強く口止めをしました。

 その日から……。

 じゅん吉は鬼っ子のことを、妹のようにかわいがったのでした。


 一年の月日が流れました。

 鬼っ子はすくすく育ち、よちよちと歩くまでになりました。

 人間の子と少しも変わりません。ただツノは一寸ほどにまで伸び、ずいぶん目立つようになっていました。

「おおかた伸びきったようじゃな。そろそろ、こいつをとってやらねばな」

 おじいさんがツノをなでて言います。

「ツノがなくなったら、ずっと人間でいられるの?」

「しばらくはだいじょうぶじゃ。次にツノがはえてくるのは、この子が十になるときだからな」

 鬼っ子はツノをとってもらいました。

 ツノのあったところはハゲになりましたが、それもじきに元のように毛がはえそろいました。

 こうして……。

 鬼っ子は人の子と変わるところがなくなりました。

 頭巾もかぶらなくてよくなりました。


 三年ほどが過ぎました。

 そんなある日、おばあさんが新しい頭巾をぬっていました。

「またツノがはえてくるの?」

 じゅん吉は心配になって聞きました。

「いや、こいつはオマエのもんじゃよ」

「えっ?」

「オマエもそろそろ十になる。しばらく頭巾をかぶっておれ」

 おじいさんはそう言って、できあがったばかりの頭巾をじゅん吉の頭にかぶせました。

「オイラも鬼っ子だったの?」

 じゅん吉が頭をさわってみると、てっぺんに小さなコブがあります。

「心配することはねえ。伸びきったら、ワシがとってやる。そうすりゃ、二度とはえてこんからな」

 おじいさんはそう言って、つるりとした頭のてっぺんを見せました。

「ほれ、見ろ。ワシはこんとおり、もう五十年もはえてこなんだ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] うわー、すごくおもしろかったです。ありがとう
2019/10/12 03:06 退会済み
管理
[良い点] (灬╹ω╹灬)ドキドキしちゃった、 やさしい、お爺さんやと思ったら 角、、痛いやろな~どんな風に、取るんやろ?って、 このお話は、もう少し肉つけたらもっと面白くなると思いました。 …
[良い点] なあるほど! 最後に思わずにやりとしました。( ´艸`)
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