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人間界 人間界でのお仕事

零時「ああ、この物語って一応、人間出るんだな?」シグマ「ええ、色々と出ますよ?俺、人間界で普段は生活しているようなもんですから」零時「ふ〜ん?どうでもいいけど………ああ、感想、評価、メッセージよろしくお願いします」

四、

 俺の名前はシグマだが…………人間界へと向かうことが良くあるときの俺の名前は天道時シグマとなる。

「シグマ委員長、生徒会の人たちが呼んでましたよ?」

「教えてくれてありがとう」

「い、いえ!」

「う、うらやましいぞ!このこの!」

 こちらでの俺は成績優秀、人望厚いクラス委員長なのである。すぉぉぉしてなんとぉぉぉ!女子にモテモテなのである!ここが一番重要だ。

 ふははは…………天界で働くよりもこっちにいたほうが俺って意外といい一生を送れるかもしれないな…………

 こほん、俺が人間界にいる理由…………それは、天界から落ちてきた天使が悪さをしないように見張ったり、取り締まったりするのが俺のお仕事なのである。俺が見張る範囲は高校生辺りなので今は高校二年生として生活しているのだが、六ヶ月に一回………つまり、半年に一回のペースでしか悪さをしようとたくらむ天使はいないのであとは普通に高校生活を送っているのである。

 学校の廊下を走ることなく余裕で歩くさまは周りからどう見えているのだろうか?女子たちの熱い羨望のまなざしが俺へと向けられている…………ああ、人生の勝ち組だぜ♪


たったったったった…………どごん!


「ぐおっす…………」

「あいたたた……………」

 廊下の角から誰かが飛び出してきたようで…………俺はしりもちをつきそうになったのだが、そこは何とか踏みとどまる。ま、ぼさっとしていなかったら見事に避けていたのだが…………

「君、大丈夫か?」

「あいたた…………」

 未だにしりもちをついてミントグリーンのパンツを俺に見せてくれている相手は見知らぬ女子生徒だった。

ううむ、この高校の全女子生徒の顔は俺の脳内にインプットしたとおもったのだが………蛇足だが、名前に住所、スリーサイズに趣味と苦手分野に成績関係とか色々と情報まで覚えてます。ああ、悪用したことなんて一度もないからそこのところは大丈夫…………さて、どうやらまだ…………いや、この子………天使か?とりあえず、人間じゃないな。

「すみません、急いでまして…………」

「たてる?………って怪我してるね?保健室に連れて行くよ」

 俺はそのこの手をとるとそのまま保健室へと向かって歩き出した。

「え、え〜と、大丈夫なんですけど………」

「………わからないぞ、怪我口からばい菌なんかが入ったら大変だからな」

 保健室の扉を開けて保健のお姉さんに女の子を突き出す。

「すいません、先生…………ちょっと女子生徒に怪我させてしまいました」

「へぇ、あのシグマかが?」

 くるりと振り返ったそこにいたのはどう考えても俺より若そうなおねえちゃんが椅子に座っている。タイトスカートから伸びる二本の足は短かった。

「ええ、廊下の角でぶつかってしまって…………」

「そうか、まずはあれだ、レントゲンと精密検査だな」

 そこまで重症だろうか?俺の疑問に答えることなく保健室の先生は遠慮している女子生徒を押さえつけてレントゲン室へと連れて行く。

「い、いいですって!」

「なぁに、遠慮するなよ………シグマ、お前生徒会室からお呼びがかかってるんじゃなかったか?」

「まぁ、そうですけど………そちらの女子生徒の方に迷惑をかけてしまったので彼女の治療が終わるまで待たせてもらいます」

「そうか、それなら外の待合室で待ってな」

 俺は暴れている女子生徒を尻目に待ち受け室に向かったのだった。

「…………手術中か」

 保健室から出るとすぐに扉の上に備え付けられていた白文字で手術中と書かれているランプが点灯。たった右ひざを少しすりむいただけの女子生徒は哀れ、レントゲンからCTスキャンで体の断面までくまなく調べられるのであろう…………ここじゃいえないが、さらにすごい道具にもかけられているに違いない。

「………俺、今度生まれ変わるならCTスキャンに生まれ変わりたいな」

 そうしたらほら、おおっぴらにはいえないが色々と見えるだろうからさ…………ああ、男子は遠慮したいな。

―――――

「あ〜検査の結果だが、彼女は人間じゃないな」

「やっぱし…………」

 放課後、先ほどの女の子が涙目になりながらも帰っていった後に俺は保健の先生と話していた。

「で、リストに載っている天使か何かですか?」

「いいや、載ってない……………それに、天使じゃないぞ、あれ」

 俺はそういわれても頭にはてなを浮かべるしかなかったのだった。

「え〜と、それってどういう意味ですか?」

「いるだろう、まだ」

「ああ、成る程………悪魔ですか、あの子?」

 俺がそう聞くと先生は頷き、さらにその悪魔が人間界にいるという悪魔のリストにものっていなかったそうだ。

「でも、天使が天使を罰して悪魔が悪魔を罰するんですから俺があの子を捕らえたりしなくてもいいんですよね?」

「ま、ルール上はな」

 天使は人間界に勝手に降りてのさばる天使を罰し、悪魔は人間界に勝手に降りた悪魔を罰する。

後者の場合はちょっとわけありで、人間界に来た悪魔が悪さをし続けるとちょっとしたサプライズが魔界に起こってしまうのである…………簡単に言うなら魔界滅亡。

存在というものが消えてしまうもので、某パズルゲームのように左右のお邪魔的存在………この場合、悪魔…………も一緒に消えてしまうのだから、魔王も人間界で悪さをしている悪魔を罰しないといけないのである。なんか、この世界を造った人はよく考えてるな〜と、俺はおもってしまったね。ああ、この情報を知っているのは極少数の悪魔や天使だけで、残りの連中はやりたい放題やっているのである。

 で、いつもとばっちりを受けるのは俺とか、その関係者の人たちだ。後処理が終わるまで俺は天界まで戻ることは出来ないので出張だと思ってくれればいい。けど、高校二年生で出張ってどうよ?

「じゃ、新しいご主人様のところには連絡しておくぞ?」

「ええ、お願いします」

 今度の悪魔がどのくらいの実力者かわからないのでここはストーカー…………もとい、彼女の調査をしなくてはいけない。軽く見て一ヶ月か?今まで相手にしてきた連中は半年近く行動を開始しないような慎重派だったからな、そんな奴らだったらまた面倒なことに巻き込まれそうなんだよな〜

「おっと、そろそろ学生さんは考査試験じゃないのか?」

「あ、そうだった…………けど、俺の学力なら大丈夫ですよ」

 長年高校生をやってきているので、初めのほうこそ十点台連発だったのだが今では九十点、いや、百点連発である。

「じゃ、先生…………これから先ほどの女子生徒をストーキングしてきます」

「…………もうちょっと別の言い方がないのかね………」

「ま、事実なんで…………給料の申請とかよろしくお願いします」

「ああ、今回も法外な値段を申請しておくからな?へまとかするなよ?ビルとかぶっこわすなよ?」

「ええ、わかってます」

 俺は背中から天使の象徴と言ってもいい白い羽を伸ばしてそのまま窓から飛び立ったのだった。


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