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プロローグ/野良狩り!

零時「え〜前書き担当として選ばれた剣山零時です………みんなぁ、俺のこと知ってる?知ってる人はメッセージ下さいぃ!!こほん、後ほど、補佐がつくとおもいますが………そこは人気のある人物が出るでしょう。さて、資料によると今回の主人公は俺じゃなくて天使のシグマのようですね?伝えるより読んだほうが早いとおもいますので、どうぞ!」

プロローグ

「まったく、引越しだなんて……………面倒だわ」

 一人のお嬢様が呟く。

「これだから神なんてやってられないわよ」

 ぼやきながらもその手にはティーカップが握られている………が、

「ま、野良狩りからはじめましょうかね〜………ふふふ、どんな奴がいるかしら?こっちじゃあんまり能力高い奴いなかったからね〜」

 とても楽しみだといわんばかりに笑ったのだった。

――――

「なぁ、シグマ………」

「なんだ?」

「こっちに新しい神様が来るそうだ。お前、つかまらないように気をつけろよ?」

「おいおい、俺が捕まるわけねぇだろ………あ、すみませ〜ん」

「はい?御注文はお決まりでしょうか?」

「はい」

「御注文は?」

 一人の野良天使が注文を始める………


一、

「敵襲!敵襲!」


ぶぉぉぉぉぉ〜


 ほら貝が鳴り響き、監視兵が叫ぶ…………

「神軍が来たぞ!応戦開始!」

「大佐!兵が逃げ出しています!さすがに圧倒的戦力ですので………」

 報告した兵士を大佐は殴りつける。

「ばか者!それを何故早く言わないか!我々も早く逃げるのだ!」

「了解!」

「シグマ、お前もそんな木の上にいるとつかまるぞ!」

 その二人も撤退を始める。

「………まったく、あわただしいもんだね〜」

 前に野良天使狩り………まぁ、天界じゃ一般的には野良狩りといわれているのだが、天の使い………つまり天使が使えているのは天、ここじゃ神だ。

「両方とも楽しんでやがるぜ」

 木の上から俺はその光景を楽しむ。

もっとも、野良狩りと言ってもつかまって拷問受けるとかそういうのではなく、神が新たな土地に引っ越すとその馬鹿でかい屋敷のお世話となる。しかし、その場所の神に仕えていない野良天使どもが全員捕まるのではなく、募集人数とかが決まっているそうで……その規定値に達すると終了。つかまった奴はその時点で契約書を書かされてあえなく神様の使い………パシリになるというわけである。

 自由をこよなく愛する俺としてはつかまりたくもない。このあたりを収めていた前の神様は相当いい神で、少数精鋭を図っていた。そのまま少数精鋭の殆どを引き連れて別の土地に引っ越していってしまったのである。

「さて、後募集定員は………一人ってところか?

 連れて行かれる野良天使を尻目に俺は残りのカウンターを確認する。

いわば、鬼ごっこのようなもので、逃げれる範囲が決まっている場所で神の軍と野良天使たちが戦ってもいいし、逃げてもいい………とりあえず、募集定員いっぱいになったら野良狩りは終了。先ほど撤退してった連中は敵のメイドに恐れをなしたのだろうな。ああ、ちなみに前の人たちの部隊は神様とその世話係とおもわれる爺さん二人だけだった。

 ま、今となってはどうでもいいことだな。

「ん?」

 木の上で寝転がっていた俺の視界に一人のメイドが倒れているのを見つける。

「あいたた…………」

 どうやら負傷しているようで、右手を押さえている。

「…………」

 まぁ、俺も天使だし、困っている者を助けるのがお仕事だ………別にその天使がぼいんで、可愛いから助けているのではないと先に言っておこう。

「大丈夫ですか?」

「え?あ、ちょっとこけて右手を怪我してしまったんです」

「それは大変だ………医務室はあっちですよね?はやくいきましょう!」

「え?あ、あの〜」

 俺は相手の返事を待たずに相手を担ぐとそのまま医務室へとそのメイドさんを連れて行ったのだった。

――――

「ふぅ、どうやら終わったようだな」

 メイド側の医務室で時間稼ぎをしているとどうやら終わったようだ。俺がこの医務室に入った時点で終了を告げる花火が打ちあがった。

「あの〜あなた、名前は?」

 医者とおもわれるメイドに手当てを受けているメイド………ええい、ややこしいな、メイドAとしよう………に、名前をたずねられる。

「俺ですか?俺の名前はシグマです………あなたは?」

「私ですか?私の名前はプロトです、プロト・メースン………」

 ちなみに、二つ名をもらえるのは神に従うものだけである。

「はぁ、成る程………いやぁ、あなたのおかげで今回の野良狩り、生き残ることが出来ましたよ………じゃ、俺はそろそろ帰りますんで………」

 俺は医務室の扉を開ける。

「あの〜シグマさん、お礼を………」

「いえ、いいです………困っている者を助けるのが天使ですから」

 ま、なんだ、担いでくる途中やわらかいあれが背中に当たっていたり、色々と堪能できたから個人的にはギブ&テイク?の精神だったからな。

「じゃ、さいなら〜」

 扉を開けた先に待っていたのは…………

「おっと、お前が最後の捕獲者だな?」

「へ?」

 きりりと眉を上げた恐そうなメイドさんだった。廊下にはびっちりとメイドたちが俺を包囲している。

「ど、どういうことだ?野良狩りはもう終わっているのだろう?」

 な、このメイドさんは何を言っているんだ!?

「メイドがこの屋敷に連れ込んできた野良天使は神の使いとなる………それがルールだろう?」

「ちょっと待て!俺はメイドに連れ込まれたんじゃないぞ!負傷したプロトさんを医務室まで運んできたんだ!」

 俺は無実の置換容疑で逮捕されてしまった人物の心境に立たされていた。

「そんな言い訳が通されるわけないだろう?私としてはお前と戦いたかったのだが………」

 そんな戦うとかそういうことはどうでもいい。

「俺はやってない…………じゃなかった、俺は逃げきったんだ!!畜生!こうなったら………」

 医務室の窓を開けて俺は脱走を図ろうとして……………

「対天使用トラップだと!?」

 気がつけば網の中に自分が捕まっていた。

「…………往生際の悪い野良だ………いや、もう天使か?これから忙しくなるだろうから気合を入れていけよ?こいつを地下に連行しろ!」

 いや、連行ってあんた………

「「了解!!」」

「危険度Sランクだ!慎重に運んでいけ!!」

 まるで爆発物みたいな扱いを受けながら、俺はげんなりとした表情で地下の牢屋へと連行されていったのだった。


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