シグマ、心の叫び声
零時「あ〜ちょっとあれな物語ですが、これもまたありなのかな〜と思っています。これ、ぜってぇ感想とかきそうじゃねぇな………さて、第二話です。執事となってしまったシグマですが、まだまだ序章に過ぎません!彼の苦労は山よりも深く、彼の妄想はその苦労よりも大きいのです!………と、言っておけばいいんだよな?」
二、
「笑えよ、俺を誰だとおもってるんだ?とかプロローグでほざいていた俺を笑えよ」
「………まぁ、そんなに肩を落とすなよ?俺だって捕まったんだからさ」
俺は今、執事の服に着替えている。その隣にいるのは友人アルトだ。
「アルト、お前は何で捕まったんだ?」
「…………べらぼうに強いメイドに早速目をつけられてあっという間にしとめられた………」
アルト、弱いからな…………
「ところで、シグマは何で捕まったんだ?」
「…………俺か?俺は負傷したメイドさんを医務室まで連れて行ったら見事に捕まった」
「成る程〜お前、そのメイドさんって胸が大きかったんだろ?」
「ま、それはさておき…………」
アルトを捕まえたであろう、眼光鋭いメイドがこちらを見ている………俺と戦いたいとかそんなことを言っていた戦闘狂のメイドさんである。
「そろそろ行かないとお叱り受けるぞ、絶対」
俺たち二人はさっさとメイドさんの前を横切って目的地へと向かったのだった。
―――――
「え〜名前はシグマ。好みの女性は大人の女性で、好きな下着の色は黒色………言われてみたい言葉は『お姉さんが教えてあ・げ・る(はぁと)』です。ああ、あなたのようなちっちゃい人には使われたくもないし…………いえ、年下には遣われたくないし、甘い言葉とかささやかれてもハートがうち抜かれたりしませんし、ぺたんこが好きなロリコン野郎の気持ちなんてさっぱりです…………や〜い、ぺたんこ…………こほん、すいません、少々心の扉を開け放ちすぎました………というわけで、俺を野良に戻してください」
俺の目の前に座っているのはこの土地にやってきたらしい神だ。どんな人物かとおもったら単なる子どもだった。そして、彼女は間違いなく怒っている。だって、俺が怒らせたからな〜……………こういったところに反応するから俺から子どもって言われるんだ。
「ジャス、こいつを今すぐに仕留めなさい!」
「主、それはどうかと…………」
俺とアルトを捕獲した恐そうなメイドさんの名前はジャスだそうだ。ジャスさんのほうは怒り狂っている神をなだめているが………ここで神が俺のことを邪魔者と扱ってくれれば俺はお役ごめんでここからぐっばいなのだ。し〜ゆ〜あげいん!ではなく、二度とあうことはない………というわけで、さらに一押ししておくとしよう。
「ペタンコ♪」
「ムカっ…………」
めっちゃわかりやすい性格だな〜この神様♪
「主……抑えて…………シグマといったな?ちょっとこっちへこい」
俺はジャスさんに別室へと連れて行かれたのだった。
「ここは神とは無縁の場所だからな………何をしゃべっても大丈夫だ…………何故、あのような態度をとる?」
「俺、残念ながら誰かに仕えるとか、そういうの嫌いなんです」
俺がそういうと相手はにやりと笑う。
「以前、ここの神が精鋭をはかっていたときにシグマ………お前はその頂点にいたはずだと私はおもっていたが?」
「…………やっぱ、知ってましたか………」
俺は以前、この土地にやってきた神様と戦ったのだが…………物凄く、相手が悪かった。ま、その後俺は見事に執事となってその神様に仕えたのだった。
「何故、あの神についていかなかった?」
「……………そんなの、俺の勝手ですよ」
俺がそういうと相手はそうだなと呟いて…………俺に頭を下げてきた。
「頼む!この通りだ!彼女の執事になってやってくれ!」
「ちょっと、頭を上げてくださいよ…………」
「いいや!お前が頷くまで私は頭を上げない!」
俺はその光景を見ていられなかった。
「わかりました!わかりましたよ!仕えます!どんなことでもしますから頭を上げてください!」
これはもう、観念するしかないだろう………俺は両手で相手の肩を掴んで無理やり立たせる。
「すまんな………私のわがままで………」
「いえ、気にしないで下さい………あの、その事実を知っているのはジャスさんだけですか?」
「まぁ、そうだ」
俺はもうしょうがないので相手に伝えることにした。
「………絶対にそのことは他言無用でお願いします。それと、俺の階級は新人扱いでよろしくお願いします」
俺がそういうと相手はきょとんとしている。
「なぜだ?執事とはいえ、お前の待遇は最高のものになるはずだぞ?」
「ま、そこは色々と込み入った事情がありますんで……約束、お願いします」
俺は相手に頭を下げた。
「…………わかった、お前が望むのならそうしよう………だが、本当にいいのか?」
「ええ、構いません」
―――――
「主、シグマの説得に成功しました」
「ふん!そんな失礼な奴なんて要らないわよ!」
俺が仕えることとなった相手は相当ご立腹のようだった。
「かりかりする人は胸が……いえいえ、なんでもありません。独り言ですので気にしないで下さい………先ほどは住みませんでした、ご主人様」
俺は頭をたれて主の許しを請う。
「………どういったトリックを使ったのかしら?ジャス?」
「いえ、私は何もしていません………彼、シグマが承諾してくれたのです」
「その胸でつったんじゃないでしょうね?」
ああ、今気がついたらジャスさんも相当…………こほん………
「神様、残念ながら俺、今気がつきました………知っていたら今頃握り締めていますよ♪」
「この変態!」
俺の顔面に花瓶が飛んでくるが………我慢だ。
「………大丈夫です、神様のを握り締めようなんておもいません。だって、握り締めるほどなさそうですし………んがっす!!」
花瓶、二つ目…………右目に直撃したのだが、このくらいは大丈夫だ。
「最低ね!ジャス!こいつは新人の宿舎にさっさと放り込みなさい!」
「はい、わかりました」
「やれやれ、これだからひんにゅ…………ジャスさん、早く宿舎に連れて行ってください、ご主人様のために働きたくて股間が………こほん、体がうずうずしています♪」
俺はそういってジャスさんと共に怒り狂っている神を置いて出たのだった。
「………お前のあの物言いは正直だったのだな?」
「ええ、まぁ…………素直といってください」
残念ながら俺がこういう性格になったのは俺のせいではなく前の神様のせいだということにしておこう。これは天に誓って間違いないと伝えておく。
「………ところで、これからの生活のことなのだが………新人研修として私の元で働いてもらいたいとおもう」
「よかった、あの神様じゃなくて………きっと、毎日毎日花瓶を顔面に投げつけられるんだろうなぁ〜………あれは絶対他人をいたぶって喜ぶタイプですよね?」
俺がジャスさんに冗談まじりに伝えると相手はくら〜い笑いを宿していた。
「くくく、そういっていられるのも今のうちだぞ?明日からは私がお前をしごいてやるからな………覚悟しておけ、新人として扱うからな?」
「…………やれやれ、この屋敷にはSが多そうだ」
俺はそんなことを呟いて天を仰ぐのだった………ああ、ここって天界だから仰げるものがもうねぇ〜な〜
「シグマ、これからなれていくがいいさ」
ジャスさんにそういわれたのだが、俺はそっちの気はない。




