“甦らない記憶参”
“甦らない記憶参”
なんか悪寒がする。熱でもでる前触れだろうか……そういや、あまり寝ていないからなぁ。
“こういうのはどうだろう”
“なになに?”
“たとえば、自分自身をアヤめたとしても某世では罪として裁かれるわけじゃん”
“ぇ。知らないが”
“そうなの?”
“うん”
“やっぱりアヤめるのはどうしても良くないことではあるんだなぁ……”
“で?”
“いや、それだけ”
“ぇええええ?!”
“ま、まぁ結局みつからないよな……けどその話で思い出したわ。今云われている陰謀説なんだけどさ、きく?”
“暇だからな、きくきく”
そう。わりと忙しくない上に、視界の変わらなさから何かしていないと睡魔に襲われてしまうほどだ。ただ、KKさんひとりを除いてだけれど。彼は彼でやることがてんこ盛りのようだ。今は、胡麻和えの……胡麻、あの、ひとつひとつを数え始めたようだった;僕には到底真似などできるはずもなく;
“……つまりさ。誰かをアヤめようと思う程度まではいいけど、実際行動に起こそうと準備とか過程のある程度の段階に入った時点で本人が自身をアヤめるっていうシステム”
“?!ぇ?!”
“なにそれ、怖いんだけど”
*“それは……”
謎の自称普通世のおっさ……、おじさまが重たそうに口を開いた。
*“……リューのすすめていた研究だ……今は違うヤツがすすめているはずだがな”
“なんていったらいいのか判らないけれど、おっさんのアヤめる理由が、まるで〔無い〕ように感じるから余計ムカつくんだ、僕は”
本当にムカつく、この人の云っていることが。僕だけじゃないと思う、そう考えているのって。
“落ち着けって”
“Jさん、ダメっすよ。不意打ちは”
NTさんは相変わらずスタンガンのようなものをちらつかせている。いるが……あれ、Jさんが本気になれば逆にやばいんじゃぁないかと思うほどの腕の細さは、隣のJさんと比べて明らかなんだけれど;
*“私には、本当にキミ(リュー)が必要だったと今さらながら思い知らされるんだ”
“そらそうだろ。いうなら野球の投手と捕手の片方が居なくなるみたいなもんだ”
“あー嫁に逃げられた亭主関白とか;”
“……俺の前でいうな”
“ぇええっ?”
“なになに?J氏、もう逃げられたの?”
“……逃げられてはいないが……時間の問題かもしれんな;虚しいのぉ……ホント何を考えているんだか判らん。犬がいいな、犬は判りやすい”
気付かなかったなぁ……。てっきり、この騒ぎでJさん自ら実家に帰るように嫁さんに告げたのかと思っていたが……実は逃げられていたってことなのか……曲者上司は健在だったんだなぁ。




