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彼は執事になったらしい

零時「さて、今回補佐が決定しました……シグマです…ぱちぱち」シグマ「まぁ、当然でしょう」零時「思う存分………てか、危ないよな、この小説?大丈夫なのか?」シグマ「大丈夫っすよ、別にまだ誰も襲ってるわけじゃないんだし………」零時「ま、そうだな」

三、

「なぁ、アルト………」

「なんだ?」

「メイドさんをメイド喫茶だけじゃなくてこう、目の前に………いや、身近に感じる機会なんて殆どないだろうな?」

「そうだろうけど………俺らだってすごい格好だよ?執事だから」

 俺はため息をついた。

「じゃ、俺………これから宿舎の掃除だから………じゃあな」

「うん、ばいばい」

 俺は本日ジャスさんに連れて行かれた宿舎へと向かったのだった。

――――

「あ、シグマさん!」

「あれ?プロトさんっすか?」

 そこにいたのはあのすばらしい、メイドさんだった………こっちに走ってきているのでゆれてるあれがいい眺めだな〜

「結局、執事になっちゃんたんですね?しかも、あの神様を冒涜したとか?」

「いえいえ、事実を言っただけです」

 俺は本当に事実を言っただけだ。

「ところで、ここでなにをしてるんすか?」

 俺は不思議におもってプロトさんに尋ねる。

「ああ、私新人ですからここが宿舎なんです」

「え!じゃ、俺と同じ宿舎なんですか!いやぁ、良かったな〜」

 基本的に宿舎はだだっぴろい部屋一つが新人で残りのCランク、Bランク、Aランク、Sランクの天使たちにはそれぞれ部屋が用意される。

 あはは〜…………プロトさんと同じ部屋か〜………これは意外に良かったかも………

「じゃ、一緒に寝ましょう!」

 俺はプロトさんの両手を掴んでぐっと迫る。

「あ〜………私は構いませんけど」

 よっしゃ!世界は俺を中心にまわっているんだ!

「その、何故か知らないけど………ジャス様が駄目だって………」

「にゃ、にゃに〜」

 世界は俺を回ってるんじゃない!あのSを中心にしてまわっているんだ!

「そういうことだ、シグマ」

「じゃ、ジャスさん!」

「新人の執事はお前以外にいないからな…………お前の宿舎は今日から私の部屋だ」

「え〜…………」

 いや、考えようによっては………まぁ、プロトさんはあきらめるしかないな。

「…………ああ、そういえば一つ聞いておきたかったんですけど………」

 俺はジャスさんに尋ねることにした。

「ジャスさんってSランクですよね?」

「いや、違うぞ」

 おかしいな、この人だったらSだとおもったんだけどな〜…………

――――

 夕食も済み、新人研修も済んで後は寝るだけ…………

「さ、寝ましょうジャスさん♪俺、疲れちゃいました♪」

「そうだな、寝るか」

 俺はベッドに入って………

「にょわぁぁぁぁぁぁ!?ご、ご主人様だとぉ!?なんのサプライズだ!」

「何よ?」

 先にベッドに入って眠っていたのは神様………リウェル様だった。俺は冷静さを失わないように一つ咳払いをして相手に尋ねる。

「り、リウェルさ、さま〜?何故、ジャスさんのベッドに入っているんですか?」

「寝るときはジャスに護衛してもらってるのよ」

「ふ、ふ〜ん………そうなんですか〜………ジャスさん、リウェル様、俺、そろそろ宿舎に、戻りますね?じゃ、さいなら〜」

 俺は新人宿舎に………詳しく言うのならプロトさんの隣に向かって廊下を駆け出したのだった……………はずだったのだが、

「まて、シグマ」

「く、ジャスさん、俺をはめましたね?」

「勘違いしたのはお前のほうだ」

「………まぁ、そうですけど…………」

 とりあえず、疲れているのは事実なので俺は静かにベッドの中に入った。

「………ご主人様、寝ている俺を見て襲ってこないでくださいね?」

「それはこっちの台詞よ!」

「そういうことは自分の体型をみて言ってください♪」

「こら、シグマ、口が過ぎるぞ」

 さて、そろそろマジ切れして騒ぎ出すだろうから俺はさっさとベッドの中に転がり込むと目を瞑った。

「じゃ、おやすみなさい、ご主人様とジャスさん………すやすや」

 俺は夢の世界へと妄想の翼をはためかせて向かったのだった。

 ま、明日の朝になっちまえば夢というものは終わってしまうものなのだが、ひと時のティータイムとかそういうものだと踏ん切りをつけることとしよう。

――――

「きゃあああああああああああ!!!」

 ジャスさんの部屋から突如として金切り声が朝の静けさを一方的に引き裂いた。

「どうした!敵襲か!?」

 ジャスさんはすばやくベッドから出たのだが…………声を上げたのだが俺だとわかったのか舌打ちをする。

「なんだ、シグマか…………どうした?」

「あわわ…………俺としたことが………」

 しかし、俺はそんなことを気にしてはいなかった。

「一体どうした?物凄い叫び声だったぞ?」

「…………俺、俺………ご主人様を抱きしめて眠ってました…………うう、一生の不覚………銃、ありますか?一発こめて俺のこめかみへ………」

「おーい、しっかりしろ!」

 がくがくと揺さぶられながら俺の意識はいずこへ向かうのであろうか?はは、こんな俺を笑えよ、鼻で笑えよ………自己紹介じゃ年上の女性が大好きみたいなこと言ってくせして………きっと、寝てるうちにあんなことやこんなことを無意識にしてしまったに違いない。四面体よりも凹凸がないご主人様のあれに頬をすりすりなんかしちまって…………

「ジャスさん、縄、貸してください………ああ、この屋敷の近くに天使一人がぶら下がっても折れることのない木とかありますか?」

「おい!しっかりしろ!」


ばちんっ!!


「はっ!俺は一体何を!?」

 世界が変わったような気がして俺はようやく目を覚ましたのだった。

「あ、おはようございます、ジャスさん………相変わらず、大人な体つきをしてますね?」

「やっとまともになったか…………手間のかかる奴だ」

 ジャスさんに叩かれてどうやら俺の思考回路は通常モードへと変わったようだ。良かった、おかしくなったのかとおもったぜ…………

「ジャスさん、このことは口外禁止でお願いします。こんなことがご主人様に知れ渡ったら俺、名折れ者です。うそつきです、手を出さないといいながら………お恥ずかしい」

「…………お前はそこを恥ずかしいとおもうのか?」

「ええ、まぁ」

 俺は堂々と頷き、朝の日光を体に受けたのだった。

「さて、今日もがんばりますかね〜」

 ジャスさんよりも早く俺は部屋を出たのだった。


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