“消せない記憶”
“消せない記憶”
今から思えば……あのとき……から私の運命は覆せないように、決まってしまったのかもしれない。まだ普通世と空世が分離していなかった、日付をアルファベットではなく数字で表示していた時期があったころの……ひとつの記憶は。
……そしてむかえた〔414の嵐〕
仕事や研究などに追われ寝る間もないほど1日を消化していく日々が続くなかで、特にその日の私は、朝からめっちゃ忙しかったことを記憶している。
“最終確認お願いします”
*“うむ……”
“本当に……いいのですか?”
助手のリューは研究チームのひとりで私など足元にも及ばないほどに熱心な、今どき見かけない希少な存在であった。それ故に先走ることもしばしばある私には、かけがえの無い存在であった。そしてそれは今も変わらない。
*“……いいんだ……これで全てから解放されるはずなのだから”
私の研究は〔魂〕といわれるだけのものを肉体と分離させ無限の存在、つまり永遠にそれを可能とさせる無老無死の世を創造することであった。
通称、クエスト7
けっして、おつかいなどではなく。
最終段階に入り、上に報告をすませ……明後日実行されるところまでようやく辿りついたものの、今日になり、やはり大きな問題がでてきやがった。これだけの厳重な警戒設備なのにも関らず、どこからか研究内容が漏れたらしくこの研究を良しとしない連中の攻撃が勃発し始めたのだ。
銃撃戦ならまずやられることはない。厄介なのは細菌感染によるものだ。世の中には私より頭脳明晰、容姿端麗なものは巨万と居る;容姿端麗はあまり関係がないが、私の弱点なので書いてみた。人は予め弱点をさらすことでより防衛しようとするものなのだ。たぶん。
“あの……その話、長くなるんすか;”……N
*“それなりに”……未だ謎な普通世
“俺ら、要点だけでいいんですが”……NT
“まぁ聞こうじゃないか、酒のつまみに”……J
“除菌、除菌ウエット、私の、もうないんだ”……KK
“私はお茶が、もう少々濃い目のものをいただきたいですねぇ”……O
“……つか、Jさん、なんでまたコイツにこんな仕打ち、いきなり。ひでーっなんてもんじゃないな;一応、お……”
“もうちょっと他にやり方なかったんすか”
“俺には思いつかなかった……意外に鍛えてあるみたいだから加減が難しくて……ツイな”
“まぁまぁ、2人とも。これはこれで良い休養になる”
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!11なんねーし、苦しいし、いてぇよ;
*“要するに、研究を失敗したため私はここに存在する。中途半端な肉体をもち、世を追われたわけだが”
“ぁ。すみません、やっぱ要点が簡潔すぎて判らないんですが”
あの日。
“侵入されました。もう、時間の問題かと”
“まてまてまて、まだだ、頼む、時間を稼いでくれ”
“……稼げたとしても、ほんの数分では何も出来ません、諦めるよりは僕の”
“ダメだ、それは絶対に”
“僕はあなたを信頼しています、何があったとしても僕は僕で在り続ける自信もあります、だから”
汚染された装置はダミーのレベルごとに次々に破壊され、私たちの研究の長年積み上げた成果を一瞬にしてまっさらにすべく、刻一刻と滲みよってきた。
本当に時間が無かった。鳴り止まない警報機、見えないまま忍び寄る正体さえ不明な細菌という名の、外部や内部からの破壊命令。
人は余裕のあるときなら隠せる〔本性〕というものがある。
時間の無さは、私の仮面をただのメッキに成り下げていった。
ちょっぴり短編に浮気していました。




